第31話 窮地極まる
「掴んだッ!ありがとうございます先輩、私貴方からのバトンを受け取ったわ!」
「なぁああああ!返しやがれ!俺の聖剣!」
「これは元々私達墓守の物よ、」
「うおおおおおやったなシズク、これでアイツも浮かばれる・・・・・・」
「皆んな、浮かれるにはまだ早いわ、浮かれるのは奴を倒してからよ!」
「そうだぜ!勝負はまだ終わってねぇ!俺は諦めねぇ!」
そう言うとダッシュは手を前に突き出し力み始めた!
「うおおおお、聖剣の所有者権限的なアレでファアアアっと戻ってこい聖剣よ!」
しかし何も起こらなかった!
「ならば手は一つだ!」
逃げるしかねぇ!
逃げた。
「待てええええええええ!」
待てと言われて待つバカは居ねえ、そしてこの逃走は勝負を投げている訳じゃない。
シャーレさんと合流出来ればまだ勝ち目はある!
そうして暫く走ってシャーレが戦っている魔獣の顔辺りに着いた。
あれは———シャーレさんだ!おーーーい!
「ダッシュ君!ナイスタイミング!ってアレ?聖剣は?」
「すいませんシャーレさん、奴等にパクられちゃいました・・・・・・」
「あっちゃー、こっちもレギュレーターを取られてそれがなんか聖剣になっちゃったんだよね、」
「なんスかその絶望的な急展開?」
これがお通夜ムードってやつか・・・・・
「とにかくまずはダッシュ君が持っていた聖剣を取り返さないと勝ち目はなさそうだね。」
「そうっスね、どうしやしょう?煙幕貼って背後からサクッと行くとか?」
「いや、聖剣の力をやたらめったら振り回されたら例え見つかっていなかったとしても、大ダメージは免れないよ。」
「うーん、確かにっス。こんな時フロウが居れば・・・・・・」
「よ、呼んだか?」
「フロウ!」
なんとそこには、右腕を失ったフロウが居た!
「お前らが作戦会議してる間に、サクッと聖剣を取り返そうと思ったんだがな、ヘマしちまった・・・・・・」
「バカ野郎、何カッコ付けてんだよ!血がやべぇ、シャーレさん、なんか止血出来ませんか?」
「今傷口を凍らせたよ、血は止まったけどもうフロウ君はリタイアだね・・・・・・」
「ぐっ、すいませんシャーレさん、俺は一人でもまだ逃げられるから俺の事は置いて先に逃げて下さい!」
流石にフロウがリタイアとなるともう無理か、ここは逃げるしか無え。
俺がそんな事を考えたその時だった。
「あーあ、この手だけは僕使いたくなかったんだけどなぁ・・・・・・」
シャーレは空を見上げていた。
「もしかしてまだ何か手が!?」
俺がそう聞くと、シャーレさんは
「まぁ見てな」
と言って向かって来る敵の方に走って行った。
「グゥッ・・・・・・」
「おいフロウ、大丈夫か!」
「なぁダッシュ、お前、聖剣手に入れたから元々持ってた剣置いて来ただろ?」
フロウは残った左腕で、ダッシュが元々持ってた剣より少し短いフロウの剣をダッシュに渡した。
「俺のフックウィップは右腕ごと落としちまったけどよ、こいつがあればまだお前にも何か出来るだろ?」
「おう、ありがたく貰ってくぜ!」
ダッシュの瞳には、もう迷いは無かった。
「ダッシューー、その剣後で返せよーー!」
「お前こそ、剣返すまでくたばるんじゃねーぞーーー!」
「さて、聖剣持ち二人と墓守の精鋭が数人か・・・・・・これの相手は流石の僕でも骨が折れそうだな。」
どうしたものか・・・・・・あの技を使うにも準備に三十秒は掛かるんだよなぁ、
「シャーレさーーん!」
「ダッシュ君、来たのか・・・・・・丁度いいや、ちょっと聖剣持ち二人と精鋭数名相手に三十秒程時間を稼いでくれないかい?」
「それは『ちょっと』で済ませるモンじゃねーですよ、まぁ、元はと言えば俺が聖剣をパクられたのがそもそもの問題っスからね、自分のケツは自分で拭きます。」
良い返事だ、ホント、ダッシュ君はここで捨て駒にするには惜しい人材だなぁ・・・・・・




