何故にこうなりました?11
皆んなの頭の上にはてなが浮かぶ。
この男、一体これから何を言い出すのか?
菊子は怯えた表情で雨を見た。
もう不安しか無い菊子。
「菊子の事も大好きだよ」
雨はそう言った。
菊子の不安は的中。
友達として、が付いている事は分っていたが菊子は気恥ずかしい気分になる。
「いやぁ、あははっ。光栄ですわ。あ、私、そろそろ仕事に戻ります。皆さんは楽しくお話し続けて下さいね」
恥ずかし過ぎてもはやこの場にはいられまい、と菊子は立ち上がり、部屋を出ようとする。
「もう少しゆっくりしていけば?」
雨が言う。
「結構ですわ。では、皆さん、ごきげんよう」
菊子がお辞儀をして顔を上げるとクロエと目が合った。
うっ。
菊子は絶句する。
クロエが凄まじい目つきで菊子を睨んでいたのだった。
クロエの物凄い迫力に菊子の体に鳥肌が走る。
「し、失礼します」
菊子はいそいそと部屋を出た。
扉を閉めると菊子の体から、どっと力が抜ける。
何なの?
クロエちゃんの私を見るあの目つき。
いや、あの目、何処かで見た事が……確か、クラブ時代だ。
記憶を手繰り寄せて菊子はぞっとした。
クロエの菊子を見る目は嫉妬の目である事を思い出したからだ。
クラブ時代、雨の指名で急にナンバースリー以上にランクアップした菊子を見る他の女達の目つきとクロエは同じ雰囲気を出していた。
嫉妬って、まさか目黒さんと私の関係に?
マジですか!
うわぁ、急に頭痛がして来た。
朝から初めましての女の子に嫉妬される事になった菊子。
世の中、何が起こるか分からない事を痛感しながらも、取り敢えずは仕事、とビジネスライクに菊子はよろよろと歩き出すのだった。




