会議3
話題を変える様にして菊子が雨に訊いた。
雨は、「ああ」と言って、口の中のウエハースを飲み込むと「洗濯と掃除。後は昼食作り。庭の掃除。その後は勿論洗濯物を取り込んで畳んでもらう。畳んだ洗濯は日向のは日向の部屋に持って行ってくれたらいいし、俺のは俺の部屋に持って来てもらって箪笥にしまう物はしまってもらえれば助かるよ。後、無いとは思うけど来客のもてなし。後は昨日と同じ、夕飯作りと風呂。頼まれたらコーヒーを入れる事。あ、新聞、取りに行っといて。以上……かな」と言う。
「了解しました」
「他に何かあったらその時に頼むよ。大体毎日そんな感じで動いてもらうから。あ、後、平日はゴミ出しもお願いするから」
「はい……あの、目黒さん」
「何?」
「確認何ですが、洗濯物なんですけど、私の物と一緒に洗濯させて頂いても大丈夫でしょうか? その方が効率も良いですし、水道代の節約にもなりますから」
部外者である自分の洗濯物と家族の洗濯物を一緒にしても良いのだろうか、と思い訊ねた菊子。
「菊子が嫌じゃ無ければ良いよ」
雨がにこやかに答える。
しかし……。
バンッ!
部屋にテーブルを叩く音が鳴り響く。
菊子の体は突然の音に反応して、びくりと動いた。
「俺は反対だ!」
壮大な音の後にそう叫んだのは日向だった。
「日向?」
唖然とした顔で雨が日向を見る。
菊子も呆気に取られて日向の顔を見た。
「何で反対なんですか?」
おずおずと菊子が訊ねると、日向は少し気まずそうに「家政婦の洗濯物と一緒とか……下着とかどうするんだよ」と言う。
その台詞を聞いた菊子と雨は二人揃って口を、ぽかんと開いた。
「な、なんだよ二人とも、その反応は! 普通気にする所だろ!」
顔を真っ赤に染めて日向は言う。
「はぁ……私は別に。目黒さんと日向さんがお気になさらないなら全く構いませんが。男性の下着を見て、キャーッ! とか言う少女時代は私の中ではもう終わってるので。あっ、ついでに言いますけど、私が入浴した際の服、勿論下着も含め、皆さんと同じ洗濯かごの中に入れさせて頂ければ幸なんですけども。汚れ物をいちいち部屋に持って行くのもアレなんで。別に下着を見られたからって何とも思いません。大した物使って無いので。あ、身に付けている所を見られたら嫌ですけど。お気遣い無用って事で」
平然と言う菊子に日向は、「あんた、鉄腕かなんかか! 恥らえ! 女なら恥じらえ!」と突っ込みを入れる。
しかし菊子は「女にも十人十色ですわ」とすまし顔だ。
「あにき、何とか言ったらどうだよ!」
日向が雨を見ながら悲鳴を上げる。
「いや、菊子が良いなら別に良いんじゃないか。仕事として菊子は洗濯するんだし、その過程で俺の下着を見られるくらい別に構わないし、菊子の脱いだものだって見ない様にすればいい話じゃないか。万が一、菊子の下着が目に触れても菊子本人が構わないって言ってるし、洗濯かごも一緒にしたらいいし、洗濯も一緒にしたらいいよ」
けろっ、とした顔で雨は言う。
「あんたら二人に恥じらいは無しか!」
日向の大声で菊子の耳は痛くなる。
「いや、恥じらいはありますけど、仕事ですから」
菊子は言う。
「一つ屋根の下にいて仕方ない問題だろ」と雨は日向を諭すように言う。




