来客、再び7
顔は赤く染まり、肩を上下させて息をしていた。
柚李の目は、真っ直ぐに菊子を捉えていた。
真剣なんだ。
菊子は瞬きが出来ない。
柚李に圧倒される様な感じがした。
「お見合いの話は結局、雨さんからお断りされてしまいました。雨さんの話を聞いた母によれば、自分には私は勿体ないので、との事でしたが……」
そう言って柚李は下を向く。
菊子は何も言えない。
少しの間、下を向いていた柚李だったが、不意に顔を上げて、「でも、私、お見合いの事は、お断りされて当然と思ってるんです。だって、いきなりお見合いだなんて、ね。自分だって笑っちゃいますもん」そう言ってから笑いをする。
「柚李さん……」
「野宮さん、あの、雨さんに友達以上の感情はお持ちでは無いんですよね?」
改めて、そう菊子に訊ねる柚李。
菊子は、「ええ」と深く頷き「私も目黒さんも、ただの友達ですよ」とはっきりと言った。
そして菊子は続ける。
「それは今も、これからも、です。私と目黒さんが付き合うとか、絶対にあり得ません」
そういう賭けを、今、雨としているのだ。
お互いに恋愛感情は抱かない事。
菊子には雨に恋なんかしない自信があった。
目黒さんと恋なんかしない。
あんな、笑顔一つで人を手のひらで転がす様なタイプの人に落とされてたまるもんですか!
私は目黒さんとはフェアでいる。
目黒さんとは友達でいる。
そうやって菊子は心の中で意地とプライドを張って雨との間に線引きをしているのだった。
「なら、お願いがあります」
柚李が両手を合わせる。
嫌な予感を感じる菊子。
「な、何かしら?」
「はい、あの、私、お見合いはお断りされてしまいましたが雨さんの事、諦めた訳じゃあ無いんです」
「ええ」
柚李が雨を諦めて無い事は柚李の態度を見れば一目瞭然である。
「だから、その、協力して貰えませんか?」
「は?」
「私と雨さんの関係が上手く行く様に、野宮さんに協力して欲しいんです」
「はぃ?」
め、面倒くせーっ!
と心の中で吠える菊子。
「あの、協力ってどんな?」
棒読みの台詞を吐く菊子。
「はい。まず雨さんの好みのタイプとか教えて頂きたいですね。後、好きな食べ物とか、趣味とか」
はきはきと答える柚李。
「それくらいなら、まぁ」
菊子がそう言った側から柚李が「後、私と雨さんの間が上手く行く様に、仲を取り持って頂いたり」と笑顔を零す。
「仲を取り持つぅ?」
面倒くせーっ!
この女、めちゃくちゃ面倒?
ど、どうしよう。




