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恋、しません?  作者: 円間
第一話 男友達の家政婦致します
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桜舞う。買い物へ行く6

 雨の台詞に菊子は更に目を細めて、「はぁ……目黒さん、せいぜい頑張って今の体型を維持して下さいね」と、つんとして言った。




 菊子は雨の後についてスーパーの売り場を巡り、食料調達をした。

 雨の手が届かない所にある物は菊子が取り、そうで無い物は全部雨が取った。

「あっ、そうだ。日向さんに醤油を頼まれていたんでした」

 思い出して菊子が言うと、雨は、すいすいと車椅子を動かして醤油が並んでいる売り場まで菊子を案内した。

 このスーパーの事なら雨は何でも知っている様だった。

 棚に並ぶ、ピンからキリまでの醤油を眺め、菊子は雨に、「どの醤油ですか?」と訊ねる。

「これ」

 そう言って雨が指差したのは一番高い醤油だった。

「こ、これですか! た、高いですよ!」

 菊子は醤油の値段に目玉が飛び出しそうになる。

「うん、高いね。俺は普通の醤油で良いと思うんだけどね。でも、日向が調味料にこだわっててさ。うちではこの醤油なんだよ」

「はぁ、そうですか……」


 私なんか、醤油なんて一番安いのを買うんですけど。


 菊子は、その心の声を外には出さずに心の内に仕舞いこんだ。

 菊子はかごの隙間、ぎりぎりに醤油を滑り込ませた。

 買い物かごは食料で結構いっぱいになっていた。

「あ、そう言えば今日のお夕飯の買い物がまだでした」

 菊子は、はっとして言う。

 もう買い物かごはいっぱいだというのに夕飯の買い物までしなければならないなんて、と菊子は、がくりとする。


 目黒さんのお菓子さえなければ。


 かごの半分を占めるお菓子の山を菊子は憎らし気に見る。

「夕飯、何にするつもり何だ?」

 お菓子の支配者、雨が菊子に訊く。

「はぁ。初めてのお料理に何ですが、ホルモン焼きにしようかと。キャベツと一緒に炒めて、味はピリ辛で。目黒さん、ホルモンとかモツとかお好きでしょ。それにトマトサラダと、何かお味噌汁……とか考えていたのですが。如何でしょう?」

 一汁三菜とまではいかなかったがホルモン焼きのボリュームがあるのでこれくらいで良いかしらと菊子は考えていた。

 しかし、我ながらデビュー作のメインがホルモン焼きと言うのはどうかと菊子は思った。

 ここは、潔く肉じゃがの出番ではなかろうか? と天使が囁いたが、久しぶりにホルモン食べたい、ほら、目黒さんもホルモン好きだし! と言う悪魔の囁きに菊子は乗ってしまった。

「良いんじゃない、ホルモン。食べたいな」

 雨の鶴の一声でメニューは決まった。




 夕飯の材料をかごに入れてしまうと、かごは山の様になった。

 レジでの会計の金額に菊子の寿命メーターは、ぐーんっと縮む(会計は雨持ちだが)。

「ありがとうございました」と言うレジ係の爽やかな声が菊子には何処か遠くに聞こえた。

 買った物は大きなレジ袋三つ分になった。

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