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第25話 決着

僕は自分で言うのもなんだが、付き合いが悪いやつだったんだろうな、墓守の奴らには色々迷惑掛けたかもしれないし、同じ心を持ったサトウ達にすら大して心を許さず、心が分からなくなってからはあんまり顔を合わせなくなったよなぁ・・・・・・

それでも、サトウ達、自分達から離れて分かった事がある、ヨシトがタケルに吹き込んで、何か面白そうって皆んな集まって、カエデがお小言を言ったりして、そんな景色を側から見てるのは思いの外楽しかったらしい、安らぎと言うか、心地良さみたいのを感じていた。墓守の生活でそういうの無かったからこそ、"そういうの"の貴重さとか、大切さとかに気付いて、皆んなで身を寄せ合って過ごしたボロ屋に帰ればまだアイツらそういうのやってるのかなぁって、それで、それで———


「もう、見られないんだなぁ・・・・・・」

長い一瞬の現実逃避の後、僕の頬に一筋の涙が流れた。

「ハハッ、泣いたのなんて生まれて初めてかもなぁ、我ながら感情が少ないな・・・・・・」

そう言って涙を拭った。僕はまだ生きてしまってる、ここは戦場、"そういうの"の仇がいる場所、感傷になんて浸ってられない。


巨大な魔獣の腹の上を強い風が撫でた。


「バッファー、お前を殺す」

見る。

「墓守の秘術はここで超える、私や社の未来の為に。」

見定める。


二人の思いが交錯する時、それは壮絶極まる死闘の始まりだった。



バッファーは冷静な男だった、どんなピンチでも逆転の目を探し、どんな窮地でも利益を追求した。

思えばバッファーにとって最大のネックは常に墓守だった。

いつかは超えねばならぬ壁、ならばこそ、過去の失敗と障害の二つを同時に砕く今の機会はバッファーにとって好機だった。

「失敗作が、最後まで実験に使ってやる・・・・・・」

バッファーは対墓守用の秘策を既に考え付いていた、試験運用の前に魔獣の力を使う事になったので実戦テストとなってしまったが、

「この際そんな些細な事は誤差に過ぎん、レッドレギュレーター無しは少し危険だが・・・・・・」

魔獣とリンクした自分の魔力の"流れ"を操作する。

「!?何をする気か分からんが、させるかァーーーー!」

突きか、確かに普通の攻撃より早く届くが、そんな事では私の行動は阻害出来ん!

「ぐっ・・・・・・」

剣が刺さるが操作は辞めない、内臓の一つや二つ、魔獣の特大魔力で瞬時に回復出来るのだ!

「なっ、内臓をズタズタにし続けているのに瞬時に回復していくだと!?そんなデタラメな回復力———まさかッ!」

流石の失敗作でも気が付いた様だ、そう、魔獣の額から生えている私も、腹から生えている私も魔獣の魔力で作った肉人形、感覚は共有しているが、本体は魔獣の核の中に居る。

「そして貴様が人形と遊んでいる間にモードチェンジ完了ッ!魔力の流れを私本来のものにした!魔獣の火球魔法などは使えなくなったが、私元々の石魔法ならば、魔獣の魔法にだけ特化した墓守の秘術も貫通するッ!対応する隙も与えんッ!『ストーンファング』ッ!」

サトウを中心に石の牙が生える、噛み砕けばサトウは真っ二つだ!



「そこだああああああああああ」

断末魔の一瞬、サトウは魔獣の皮を切り裂き、魔獣の肉に潜る事で石の牙を回避した!

「ぐっ臭え、だが」

肉の海に光る"ソレ"を睨みながらサトウは言った。

「これでお前を僕が殺せる」

サトウは"ソレ"———魔獣の核を肉の海から引きずり出した!




「ぐああああああああああああ」

肉の海から出て初めに感じたのは"眩しい"だった。

空は夕焼けに染まりつつあったが、それでもとても眩しかった。

そして次に感じたのは"喪失感"だった。身体を満たして余りある魔力は、気が付けば殆ど枯れかけていた。

「最悪だ、最悪の気分だよ・・・・・・」

「僕もだ・・・・・・」

睨み合う。


「『石牙』ァ!」

「『独斬』」



未来を掴もうとする『石牙』と、過去に別れを告げる『独斬』、相手を殺し、今を掴み取ったのは———



「・・・・・・終わったか、」

「み…ら……」



サトウの剣はバッファーの胸を貫いた。



***


日が沈み、もうすぐ夜が来るだろう。


サトウは仲間達の死を癒す様な、静かな夜を願った。




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