コハクの告白《本編6.5話》
背の高い女性が好きだったわけじゃない、好きな女性がたまたま背が高かっただけ。
初めて見たのは組手をしている時だった、男に引けを取らない一生懸命な姿、きれいな人だと思った。
一度だけ組手をした事がある。
きれいなハイキックをもらい、鼻血を吹き出し倒れた。
あまりに予想外だったのか慌てる素の表情を見て、恋に落ちた。
同期の男達は興味本意でアタックし、玉砕していった。
ボクはあなたより背が低い、こんなボクは嫌いだろうか?
身長は伸びなかったが、訓練も座学も頑張った、あなたに認めて貰いたくて。
『よく頑張りましたね。』
思いがけない称賛の言葉に、想いが溢れた。
「百合子さん、あなたが好きです。」
少しびっくりした顔をしてから、真剣な顔ではっきりと言われた。
『私があなたを好きになる事はありません。』
完璧にフラれた、入り込む余地がない。
以降接する機会が減り、すれ違う時に会釈する程度になった。でもやっぱり好きなんだろうか。
目で追ってしまうボクがいる。
ある日、百合子さんが結婚したと聞いた。そして、子供が出来た為、退役したとも。
気になって見に行ってしまった、相手はボクと同じくらいの背丈じゃないか。
ナゼボクデハナカッタ?
そして、世界が一変した。
ボクの体に変化が起きた、ブカブカだった軍服がピッチリとするくらい体が大きく、黄と黒の縞模様が全身に浮き出る。
二足歩行の大きな虎の姿に進化した。
幸い元の半獣人の姿に戻れた。
ボクは強くなった。
今なら、百合子さんも見直してくれるかな、町を探して、住んでたとこも探して、居なかった、ダメ元の軍事駐屯地で見つけた。
相変わらずキレイだった、隣の男が邪魔だ。
今日もにこやかにしゃべってた。
ズルい、ズルい、ズルい。
二歳下だから22~3歳ですね。