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ミーティアライトのいたずらよ外伝  作者: ヒジカタアルジ
9/21

コハクの愛《外伝続き》

『すまなかった、その胸の傷は俺の責任だ、一生懸けて償いたい。』


て、サトルに言われたけど、あの雰囲気は告白じゃなくて、贖罪というか責任感というか。


すれ違いざまに話す程度だけど、頭の中にずっと居るような感じ。


失恋して、もう次なの?気付けばサトルに目がいってしまう。


百合子さんへの好きっていうのは、こんなもんだったのか?


頭の片隅でモヤモヤしたものを残しながらの追い討ち。


『付いてきてくれないか?』


『春の終わりには出発する。』


もう会えないみたいな言い方じゃないか、胸の傷が痛む。


何をしてても上の空。


誰にも相談出来ないし。


気付けばもう明日、どうすれば・・・


サトルへの想いとやらは、なんなんだろう?


そんな事を考えながら宿舎の裏を歩いていると、オッドアイの白猫を発見した。


総一郎んとこの飼い猫モチ。


変わった目をしてるね、左右の色が違う。


君には何が見えてるのかなぁ。


見たいモノしか見えないのがワタシの悪い癖。


しゃがみこんで、問いかける。


「モチちゃんよ、愛ってなんだろうね?」


「にゃ?」


「同じ猫科同士、会話出来ないもんかなぁ?」


モチの顎を下からくすぐる。


「にゃー。」


「付いてきてくれないかって、ずいぶん勝手な言い方だと思わない?ワタシにだって色々あるのよぅ。」


「ほぅ、どんな事があるんだ?」


「ほわっ!しゃべった?」


尻餅を付くと後ろに気配を感じ、振り向くと、トワコさんが立っていた、腕組み、煙草のいつものスタイルだ。


「なんだ、トワコさんかぁ、びっくりしたぁ。」


「ここ最近元気ないな、猫科ではないが会話は出来るぞ。」


聞いてたのか?ワタシの独り言を。


「サトルが出ていくって・・・」


「あぁ、私が推薦した、ここに居続ける事がサトルにとって良くないと思ったからな。」


トワコはさらに言葉を続ける。


「ここに居れば、平和だし、楽しいだろうな、でもアイツはそれで満足しない。アイツはもっと前へ、上へ突き進むぞ、そして、必ず挫折する。」


「挫折・・・」


ワタシは反芻(はんすう)する。


「必ずする。アイツは苦しむぞ、二度と立ち上がれないかも知れないな、その時、おまえはどうする?」


「ワタシは・・・・」


トワコさんは一言添えて去っていった。


「愛ってなんだろうね。」


最初から聞かれてたか。


すぐに返事を聞かせに行ってやった。


ワタシはこの人と生きていく。



出発当日。


みんなに見送られ、やっと実感が沸いた。


滲んだ視界の中、百合子さんを見つけると、百合子さんの方から抱きついてきてくれた。  


ワタシは百合子さんにだけ聞こえる音量に笑顔を添えて。


「百合子さんが好きでした、今はサトルを愛しています。」


百合子さんも泣いてる?うんうんと頷きながら、アドバイスをくれる。


「コハクはいつだって真剣に他人を想うやさしい子ですよ。愛して、愛されて、たまにはケンカしなさい。」


次に会う時には、もっと幸せな姿を見せてやる。


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