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第5話 地下からの脱出

「おーいロープ取って来たぞー」

フロウの声だ、助かったぁ。

「おせぇぞー、急いでくれ、敵に襲われてんだ。」

急いで声のした方向に向かう、杖持ち含む黒フード達は大体へばってるが、あの爺さんが何処に行ったのか分からない以上早めに脱出した方が良さそうだ、そうして俺がロープを掴んだところで

「逃がすかぁ!」とさっきの爺さんが短刀を投げてきた、ロープを切られたらヤバい!俺は何とか短刀を弾き、

「フロウ、急いでロープを上げてくれ!」

「おうよ!」

ロープが引き上がり始めるのを皮切りに洞窟での最後の一幕が始まる。

 魔法弾、槍、短刀の一斉掃射、爺さんと新たな黒フード達の全力攻撃、それに対して俺はロープに掴まったまま向かい打たなければならない。

「ええいままよ、行けるかどうかは知ったこっちゃないが行け!聖剣ファイヤー!」

と雑にエナを込める、本来エナは繊細な操作によって魔法になるがこの聖剣は少し使っただけでも分かる程に大雑把な性格をしているから行けるはずだ!

「そんな雑な操作で魔法が打てるかぁ!」

援軍黒フードが更に魔法弾を追加して来た、魔法弾、槍、短刀の第一波もロープに当たるっ・・・・・・

 「だが、そぉはならないんだなぁ、」

絶望の一瞬、どこかダウナーな声とともに巨大な物体が落ちてきて槍とか短刀とかの攻撃を破壊した。

「何勝手に面白そうな事始めてんのさ、私も混ぜろよぉ。」

ダウナーな声の主———アリスはそんな格好いいセリフと共に着地した。

「ナイスだアリス!・・・・・・って感心してる場合じゃねぇ、なんで降りてきちまったんだ、後第二波来るぞ。」

言いながら無意識に聖剣を前に出すと、

「聖剣の炎だとぉ!」

黒フードの言葉で気が付いた、聖剣から竜の吐息にも似た紅蓮の炎が出ていた。あんな雑にエナを入れただけで魔法が出るのかよ、正直無理だと思ってたぞ・・・・・・。

「おーすごい、私もサボってらんないなぁ」

そういいながら手に持ったチェーンソー(本人はトゥウィンクルと呼んでいる)のスターターを力強く引っ張る、ブロロロロロロロというエンジン音が洞窟に響き渡り、刃が踊りだす、それはまるで殺戮開始の合図の様だった。

 「臆するなッ!」

一番早く動き出したのはやはりあの爺さんだった。第二波が聖剣の炎で撃ち落とされ、凶悪なトゥウィンクルの見た目に全員が臆している中で、あんなにも早く動き出せるあの強さはなんなんだよ・・・・・・だが、俺たちだって負けねぇぜ!

「フロウッ!」

合図を送りながらロープの反動を利用して洞窟を脱出、横のフロウは俺と入れ替わる様にフックを投げる、フックはロープより短いがロープを降ろした事で洞窟の高さが把握できたため、フロウの頭の中でフックの長さ+アリスの跳躍なら十分アリスに届く事が出来る計算が完成していたのだ!

「ダッシュ、ギリギリまで手ぇ伸ばすから支えといてくれ!」

「おう」と返事をしようとしたところで・・・・・・

 「俺だって雑兵じゃねぇ!」

恐らく黒フード達の誰かだろう、高速呪文かなんかでフックを撃ち落とした!体をギリギリまで洞窟に近づけていたフロウはそのまま洞窟に落下していってしまう。

「フッ、計算通りだぜええええええええええ」

明らかに予定外の事が起こった時の声のトーンで叫びながら洞窟の闇に消えていくフロウ、クソッここからじゃあ暗くて洞窟の中様子が分からない。・・・・・・仕方ないか。

 俺は手近なポールにロープを括り付け、ロープと共に漆黒の戦場に飛び降りた。

「燃え上れ!」

飛び降りながら聖剣に炎をともす、紅く輝きながら落ちてくるその姿はさながら流星の如し、これが敵陣に落っこちたら面白いよなぁ!俺は聖剣の炎をジェット噴射させ、落下地点を定める、ロックオン!

