何故にこうなりました?4
二十四歳って女子高生の中では若くないって事?
いや、別に自分の事若いとかも思って無いけど……。
クロエは、にこにこしていて悪気は全く無い様だ。
気を取り直して菊子はクロエに話し掛ける。
「クロエさんのお名前、可愛らしいわよね。えっと……」
菊子は言葉の続きを考えた。
クロエって本名?
ご両親のどちらかが外国の方なの?
いや、最近の子の名前って色々だからな。
などとクエッションマークを頭の上に浮かべる菊子。
そんな菊子に雨が、「クロエは父親がイギリス人なんだ」と教えてくれた。
「あ、なるほど」
クロエは何処か日本人離れした雰囲気があるが、そういう事らしい。
「何だか素敵。お父様がイギリスの方だなんて」
「そう?」とクロエ。
「ええ。私、イギリスって一度行ってみたい国なんです」
イギリスのシャーロック・ホームズ博物館に行くのが菊子のひそやかな夢であった。
実は菊子はシャーロック・ホームズの隠れたファンだった。
シャーロック・ホームズが実在の人物と勘違いしていた時期もあった菊子。
菊子がイギリスで思い付くもう一つの場所がノッティングヒル。
映画、ノッティングヒルの恋人の影響で気になっていた。
映画のヒロイン役のジュリア・ロバーツが菊子にはとても素敵に見えたものだった。
まあ、失業して友達の家で家政婦なんかやってる私には海外旅行なんて夢のまた夢なんだけど。
自分の懐具合を思い出して菊子はそっとため息をつく。
あ、でも、この家政婦の仕事を成功させたら海外旅行、行けるじゃない!
何せ、一日で十万の仕事。
ホテルだって良い部屋に泊ったりして。
旅行だけじゃない。
あれもこれも買えるし……うわっ、どうしよう。
とろけた目をして妄想の世界に浸る菊子。
「家政婦、あんた、何一人でにやにやしてるんだよ」
日向の気持ち悪げな声に菊子は現実世界に帰還する。
菊子は直ぐにすました顔を作り「別に」と日向に言う。
日向は何も言い返してこなかったが怪しそうに菊子を見ていた。
いけない、いけない。
つい自分の世界に浸ってしまった。
今は自分の事よりクロエちゃんの事よ。
いじめにあってないか、ちゃんと確かめないと。
気を取り直し、菊子はクロエに、「クロエさん、学校は楽しい?」と訊いてみる。
あまりにも、ずばりな質問。
菊子は思う。
楽しい訳無いわよね。
学校の皆んなから無視されてるって言ってたし。
そんな状況で楽しい訳無いじゃない。




