言葉
打ちのめされて 傷ついたあなたに
どのような言葉をかけられるだろう
周りには冷め切った温もりの欠片
どんな言葉も 貴方の中で疼く痛みを
決して掻き消せはしなかった
私の言葉は偽善だろう
きっとあなたのためじゃない
あなたに笑ってほしい私の
酷く独善に満ちた言葉
そんな言葉しか私は吐けない
意味も見出せず 身体に生かされるあなたに
新たな意味を与えることは
そう簡単なことじゃない
どれだけ熱く抱きしめても
身体を離せばまた冷たい風が
骨の髄まで染みてくる
私の愛が愛なのかさえ
今の私には分からない
あなたに理想を描く私の
使い古されたような手法
それ以外何も出来やしない
「それでも私のために
生きていてくれませんか
あなたのためにできることは
きっともうないだろうから
私のために たった一つ
わがままを聞いてくれませんか
顔を上げなくていいですから
笑顔を作らなくていいですから
ただ そこにいてください
ただ 生きていてください
落ちた欠片にもう一度
微かな温もりを見出せた時に
あなたの傷に触れさせてください
私のかけれる言葉はそれだけ
これ以上はきっと 出せやしないから
頭の中に置いてくれたら
私はとても嬉しいです」
言葉を残して部屋を去る時
あなたは私を引き留めた
手を肩に置いて純粋な目で
無言で私に訴える
それ以上ここに言葉はいらない
私はあなたを抱き締める
冷たい雨は窓の外
あなたは私を抱き締めて
優しい温もりが二人を包む




