第32話 その30秒は———
「うおおおおおおおおおおおお!掛かって来いやあああああああああ!」
突撃する!シャーレさんは何か秘策があるみたいだった、だから少しでも意識を俺に集めるんだ!
「聖剣は取り返したし、コイツの相手は後に回したかったけど、来るなら切る!」
「シズク、ヤツを止めるぞ!」
「分かった、サトウ、私に合わせられる?」
「愚問だぜ・・・・・・」
シズクとサトウは二振りの聖剣を合わせ———
「合体必殺か!?」
ダッシュは確実にそれが来ると読み切った。
ダッシュは理解していた、聖剣一本のパワーにさえ、自分は押し負ける事を・・・・・・
「だが絶望はしねぇ!俺だってその聖剣を使ったんだ、さっき手に入れたばかりの奴よりその剣の事は理解しているッ!」
あの聖剣を握ってる時に声が聞こえたんだ、撃ち砕けって声が、だから"アレ"は真っ直ぐ来るッ!
「「合体必殺!双炎の霹靂ッ!」」
どう来るのか分かっているならやる事は一つ、技が見えるよりも早く回避行動を取るだけだッ!
「ダッシュジャンプ!」
「合体必殺を避けただと!?」
「奴は何処!?」
へへへっ、必殺技が外れて戸惑ってやがる。
「上から行くぜええええええええええ!」
ダッシュジャンプ斬り、だぜ!
「———ッ、躱しきれないッ!」
取った!
「「俺達を忘れてもらっちゃ困るぜ!」」
なっ、黒フード達の横槍だとッ!
「ぐおおおおおお、吹っ飛ばされるッ!」
ダッシュは受け身も取れず、五メートル程吹っ飛ばされた!
「皆んな、ありがとう!」
「助かったぜ!」
「おうよ、アイツは俺達で抑える!だから・・・・・・」
「分かった、あの白いヤバそうな女は私とサトウに任せて!」
「させるかよォ!」
剣を力いっぱい投げてやる!
「そんな投擲が効くかァ!」
元より剣投げが通じるとは思っていない、剣が墓守達に届くよりも早く、俺は走り出す。
「うおおおおおおおおおお!!!」
「ハッ、丸腰で突撃だトォ〜?バカが!剣同様打ち砕いてやる!」
言いながら投擲された剣を弾いた黒フード、と、その時だった!
「ッ!?何だ!俺の聖剣が光っただと!?」
「私のも!?」
フロウ、お前の作戦に賭けるぜ、いつもの様に!
「へっ、その聖剣の性質は"激突"!突撃して来る物が有ればぶつかって行くのさ!」
「な、何だって!?」
「いや、それならアイツをさっさと倒せば話は早いわ!」
———掛かった!
「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「来るぞ!」
まだだ、
「叩っ斬るわ!」
聖剣が顔前まで迫ってくる、
まだ、まだ、まだだ———
「今だ!」
急ブレーキ、からの煙幕。
「小癪なッ———」
よし、全て上手く行った!その名も『よく分からん聖剣が突然光ったら相手は適当な事言っても騙されるだろ作戦!(フロウ考案)』
正直フロウの頭が失血でおかしくなっただけだと思っていたが、案外上手く行くモンだ。
「フロウが腕を斬られた時、咄嗟に光る魔法片を聖剣にくっつけたんだったか、何でもヤバいと思って適当にポケットの中身投げつけだとか。」
さて、煙幕で奴等の視界が消えてる間に予備の煙幕をバラ撒きまくって少しでも時間を———
「爆進突破激!」
唐突な横からの攻撃!バカな、奴等の視界は封じた筈———いや、
「あの時アンタがやった技、目標に最短距離で近づく技」
この女ッ・・・・・・
「地下の戦いの時、見ていたのか・・・・・・」
あの技、"目標"が見えていなくても使えたのか。
「あの時何もできなかった屈辱に、今、決着を付ける!」
ヤバい、剣も捨てちまった、斬撃は防げない!




