何故にこうなりました?3
「急に何やってるんだよ家政婦は」
怪しそうに菊子を眺めて日向が言う。
「い、いえ、急に暑くて?」
自然としてしまった行動。
菊子は手を急いで膝の上に置いた。
そして、ちらっ、と雨の方を見る。
雨は笑っていた。
その態度が何だか気に障った菊子。
むっとして頬を膨らます。
すると雨が可笑しそうにして噴き出した。
「何、二人供?」
呆れる様に日向が言えば、菊子と雨は揃って「別に」と声を上げる。
きょとん、とする日向。
そして、クロエは眉を顰めていた。
その事には誰も気が付かないのだった。
紅茶を飲みながら四人の話しは弾んでいた。
主にクロエの話を他の皆んなが聞き役となって話は進んでいる。
クロエの話を聞いているうち、菊子は立ち聞きした会話の内容を思い出した。
クロエちゃん、学校の皆んなに無視されてるってどうなのよ?
心配。
こんなに明るくて可愛い子が、もしかしたらいじめにあってるかも知れない何て。
目黒さんと日向さんはどう思ってるのかしら?
無視以外に何も無いような事言ってたけど隠してるだけで何かあるかも知れないじゃない。
それと無く探ってみるか。
クロエちゃんの事も、もっと色々知りたいし。
「あの、クロエさんは高校生……よね?」
遠慮がちに菊子が訊ねるとクロエは、「うん」と答えた。
「高校二年生」
クロエからそう聞いて菊子は、若っ! と心の中で台詞を言う。
菊子の中では自分が制服を着ていたのはとうの昔になっている。
高校生の頃にはクラブで働く自分も会社をクビになる自分も想像していなかった。
菊子は、何であの頃は未来が輝いて見えたのか、と自分に問い掛ける。
いじめに悩んだ事も無く、ただただ目の前の事が楽しかった。
それは今も同じだけれど、あの頃と全く違う感覚だ。
感傷に浸っている場合じゃ無くて、今はクロエちゃんの事よ!
気を取り直して菊子はクロエに何を質問しようかと考える。
すると、クロエの方から「家政婦さんはおいくつなの?」と質問が来た。
「え、私の歳? えーっと、二十四歳ですけど」
「へーっ」
クロエは口に手を当てて瞬きをする。
その態度が気になった菊子。
「あの、な、何ですか?」
そう訊いてみると、クロエはにっこりとして、「あ、家政婦さんの事もっとお若いと思ってたんです。だからびっくりして」と言った。
その台詞に雨と日向は固まった。
菊子も一瞬フリーズする。
「あ、あーっ。ありがとう?」
微妙な気持ちではあるが取り敢えずそう言ってみる菊子。




