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恋、しません?  作者: 円間
第一話 男友達の家政婦致します
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雇い主の我がまま? 応えます。4

 私ってなんてお馬鹿さんなんでしょう。

 勢いに呑まれてとんでもない約束をしてしまった。


「はぁ」

 もはや菊子はため息が止まらない。

 あの時の雨の楽しそうな顔が菊子の頭を過って、それを消そうと菊子は大皿を、ごしごしと力を込めて洗う。

 大皿は洗剤の泡で雲に包まれた様になる。


 あの爽やかな笑顔は何なのよ?

 目黒さんったら信じられない!

 て言うか、目黒ブラザーズが信じられない!

 本当、これから私はこの家で家政婦の仕事が果たして務まるのだろうか……。


 でも、と菊子は思う。


 女に二言は無いよな?

 

 そういった時の雨の目。

 あの目を見た菊子にあの瞬間、物凄い力が湧いて来たのだ。

 やってやる!

 という強い意思が湧いた。

 そうしてその意志の力は直ぐに菊子を動かした。

 どうしても、負けたくない、と思った。

 あの瞬間は何だったのかと菊子は考えるが、答えは出ない。


 結局、目黒さんの手のひらで踊らされたのか。


「はぁ」

 また、ため息。

 ため息と共に菊子は大皿を手から滑り落とした。

「ギョエーッ!」

 菊子の口から奇怪な悲鳴が上がる。

 シンクに落ちた大皿は見事に真っ二つに割れた。

「どどどど、どうしよう」

 慌てた菊子は素手で皿を拾い上げた。

「痛っ」

 菊子は割れた皿の切っ先で指の先を切った。

 菊子の白い指先から赤い血が流れた。


 ああ、もう本当にどうしよう。


 菊子は何だか泣きたくなる。

「何騒いでるんだよ、家政婦」

 日向の声がして振り向く菊子。

 日向はキッチンの入り口に怪訝な顔をして立っていた。

「あ、日向さん。目黒さんのお風呂、もう済んだんですか?」

「ああ。あにきはシャワーだけだから。それよりどうしたんだよ。下品な大声が廊下まで聞こえてたぞ」

「あ、あの……私、お皿を割ってしまって」

しゅん、としながら菊子が言うと日向が「何だ、皿か。俺はてっきり……」と漏らす。

「てっきり、何です?」

 菊子が訊ねると、日向は「何でも無い」と答える。

「どの皿?」

 話をすり替える様に日向が言う。

「あの、これです」

 菊子はシンクを指さした。

 日向がシンクの方までやって来て割れた皿を見る。

「あんた、この皿、十万円」

「えええっ!」

 菊子は眩暈を覚える。

 菊子が額に手を当てると指先の傷口から溢れた血が額に付いた。

「あんた、怪我したのか?」

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