団らん?2
キッチンに着くと菊子は買い物袋から荷物を取り出して、キッチンテーブルの上で冷蔵庫に入れられる物を仕分け、それを適当に冷蔵庫の中へ入れた。
目黒家の冷蔵庫は大きかった。
冷蔵庫の扉が観音開きになっている。
男二人きりの生活に果たしてこの巨大な冷蔵庫は必要なのか、と菊子は首を傾げる。
男って、どうしてこう大きな物にこだわるのかしら?
男のロマン?
分かりません。
菊子は冷蔵庫の扉を閉め、後の荷物をどうしようかと考えた。
置き場所が分からないから、取り敢えずこのままにしておくか?
「うーむ」
菊子は顎に親指をくっ付けて眉間に皺を寄せ悩む。
「何ぼんやりしてんだ、家政婦」
不意に掛かった声に、「ぎゃっ!」と菊子は声を上げる。
声の方を振り向くと、キッチンの開け広げられた扉の前に日向が怪しげな視線を菊子に向けて立っていた。
いつからそこにいたのか。
菊子は気配すら感じなかった。
「ひ、日向さん。何故ここに?」
「あにきが家政婦の様子を見て来いってさ」
そう言うと、日向はキッチンの中へ入って来て冷蔵庫の中を開き、菊子が先ほど入れた買い物の品を入れ直し始めた。
「あ、私、適当に入れてしまって。すみません」
冷蔵庫を覗き込みながら菊子は言う。
日向からの返事は無い。
何だかな、と菊子は思う。
日向は冷蔵庫を閉めると、今度はキッチンテーブルに置かれた荷物を片付け始めた。
「あっ、私もやります」
菊子がそう言うと、日向は面倒くさそうな顔を菊子に向けて「醤油、その棚の中」と言った。
「はい!」
ずっと空気が重苦しい。
菊子は森林に駆け込み深呼吸したい衝動を押さえて日向と買い物の片付けをする。
菊子が、「これはどうしましましょう?」と訊ねる度に日向はイラついた声で答えた。
やっと荷物が片付いた頃には何とも言えない疲労感が菊子を包んでいた。
「あの、日向さん、手伝って下さってありがとうございました」
ありがたい様な、そうでもない様な微妙な気持ちで菊子は日向にお礼の言葉を述べる。
日向は能面でも付けている様な顔で「別に」と素っ気ない。
このまま日向と一緒にいても息が詰まりそうだと、「あの、じゃあ私は目黒さんの所へ……」と菊子がこの場を去ろうとすると、日向が「待て!」と鋭い眼光を菊子に向けて来た。
「はぃ?」
な、何よ?
何だってのよ?
びくびくする菊子に日向は「家政婦、お前に任務がある」と言う。
「任務? 何でしょう?」




