第29話 立ち向かえ!ムラタ&サトウvsシャーレ
魔獣の頭の辺り、ムラタとサトウの二人がシャーレに立ち向かっていた。
「ムラタ、奴は氷の魔法を使う、足元に気を付けろ。」
「分かった!魔法を使う隙を与えない波状攻撃でゴリ押すぞ!」
「ああ!」
剣を構える二人を見てシャーレは
「作戦会議は終わったかい?」
と一言。
「ナメやがって・・・・・・」
「焦るなムラタ、奴は強い」
爪先でトントンと地面を叩いて合図を出す。
「二人同時に来るか〜、流石の僕も少し本気を出さないとかなっ!」
突っ込んで来る二人に対し、シャーレはそこらの小石を蹴り込んだ!
「イテっ、何しやがる!」
ムラタが怒鳴った次の瞬間、ムラタに当たった小石が爆発した!
否、爆発というか表現は正しくない、ムラタに当たった小石サイズの氷から、一瞬で大量の氷柱が飛び出したのだ!
冷たい棘がムラタに突き刺さるッ!
「ぐあああああああああああ!」
「ムラタッ!」
思わずムラタに駆け寄るサトウ、
「背中を見せていいのかにゃん?」
背中を見せるサトウに、シャーレは二発目の氷を放った!
「ぐああっ」
避けきれなかったか・・・・・・
「サトウッ!」
「そろそろ終わりにするよぉ〜ん」
氷柱が弾丸になり、迫り来る!
「封火絶滅ッ!だが・・・・・・」
サトウの封火絶滅は防御技、魔獣の攻撃じゃ無くてもある程度の技なら防げるのだ!
「奴には・・・・・・勝てそうもない。」
「サトウ!諦めるな!」
ムラタは拳を握った、まぁそう言うよなァ!
「そうじゃないんだムラタ、勝ち方を変えるんだ、レッドレギュレーターさえ取り戻せれば・・・・・・」
「・・・・・・」
レギュレーターの事を口に出した途端にシャーレの雰囲気が変わった。
———来るッ!
「鉄穿ちッ!」
手から氷柱を生やし、鋭い槍の様に突いて来た!
「避けろサトウ!」
「言われなくても!」
回避成功!
「手負いでそこまで動くかぁ、君達案外元気だねぇ。」
『ならば力尽きるまで』、と奴さんはやる気の様だ、氷爆弾で切れた傷口から血が割と出ている、早くレッドレギュレーターを見つけなければ・・・・・・
「ムラタ、十秒だけ時間を稼いでくれ!」
「勝機はあるのか?」
「バッファーから奪った魔獣のエネルギーを解き放つ、それでレッドレギュレーターが反応する筈だ!」
作戦会議はさせないとシャーレが氷の剣で切り掛かって来る、やるしか無ぇ!
「うおおおおおおお氷女!こっちだ!」
ムラタが剣を肩に当てがいながらタックルをかました!
「一瞬のチャンス、無駄にはしない!」
封火絶滅は魔獣のエネルギーを己の中に封じ込める機能がある、封じ込める両は本人依存で才能が少ないサトウが封じ込めれたエネルギーは僅かであったが・・・・・・
サトウは僅かな魔獣のエネルギーを解き放った!
薄桃色の波動が一瞬だけ辺りを包み、そして・・・・・・
「やっちゃったかな?」
レッドレギュレーターという名の紅い希望を浮き上がらせた!
「奴の右ポケットだ!やれ!ムラタ!」
「うおおおおおおおおおおおお!」
「させるかァ!」
百人一首ばりに素早い手付きで目標へ向かうムラタの腕を、堪らずシャーレは蹴り上げた!
「うがおおおおおおお!痛えええええええ!」
「だがバランスは崩れた、その隙、見逃しはせぬぞおおおおおおおおおお!」
「僕をここまで追い詰めるとはね、っていうか君口調いきなり変わってない?」
余裕を見せるシャーレ、それもその筈、シャーレはなんと地面から氷のポールを生やし、崩れる体制とサトウの攻撃を、まるでポールダンスの様に華麗にあしらったのだ!だが!
「足元がお留守だぜ?」
ムラタがシャーレの足を掴んだ!
「しぶといね君ら・・・・・・」
「サトウやれえええええええええええええ!」
「うおおおおおおおおおおおおお!」
「生えろ、氷から氷の棘ッ!」
しぶといのはシャーレも同じだ、手を伸ばすサトウに対してシャーレは氷ポールから氷の棘を生やした!
刹那の一瞬、永劫にも似た時が経ち、そして———結果が姿を現わす!
力強く握られた紅い球体、そして流れる血。
サトウは取った!しかし氷の棘は避け切れなかったのだ!
クソ痛え、氷爆弾の比じゃねぇぜ・・・・・・死んだわコレ。だがなァ!
「ムラタァァァァァァァァァァァ受け取れえええええええええええええ!」
最後の力だ!届いてくれ・・・・・・
しかし目の前には非情な光景が広がる。
「始末させて貰ったよ!君はどの道死ぬだろうからレギュレーターを操作できる可能性が高い方を先にね!」
ムラタは氷漬けになって死んでいた。
視界は黒く染まった。
紅
紅い、
闇の中心に何か、紅い何かがチカチカと・・・・・・
声が聞こえる、言葉では無く、声が———
「何を言ってるんだ?」
聞かなければ、
聞かなければ、
聞こえた!
「うおおおおおおおおおおおおお!!!」
力いっぱい叫ぶ、闇を切り裂く様に!
手を伸ばす、チカチカと光る紅い炎を掴む為に!
———闇が拓けた!
俺は立ち、紅く燃える剣を握っていた。




