お客様の対応に戸惑う事甚だしい5
皆んな、菊子が来るまで紅茶を飲むのを待っていたらしく、ティーポットに紅茶が余っていた事をありがたく思う菊子なのであった。
「じゃあ、紅茶、頂きます」
そう言って雨は優雅にカップを持ち上げる。
皆んなもカップを手にする。
そして、それぞれがカップに口を付けた。
菊子も紅茶を一口。
うーむ、味は普通、な感じ?
ど、どうなんだろう?
菊子は皆んなの様子を伺った。
「うん、美味しい」
雨が言う。
日向は何も言わずに飲んでいる。
クロエも無言だった。
日向さんの反応はともかく、クロエちゃん、大丈夫?
口に合わなかったかしら。
と、取り敢えず、目黒さんが美味しいって言ってくれたし、良しとしますか。
ポジティブ思考をして、菊子はもう一口紅茶を飲んだ。
ちょっと苦いかも、と思ってみたり。
それにしても、と菊子は横目でクロエをチラリと盗み見る。
本当、何て可愛い子なの!
こんな子、本当にいるんだ。
着てる服もめちゃくちゃ似合ってるし。
天使?
ピンク色のロリータファッションをクロエは完璧に着こなしている。
服はワンピース。
膨らんだスカート部分がソファーにふわりと広がっている。
白いフリルの付いた長靴下を履いた足を綺麗にそろえて座るクロエはまるでファッションモデルの様であった。
「あの、私の顔に何か?」
クロエが菊子の方を向き、言った。
み、見てた事、気付かれてた!
慌てて菊子は、「ごめんなさい。あの、あまりにも可愛らしいお嬢さんだと思って、つい見とれてしまって」と言う。
きょとん、とした顔をするクロエ。
「あら、ありがとうございます」
クロエは、ちょこんと頭を下げた。
か、可愛い!
何この子!
めちゃくちゃ可愛い!
クロエの動作に菊子のテンションは上がる。
菊子がさっきまで感じていた気まずさは一気に薄れた。
「じゃあ、クロエの焼いたマドレーヌ、頂こうかな」
弾んだ雨の声。
「うん、食べて!」
クロエが明るい表情を浮かべる。
「本当、よく焼けたな、クロエ」
日向が褒めるとクロエは、「えへへっ」と照れくさそうにする。
何か、凄く穏やかな雰囲気。
日向さんも、クロエちゃんには笑顔を見せる訳ね。
そう思って菊子が日向を見ていると「何だよ、家政婦」と日向が菊子に突っかかった。
菊子は涼しい顔で「別に」と答える。
日向は眉を顰めたが、その視線は菊子からクロエのマドレーヌへと直ぐに向かった。
菊子の視線もマドレーヌへと移る。




