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第27話 俺の名は

唐突だが時間を少し巻き戻す、ダッシュ達が魔獣の居る開けた場所に来る少し前、目的の為に魔獣のもとにやって来た黒フード達———墓守達が丁度血だらけのサトウと死体の山を見つけた時にだ。


目の前に広がる残酷な光景から目をそらす様に魔獣の方を見ると、そこには血だらけの男が居た。

「お、おい、あれサトウじゃねーか?」

墓守の下っ端三人衆の一人、ムラタが指を指す

「ん、あ、ホントだ、おーいサトウ!」

続いて三人衆のシズクが声を掛けると、血だらけの男は少しこっちを見る様な素振りをするが、何も言わなかった。

「俺、アイツの様子見てくる。シズクも来るか?」

「まぁ、ほっとけないし、勝手に居なくなった文句の一つでも言ってやるわ」

そうして二人は「行っていいっスか?」と言った雰囲気で辺りを見る。

「コホン、魔獣の調査は私達がやっておきましょう。」

と、ボーラットが気の利いた事を言ったので、ムラタとシズクは「ありがとうございます」と言って魔獣の身体を登る。




「サトウ、何があった?」

ムラタがサトウに駆け寄る。

「ムラタ、アレ・・・・・・」

何かに気が付いた様にシズクが指を指す、その方向を見ると、赤黒い色をしたスーツを着たピンク髪の男の死体が転がっていた。

「コイツ、バッファーの野郎だ!くたばってやがる、お前がやったのか?サトウ。」

「あ、ああ」

サトウは力無く頷く。

「すげーよサトウ!大手柄じゃねーか!何落ち込んでんだよ心配したぞ!」

ムラタはそう言ってサトウの肩を叩き、

「勝手に居なくなったのは逃げた訳じゃなかったのね、疑って悪かったなぁ」

シズクはそう言わずにサトウの方を見て、一言「ごめん」と言った。

「バッファー倒せてやったぜ!」って雰囲気のシズクとムラタとは対照的に、サトウの雰囲気はとても暗かった。

「おいおいどうしたんだよサトウ、大手柄だぞ?長は死んじまったけど、多分下っ端からは大出世だぜ?」

とムラタがサトウの肩を叩くと、サトウはその手を払い除けた。

「違うんだ、僕は、僕は皆んなを守れなかった・・・・・・」

「まさか、そこらに散らばってる死体は全部・・・・・・」

「———ッ、皆んな俺と同じ、僕の仲間達だ。」

それを聞いたシズクは口元を手で押さえ、ムラタは真剣な表情になってサトウに聞いた。

「サトウ、ここで何があった?」




正直なんで話したのかサトウ本人にも分からなかった、仲間が皆んな死んで精一杯だったからだろうか?ムラタの真剣さが伝わったからだろうか?分からない、僕には自分の心だって分からない。

僕はシズクとムラタにこれまでの事を話した、サトウ達はバッファーの実験によって作り出された事も、サトウ達は昔一つの心を共有していたことも、バッファーに復讐する為に生きてきたことも、全部全部ぶちまけた。

「・・・・・・これで全部だ。」

「私チームメイト失格だわ、チームメイトのそんな辛い事も知らないで居たなんて、」

「・・・・・・」

少しの間無言の時間が続いた。

「なぁ、サトウ、」

沈黙を破ったのはムラタだった。

「戻って、俺達と一緒に・・・・・・また三人衆にならないか?」

サトウの目を真っ直ぐ見つめてムラタは続ける。

「俺にはお前の心を正確に知る事は出来ない、だからお前が何を求めてるのかも分かんねぇ!分かんねーから押し付ける!俺と一緒に来い!俺はお前にそうしてほしい!」

・・・・・・訳がわからん話だ、やっぱり他人の心は分からない。

「ハハッ」

だけど

「ハハハハハハハッ」


———面白れぇ!



「乗った、今からお前の仲間だ!」

「おうよ!改めてよろしくな!・・・・・・さっそくで悪いんだけど、お前の下の名前忘れちまってよぉ〜この機会に教えてくれないか?」

「もう、アンタねぇ!サトウの下の名前は———」

「いや、僕に、いや、俺に名乗らせてくれ。」

シズクの言葉を遮って僕———俺は名乗る。


「俺の名前はサトウ・ハーツだ!改めてよろしくな!」


———そうして俺達三人は、三人でぐちゃぐちゃの握手をして仲間になった。


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