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恋、しません?  作者: 円間
第一話 男友達の家政婦致します
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桜舞う。買い物へ行く8

 戸惑う菊子に雨が「菊子はお菓子の袋を持ってくれたら良いから」と言う。

「えっ」

 重たい物は全て男に任せ、軽い荷物を持つ事に甘んじる。


 さっきは男を立てる、とか思ったけど、何か百パーセントそういう感じになるの、嫌だ。


「ガキの使いじゃあるまいし、大丈夫です。お気遣はありがたく頂戴致しますが、あまり舐めないで下さい。私はこの荷物から家に着くまで手を離しませんからね!」

 そう言うと菊子は雨を追い越して、すたすたと先を歩き出した。

 後ろで雨の、ふふっと言う楽し気な笑い声が聞こえる。

 菊子は頬を膨らましながら、ずんずんと進んだ。

 やがて菊子に追い付いた雨が菊子の隣に並ぶ。

 菊子が横目で雨の顔を見てやると、雨は何故か清々し気げな表情をしていた。


 何よ、気持ちよさそうな顔しちゃって。


 菊子の頬がさらに膨らむ。


 こんな男に恋なんてするもんですか!


 菊子の足が早まる。

 そのスピードに雨が合わせる。

 菊子は更に歩く速度を速める。

 雨の車椅子のスピードも上がる。

「目黒さん、私、絶対にあなたに恋愛感情なんて抱きませんから!」

 もはや駆け出す勢いの菊子は雨の顔を見ずにそう言った。

「俺も菊子に絶対に恋愛感情は抱かないよ」

 のんびりとした声で雨が言う。

「はぁ、さようですか!」

「うん」


 桜が風に舞う。


 桜の花びらが二人に落ちる。


 薄紅色の花弁。


 たった今、恋に落ちない二人を柔らかな花びらが淡く染めた。






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