「位置エネルギーの力を受けな!シューティングスターフレアァァァァァァァァ!」

敵陣のど真ん中、紅く燃える流星が大きなクレーターを作った。ジリッと黒フード達が一歩引く足音が聞こえる。

「貰ったぁ!」

紅い流星に黒フード達が気を取られていた時にフロウはちゃっかり黒フード達の後ろに回り込んでいたのだ!

「ぐはっ」「おごっ」「ぎえー」

次から次へと黒フード達が倒れていく、フロウはそんなにパワーがあるやつじゃないが、後ろからナイフで殴られたら、そりゃあ気を失う、痛そうだぜ、なんかあいつのナイフトゲトゲしてるし・・・・・・。

 「て、撤退じゃ!殿はワシに任せろ!」

爺さんが撤退の指示を出す、フロウに何人かやられた後直ぐに撤退を判断する辺りやはり判断が早い。

 「逃がすかぁ!」

「遊び足んないよぉ」

怖え、俺の横でチェーンソーギュイイイイイってやんなよ・・・・・・なんて俺とアリスが追撃の構えをとっていると、横からフロウが口を挟んできた。

「まあ待てお前ら、ここは一旦退こう。」

「随分弱気じゃねぇか」

フロウは落ち着いた様子で答える。

「まあな、まだ俺達はこの街の事をよく知らない、追っても多分逃げ切られるし、罠のある場所に誘い込まれたら危険だからな。」

 「なるほど」と俺が納得し、「アリスもそれでいいか?」と聞くと・・・・・・

「「居ねぇ!!」」

 「あのバカ人の話も聞かずに突っ走りやがって」

とフロウがぼやく、だがどこか諦めた様子なのは、戦いで血がたぎったアイツが人の話を聞かないことをよく知っているからだ、無論俺も。

 少し走ると割とすぐにアリスに追いついた、文句の一つでも言ってやろうと思っていたが、とてもそんなこと言えそうもない雰囲気である。アリスが例の黒フードの爺さんと戦っていたのだ。

 アリスが繰り出す大振りなチェーンソーを、爺さんは小さな短刀でいなしている、そして技の隙に細かく短刀の攻撃を入れてくる、明らかにアリスの劣勢だった。

「チマチマと攻撃しやがって、戦いは数じゃねぇ、私はテメーを一撃で殺れるッ!」

アリスの奴随分とヒートアップしてやがる・・・・・・

「アリス戻れ!」

フロウが叫ぶ、その声でアリスは大振りの攻撃をキャンセルし、一歩引いた、それまでアリスが立っていた場所には爺さんの短刀があった。

「ほぅ、避けるか、どうした?ワシを一撃で殺せるんじゃなかったかのぅ」

そんな爺さんの煽りに対して、アリスは以外に冷静だった。

「爺さんこそ、あれだけちょこまかしてたのにどうしていきなりあんな踏み込んだ攻撃を?」

単純に気になるといった感じだ、しかし戦ってる時のアリスは普段のダウナーな感じとはかけ離れている、バーサーカーの気があるのかもしれない。

「何、そろそろ仕込みが効いてくる頃だと思ってのぅ」

爺さんがそんな事を言った途端、アリスが膝をついた。

「私に何を・・・・・・いや毒か、」

「ご名答、この毒は地獄の様な痛みと共におおよそ三日で死に至る、苦ル死味茸の毒じゃ」

爺さんは続けてこんなことを言ってきた。

「まあ何も命までは取らん、もしその聖剣を返してくれるならこの解毒薬をくれてやろぅ」

そう言って爺さんが懐から解毒薬の入った小瓶を取り出したので、フロウが一瞬の隙にロープフックで小瓶を奪い、俺達はアリスを抱えて洞窟を後にした。

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