団らん?7
雨はリビングダイニングのダイニングスペースにいた。
一人でのんびりとダイニングテーブルの前で小説何ぞを読んでいる。
雨の車椅子は普通の物に変わっている。
「二人とも、遅かったね。遊んでたのか?」
にやり、として雨はそう言った。
「だ、誰がこんな女と!」
日向が声を上げる。
「楽しく遊ばせて頂きました」
すまし顔で菊子が言う。
そんな菊子を日向が横目で鋭く睨むが菊子は、ふんっと鼻を鳴らした。
雨はそんな二人を見て笑う。
「二人とも、随分と仲良くなったみたいだな」
「そんな訳あるか!」
雨の台詞に日向が叫ぶ。
「ちょっと、日向さん、休戦協定。目黒さんのためですよ」
菊子が日向に耳打ちする。
「うっ」
日向が息を詰まらせる。
菊子は笑って、「そりゃもう、仲良くやってます、ね、日向さん」と微笑みを日向に向ける。
「ああ」と日向が面白く無さそうな表情を浮かべる。
「それは良かった」
何を思ってか、雨は星でも見えるほどの笑顔をしながらそう言った。
ダイニングテーブルに菊子はコーヒーを置いていく。
さて、自分の分を何処に置こうかと迷った菊子は結局、日向から離れた端の席に置いた。
菊子がコーヒーを配り終えると日向がお菓子を配った。
お菓子は、ちゃんと平等に配られる。
お菓子を配り終えた日向が席に着くと菊子も席に着いた。
雨が、「それじゃあ、頂こうか」と笑顔で言う。
「頂きます」
菊子は手を合わせる。
日向は無言だ。
菊子は雨がコーヒーに口を付けるのを見ていた。
雨の唇がコーヒーを吸い、喉が動く。
「美味しいよ」
雨は菊子に視線を向けてそう言った。
「ありがとうございます」
菊子の口角が上がる。
菊子は自分のコーヒーに口を付ける。
ああっ。
本当に美味しい。
菊子は小さな感動を噛みしめる。
「美味しいな、日向」
対面の席に座っている日向に雨が声を掛ける。
「俺が手伝ったんだから当たり前だ」
ぼそりと日向がこぼす。
それを聞いて菊子が、「ええ、手取り足取り教えて頂いてありがたかったですわ」と、さらりと言う。
「ごほっ!」
日向は菊子の台詞に咳き込む。
キッチンでの事を思い出してか、日向の顔が耳まで赤くなる。
面白い。
菊子は心の中で、にんまりと微笑んだ。
「大丈夫か、日向」
心配げな雨に日向は、「だ、大丈夫……」と、ごほごほしながら言っている。
「日向さん、お水、お持ちしましょうか?」




