会議5
ああ疲れた。
日向さん、何処までウブなのよ。
はぁ。
菊子は心の中で毒づく。
「じゃあ、早速、洗濯を始めたいと思いますから、日向さん、お先にどうぞ」
細い目を日向に向ける菊子。
日向は、「くっ」と言って苦虫を噛み潰した様な顔を菊子に向けると席を立ってリビングダイニングを出て行った。
日向がいなくなると、雨が、くすくすと笑い始めた。
「何を急に笑い出すんですか?」
怪しい奴め、と思いながら菊子は雨に訊ねる。
雨は笑いながら、「いや、兄弟喧嘩何て久しぶりだなと思ってさ」と話す。
「はぁ……」
確かに二人供、普段喧嘩なんかし無さそう。
日向さんはお兄ちゃん子だし、目黒さんはこの通りだし。
「久しぶりの兄弟喧嘩がこんな下らない事ってどうなんでしょう?」
首を傾げながら言う菊子の台詞に雨は、「だな」と頷いた。
「それにしても日向があんな事を気にするなんてびっくりだな。日向のやつ、結構菊子の事を意識しているのかな」
ふふっと漏らしながら言う雨。
その台詞に菊子は、「はぁ?」と声が出た。
「日向さんが私の事を意識しているってどういう事ですか?」
そんな風に考えてもみなかったので菊子は多少呆れ気味になった。
「いや、前の家政婦の時はこんなにうるさい事は言わなかったな、と思ってさ」と雨。
「へぇー」
何か、意外。
どんな反応をして見せたら良いのか菊子は戸惑う。
「まあ、日向も多感な時期って事で」と雨は、ははっ、と笑う。
菊子は呆れて「多感な時期ならとっくに過ぎましたよ。朝食、まだ食べます?」と雨に言った。
「いいや。日向も行っちゃったし」
笑顔で言う雨の一言で、菊子は席を立ち、テーブルを片付け始めた。




