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恋、しません?  作者: 円間
第二話 襲撃。恋してないですが恋のライバル現る
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爽やかな朝……か5

 良し!


 菊子は蛇口を捻り、コップに水を注ぐと口の中をガラガラとゆすいだ。

「はぁ。スッキリした」

 菊子は洗面台に映った自分の姿を見る。


 完璧。

 まさに完璧。

 これで今日一日、女として生きていける。


 ガッツポーズを取ると、菊子は静かに脱衣室を出た。

 脱衣室の前には雨と日向が困惑した顔をして並んでいた。

「菊子、一体どうしたんだよ。何があったんだ?」

 雨は菊子を心底心配している様子だ。

「家政婦、あんた変だぞ。何があったんだよ」

 日向の表情も心配げだった。

 菊子は二人の前で、ゆっくりと頭を下げた。

 角度は九十度。

 そして言う。

「お騒がせして申し訳御座いませんでした。私、どうやら寝ぼけていた様です」

 菊子は顔を上げる。

 その顔は真顔であった。

「は?」

「へ?」

 は、は雨。

 へ、は日向。

 二人は揃って、ぽかんとしている。

 菊子は真実を闇の中に葬ることに決めた。

 二人に本当の事を話せばきっと雨は呆れ、日向は馬鹿にするだろうと菊子は思ったのだ。

「寝ぼけてあの騒ぎって何だよ! 人騒がせにもほどがあるだろ!」

 日向が文句を言う。

 雨は目を、ぱちぱちさせてただ菊子を見ていた。

「本当に申し訳ありませんでした」

 本心から菊子は謝った。

 このまるで謝罪会見の様な場で、菊子は思っていた。


 二人とも、私の事を本当に心配してくれてた。

 感謝しなくちゃ、よね。


「あ」

 菊子が声を上げた。

「何だ!」と雨。

「どうした!」と日向。

 二人の顔はまた心配げな表情を作る。

 そんな二人に菊子は極上の笑みを作り「忘れてました」と言う。

「何を?」

 雨が訊くと、菊子は「挨拶です。目黒さん、日向さん、おはようございます」そう言って丁寧にお辞儀をした。

 雨と日向はお互いの顔を見合せると、ふぅっと二人同時にため息を付く。

「おはよう」

 雨が笑顔で言う。

「おはよう」

 不満そうに日向が言う。

 騒々しい目黒家の一日が幕を開けた。






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