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14. 慎みなんてありません


「結局マルク様は私のことを離す事ができないのね」

「ポーレットだってやる気だったろ」


 ワインをかけられたポーレットは、ドレスの染み抜きのために休憩室にマルクと入ったが結局脱がす段階でマルクもポーレットも火がついてしまい、そのままなし崩しとなった。


「それにしても、ミカエル団長に近付くにしたってやり方があるだろ。前と同じじゃダメだ」

「だってマルク様が悪いんじゃない。私をきちんと売り込んでくださらないから」


 結局は欲に負け悦楽に耽ってしまったものの、この頭の足りないポーレットは何をやらかすか分からず、その都度自分の立場が危うくならないかハラハラしなければならないマルクは考え込んだ。


「リュシエンヌを殺しちゃえばどうかしら?」


 可愛い顔をしたままで、ポーレットは物騒な事を口にした。


「そうすればミカエル様も目が覚めるわよ。そこに私が誘惑すればきっと上手くいくわ」

「俺にとってはメリットが少ないだろう。俺はリュシエンヌと婚姻を結んで伯爵家に婿入りするんだから。リュシエンヌが居なくなれば困る」

「そうねえ、マルク様のことを考えたならば殺しちゃうのはだめね。うーん……。まあ考えておくわ」


 この子リス令嬢と呼ばれた娘は可愛らしい顔のままでリュシエンヌを殺すなどと平気で宣う性格であった。

 さすがのマルクも、義理とはいえ姉を殺すことに微塵も罪悪感を感じていないポーレットに空恐ろしいものを感じた。


「おい、勝手なことはするんじゃないぞ」

「だから、マルク様に色々言われる筋合いはないわ。私はミカエル様と婚姻を結ぶ事ができればそれで良いのだから。正直、貴方とお姉様がどうなろうがどうでも良いのよね」

「お前……! よくそんなことが言えるな!」


 やはりこの毒婦とは組めないと、マルクはさっさと衣服を着て休憩室から出て行った。


「あらあら、どうしましょう。ドレスを誰かに着せてもらわないといけないわ」


 ポーレットは呼び鈴を鳴らしてこの邸の使用人を呼びつけた。

 そしてその使用人がなかなか良い男であったから、またしばらく休憩室から出ることはなかった。




「ふうむ。なかなかの好色具合だ。近頃の女は明け透けで慎みがないんだな。姉のことを躊躇いもなく殺せるという豪胆なところは認めるが」


 ポーレットの様子をずっと見ていたのはファブリスだった。

 マリアも途中までは一緒にいたが、ミカエルのところへ戻ったので自分はこの毒婦と屑がリュシエンヌによからぬことを企むのではないかと心配し、見張っていたのだ。


「屑はまだしも、毒婦の方はリュシエンヌに害を及ぼすこともあるかも知れん。リュシエンヌとミカエルに伝えておこう」


 まだ休憩室で過ごすポーレットを放ってファブリスはミカエルとリュシエンヌのところへと戻った。


 

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