何故にこうなりました?10
それから雨は度々クラブにやって来ては菊子を指名し高いボトルを入れてくれたり延長をしてくれたりした。
お陰で菊子はクラブでナンバースリー以内に入れたのだった。
雨は菊子の誕生日にはクラブで豪快にお金を使ってくれた。
積み上げられたシャンパングラスにテンションが上がりまくったのを菊子は思い出す。
菊子はクラブで働いていた事に引け目など感じてはいなかったが、雨がクラブ通いをしていた事を話しても良いものか菊子には悩むところだった。
中々答えを返さない菊子にクロエは少し苛立った様な顔をして「答えられない様な事なの?」と言う。
「いや、そんな事ある様な、無い様な……」と曖昧な台詞が菊子から流れる。
「ね、ねぇ、目黒さん?」
菊子は雨に助けを求める。
SOSの合図を必死に目線で送った。
雨は了解、と頷くと「菊子とは大人の社交場で知り合ったんだ。ドレスアップした綺麗な菊子に目が止まってね。話してみたら面白いし、直ぐに仲良くなったんだよ」と話す。
菊子は吹き出しそうになる。
お、大人の社交場!
ドレスアップ!
クラブの衣装だっての!
クロエは、「ふぅーん」とテンション低めの声を上げる。
「き、綺麗は言い過ぎでしょう」
菊子は乾いた笑い声を出して言う。
「そんな事無いよ。菊子は綺麗だよ」
微笑みながら言う雨。
本気なのか冗談なのか知らないけど、皆んなの前で止めて欲しいわ。
菊子の顔は恥ずかしさでほんのりと赤くなっていた。
そんな菊子の顔をクロエが横目でじっと見ている。
それに気が付いた菊子。
「な、何? クロエさん?」
美少女に見つめられて挙動不審に菊子が訊ねると、クロエは「別に」とそっぽを向いてしまう。
え、何この態度?
私、もしかして嫌われてる!
ショックが菊子を襲う。
クロエちゃんのこの態度って何だろう?
何となく、私の事を目黒さんが褒めたり、私の事を目黒さんが相手にしている時に機嫌悪気になるのよね。
やっぱり私達の関係を心配してる?
何故に?
菊子は急に居心地の悪さを感じる。
何せ、嫌われているかも知れない相手の隣の席だ。
私、そろそろお暇した方が良いのでは?
一人虚しい菊子であった。
「ねぇ、雨兄い」
クロエが雨に話し掛ける。
雨は、「うん?」とクロエに注目した。
クロエは雨の目をじっと見て「雨に兄は私の事、大好きよね?」と雨に訊く。
雨は間を開けずに「勿論」とにこり。
「それなら良いの」とクロエが笑顔で言ったその後、雨が、「でも」と漏らす。
でも?




