何故にこうなりました?9
菊子はさっきの雨とのやり取りを思い出しながら拗ねた顔で、「まあまあ仲良しな関係です」と答えた。
「まあまあって」と雨が突っ込みを入れるが菊子はそれを無視する。
「雨兄いがこのお家に家政婦以外の女の人を連れて来たのは初めてなの。だから家政婦さんは特別な人なのかなって気になったの」
そう言うクロエの顔には明らかに影が差していた。
ここで菊子は、あらっ? と思う。
もしかして、クロエちゃん、私と目黒さんの関係を心配してる?
ちょ!
何故に?
驚きを隠せない菊子。
「あの、何か?」
クロエが不安そうに菊子を見て言った。
「い、いえ、別に」
何か顔に出ていたかしら?
いけない、いけない。
えーっと、何でクロエちゃんが私と目黒さんの関係を心配してる?
どういう事?
私の気のせい?
いや、だがしかし。
いや、それより何より。
菊子は雨に視線を向ける。
クロエが言った事は本当だろうか、と菊子は思う。
この家に目黒さん、女の人連れて来た事無い訳?
日向さんがいるから?
彼女とかいなかったのかしら?
私が初めてだったとして、じゃあ私って目黒さんの何なの?
クロエの事、雨の事、様々な考えが菊子の頭を過り、悩ませてゆく。
ちょっと!
何で私はこんな事で悩まなきゃいけない訳?
何なの?
何故に?
一人、百面相を始める菊子に冷ややかな日向の視線が注がれる。
「家政婦、あんた様子が可笑しくないか? 紅茶の飲み過ぎでハイになってるとか?」
「はっ! いえ、別に何でもないです、はい! 飲み過ぎって、たったの二杯ですし!」
我に返り、はきはきと菊子は言った。
「面白いな菊子は」
はははっ、と笑って雨が言う。
クロエはそれを面白く無さそうに見ている。
クロエちゃん、何でそんな顔してるの?
何故にーっ!
心の悲鳴を上げながら顔にはそつなく微笑みを張り付ける菊子だった。
菊子はクロエの質問攻めにあっていた。
訊かれる事は雨と菊子との関係の事ばかり。
今は菊子と雨が何処で知り合ったのかを訊かれていた。
菊子は非常に困っていた。
雨と知り合ったのは菊子がクラブで働いていた時に、だ。
クラブの客としてやって来た雨。
雨の席に着いた菊子は雨と話が盛り上がり、意気投合した。




