何故にこうなりました?7
ほっと一安心した所で菊子は思い出す。
あ、洗濯。
洗濯機は日向が使っているが、そろそろ洗濯も終わっている頃だろう。
菊子は、ちらりと部屋の時計を見る。
時計を見ると菊子が応接間でお茶を始めてから一時間ほど経っている事が分かった。
うーん、そろそろ、こっちも洗濯しちゃいたいな。
お日様が照ってるうちに洗濯物干したい。
日向さんに洗濯機、空けてもらわないと。
でも……。
楽しそうにクロエと話をする日向を見て菊子は洗濯物の事は言い出しにくかった。
仕方ない。
他の家事を進めて、直ぐに洗濯に取り掛かれる様にしておこう。
「あの、お茶、ご馳走様でした。私、そろそろ仕事に戻ります」
楽し気な空気に水を差すような気がして、おずおずと菊子は言った。
雨が目をぱちりと開いて菊子を見て、「まだゆっくりして良いよ」と菊子に言う。
甘い事を言う雇い主である。
「そんな訳には行きません。十分ゆっくりさせてもらいましたから」と菊子。
ここでゆっくりした分、仕事が後回しになるだけなのは菊子には分かっていた。
「菊子がそう言うなら分かった」
残念そうな雨の顔を見て、菊子に何だか悪い気が湧いて来る。
微妙な空気が流れる中、日向が思い出した、という風に手を打つ。
「あ、洗濯物……そろそろ俺の洗濯終わってるから洗濯機から出さなきゃ。家政婦、洗濯するよな?」
日向は立ち上がろうと腰をソファーから浮かした。
その台詞を聞いて菊子は急いで、「ああっ、日向さん、大丈夫ですよ。洗濯は後でしますから。ゆっくりクロエさんとお話し続けて下さい」と話す。
日向はやや少し申し訳なさそうに、「じゃあ、お言葉に甘えて」と言った。
菊子は、ほっと息をつく。
「では、私はこれで」
菊子が席を立とうとしたその時だった。
「あの、私ももっと家政婦さんとお話ししたいし、もう少しいてもらったらだめですか?」
クロエが上目遣いに菊子を見て言った。
「えっ?」
クロエの台詞に菊子はびっくりする。
雨も日向も驚いた表情を浮かべている。
「わ、私なんかと話しても……」
遠慮する菊子にクロエは、「だって家政婦さん雨兄いのお友達なんでしょ? だから私、家政婦さんに興味があるの」と天使の笑顔で言う。
その笑顔に菊子は心臓を撃ち抜かれた。
かかかかっ、可愛い。
こんなに可愛い子が私に興味があるって何事?
嬉し過ぎる!
菊子のテンションはうなぎ登りだ。
「クロエもそう言ってる事だし、菊子、もう少しいたら?」
雨が言う。
「で、でも……」
まだ躊躇う菊子に雨が眩しい笑顔を向ける。
「俺も菊子にまだいて欲しいな」
菊子はよろめきそうになる。




