団らん?8
何でも無い顔をして菊子が言うと日向は、「ほっとけ!」と菊子の顔を見ずに言った。
この男、やっぱりウブだ。
菊子は、またもや心の中で、にんまりする。
「何笑ってんだ!」
日向が菊子を睨みつける。
「別に」
菊子は取り澄ました。
いけない。
顔に出ていたか。
一人反省の菊子。
「日向、本当に大丈夫か? お前、ちょっと変だぞ」
雨がそう言うと日向は、「どどど、何処が?」と焦りを見せて言う。
「そういう所が」
雨は日向を指さす。
「へっ?」
日向は自分に向かって指をさす。
それを見て菊子は笑いそうになった。
雨は、日向をじっと見つめて、うーん、と言ってから、「キッチンで何かあった?」と日向に訊ねる。
雨に訊かれて日向は、しゃきりと背筋を伸ばす。
「全然」
そう答える日向の声は震えていた。
雨は、「ふぅーん」と何やら含んだ声色で言うと菊子の方へ視線を向ける。
菊子はすまし顔でコーヒーに口を付けた。
日向は緊張した面持ちで菊子と雨を見ている。
その緊張は菊子にも、当然雨にも伝わっているだろう。
仕方なし、このウブな男の為に黙っててやるか。
菊子はそう決める。
「何だか仲間外れの気分だな」
雨はそう言いながらも顔は笑顔だ。
その笑顔に菊子はふと、雨が余計な邪推をしてやしないかと不安になった。
め、目黒さんの事だからあり得ないけど、キッチンで私と日向さんが淫らな事をしていたんじゃないかとか想像して無いわよね?
違うから!
断じて違うから!
そりゃ、ちょっとキュンと来るシチュエーションだったかも知れないけど、断じて違うから!
確かに日向さんはかっこいいけど性格はアレだし、私、ときめいて無いし!
目黒さん、違いますから!




