第35話 二天三転
「うおおおおおおおおお!爆進突破激!」
「まぁ初手はそれだよなぁ、アイスバーン!」
!?、地面が凍った、す、滑るッ!
「身体が浮いた!それならこれは回避出来ないねぇ!」
アイスバレットか・・・・・・だが、俺の爆進突破激は終わってねぇぜ!
「潜るぜ!」
最短距離、の解釈を変えて爆進突破激の軌道を地面に向けた!地下を切り裂きながら接近してやる!
「本当に凄いやダッシュ君、そこまで聖剣を制御するなんて・・・・・・でも、地面に潜ったのは悪手だったかもね!」
!?硬い・・・・・・土が凍っているのか、や、やべぇ、早く地上に上がらないと・・・・・・ハッ!?
「なかなか上がってこないなぁ、死んじゃった?それなら聖剣の回収が面倒だけど・・・・・・」
そうだ、ダッシュ君が登ってくる間に彼のお友達の・・・・・・名前なんて言ったっけかな、殺しておこう。
「・・・・・・居ない。」
逃げた?あの深手で?
「こりゃあ二対一って考えた方が良さそうだね・・・・・・」
しばらく待っている、僕はダッシュ君がどこから出てきてもいいように歓迎の氷柱を空中に大量に準備していた。
「僕の消耗狙いかな、メテオとか大技見せてる訳だし僕が疲れてると思ってるのかも。」
まぁ、だとしたら見当違いもいいとこだ、あんな文字通り隕石サイズの氷僕の全魔力を使っても作れない、あれは日々地道に空の魔力を弄って、少しのスイッチで隕石が落ちてくる様にストックしていたものだ。
「はぁ、ちょっと疲れてきたなぁ・・・・・・」
そうして僕が地面を眺めていた時だった。
「爆進突破激、空!!!」
「上から来るだとおおおおおおおお!!!」
流石の僕も予想外、地下を移動して遠くまで行って、上から飛び降りて来た訳か!
「取った!」
「僕の魂はそんなに安くはないよん!」
ガキィン!
「シャーレさんも、聖剣が使えたのか・・・・・・・」
「魔力量には自信があってね!」
ふぅ、何とか防いだ。とは言えガードにちょっとしたズルをしたせいで体内魔力をごっそり持ってかれたぞぉ・・・・・・まずいかも。
「ここは一つ、この聖剣のパワーを試してみるかな。」
あえーと、ちょちょいのちょいっと!
「魔獣のエネルギーよ、我が聖剣に集え!」
シャーレが聖剣を掲げると、そこで倒れている魔獣から紅いエネルギーがシャーレの聖剣に集まり、真紅の輝きを発した。
「なっ、マズいッ、魔力を回復されたらマズいッ!」
ダッシュが妨害を試みるも、あっけなくシャーレに防がれてしまった。
「クソっ、ならば俺もエネルギーを集めるッ!魔獣のエネルギー、聖剣に集いやがれッ!」
「そんなに聖剣のパワーに頼っていいのかい?聖剣に精神を飲み込まれちゃうかもよ?」
「へっ、そん時はそん時だぜ!輝け聖剣ッ!」
ダッシュの聖剣にも真紅の輝きが宿った!
「押し切ってやる!うおおおおおおおお!」
「そう簡単には行かないよっ、反転氷属性魔法、火牛ッ!」
シャーレの聖剣から牛の様なシルエットの爆炎が飛び出した!
「ぶつかり合いならぜってぇ負けねぇ!」
ガァン!火牛とダッシュがぶつかり、衝撃波が走る!
「だろうね、じゃあこれはどうかな?反転氷属性剣技、火鷹ッ!」
シャーレはダッシュが火牛とぶつかり合っている間に炎で加速して飛び上がり、天空からのダイブアタックを仕掛けた!
「さっきの俺の奇襲への意趣返しってトコか、だが、まともに打ち合う意味も無ぇ、突撃の動きをそのままにして逃げ躱す!」
強襲するシャーレ、逃げるダッシュ、このまま行けば凌げるッ————だが、そうはならなかった。
「火鷹、二ノ太刀・・・・・・火雀ッ!」
なんとシャーレは空中で火鷹のモーションを崩し、不規則に暴れて炎を撒き散らしたのだ!
「うおおっ、熱っちぃ!」
ダッシュの服に火が付いた!
「・・・・・・」
そしてシャーレ無言の追撃、鋭い突きがダッシュに迫る!
「やっと俺に近づいてくれたな・・・・・・!」
ガキィン!
「怖いねぇ、ダッシュ君、あれだけ逃げ回りながら虎視眈々とチャンスを伺っていた訳か、何をする気だい?」
「必殺の一撃を叩き込む!」
ダッシュの拳にさっき服に付いた火が燃え移った!
「大量の魔力を拳に集中させているのか?しまった!この距離じゃ———」
「バーニングナックル!」
ドガアアアアアアアアアアアアアアン!!!
「確かに出が早いパンチは驚異だった、でも惜しかったねダッシュ君、それでも一手及ばずだ。」
シャーレは額の汗を拭いながらダッシュを見た。
———余裕の表情?何故?
ダッシュは手に持った小袋を掲げて見せた。
「ああああ!それ僕が持って来た適合値上昇剤じゃないか!いつの間に・・・・・・いや、さっき奪ったのか!」
「そうさ、俺の本当の狙いはこの適合値上昇剤。シャーレ!俺の勝ちだ!」
そう言うとダッシュは乱暴に小袋を破り、中の錠剤を全て飲み込んだ!
「な、なんて無茶苦茶な———そのクスリは通常でも一粒、それでも効果が切れた時の副作用は見過ごせないレベルだと言うのに・・・・・・」
「副作用が出る前にアンタを倒せば問題無ぇぜ!」
身体に、血管に血ではなくマグマが流れている様な感覚になる。
聖剣の、力の声が聞こえる。
「くっ、せめて上昇剤の効果が出切る前に倒す!」
「もう遅いぜ!聖剣の封印を今こそ解き放とう!目覚めよ、『真紅の雄牛<ドレッティスト・オブ・ファイヤーエンド>』!」
『ゴオオオオオオオオオオオオオオオオ!』
真紅の魔獣の咆哮は、天を地を、そして世界そのものさえも揺るがした。




