第21話 仲間の背中
激戦の後、私はへたり込んでしまった。
「・・・・・・」
まだ手の震えが残ってる。ガックガクだ。
っていうかそう言えばここって敵地だよね?
辺りを見回すが人っ子一人居ない。
「めちゃくちゃ頑張ったから、ダッシュ辺りに労いの一杯でも奢ってもらおうと思ったんけど、どうしたもんかな、全然周り見てなかったわぁ」
「あれっ、アリスちゃんじゃん」
四天王の薄氷のシャーレさんが来た。そう言えば私達はこの人の依頼でこの街に来たんだっけか。どんな依頼だったか覚えてないやぁ。
「シャーレさん、どうしてここに?」
戦闘用チェーンソー、トゥウィンクルから喋る。
「あのデカいのを追って来たのさ」
シャーレさんが指差す方を見ると、遠くに山の様な大きさの、燃える牛の様な魔獣が居た。
「あんな遠いの、よくきがつきましたねぇ」
「いやいや、アリスちゃんがぶっ飛ばしたんじゃないか」
「そうでしたっけ?」
「ほら、戦ってた時にアレが混ざって来て・・・・・・」
言われてみればそんな事もあった気がする。
閑話休題。
「ダッシュ君達や墓守達はアレを追って行ったけど、アリスちゃんはどうする?」
「うーん、シャーレさんはどうするんですぅ?」
「僕?僕は行くよ、探してた魔法も、それより大きな利益も、未だ見ぬ秘密も、アレが鍵になりそうだからね」
そう言ってシャーレさんは、ワクワクとした目で魔獣の方を見た。
「シャーレさんが行ってくれるなら私は休ませてもらいます、ちょっと流石に疲れちゃいましたぁ。」
少し残念そうな顔をした後、シャーレさんは「君が居れば百人力だったんだけどねぇ、墓守の長を倒しただけでも大金星だ報酬は期待しててくれ!それじゃあ僕は行くよ!」
と、シャーレさんは長い銀髪を揺らしながら走って行った。
夕日が沈み始める頃、俺とフロウはアリスにぶっ飛ばされた魔獣にたどり着いていた。
俺達はアリスが魔獣をぶっ飛ばした辺りで、協力する事も、誰かの妨害を弾く必要も無いと見て、本来のミッション———隠された魔法探し達成の為、とてつもなく大きなパワーを感じた魔獣に何か手掛かりがないかと調査に来たのだった。
「おいおいおい、どおなってんだこりゃあ?」
目を疑う様な光景だった。とりあえずフロウを盾にした。
山の様な大きさの魔獣、その額から生えるピンク髪の男、その男に剣を突き立てる血だらけの男、周りに散らばる男女の残骸、燃える森・・・・・・
魔境だ、魔境としか言えない程の異様さがそこにあった。
「おいコラ、離せダッシュ!俺はまだ死にたくねぇぞ、」
「フロウお前が守ってくれたこの命、無駄にはしない。」
「バカ、ふざけてないでとっとと隠れるぞ、だから離せって!」
僕は走っていた。急がなければ、急がなければ、
紅い光が世界を満たした時、あの銀髪の女の氷の拘束が溶けた、だが状況は最悪だった。
僕は墓守だからあの紅い光が何なのか知っていた、"アレ"ことバッファータウンに封印されていた超強力な魔獣『真紅の雄牛<ドレッティスト・オブ・ファイヤーエンド>』だ。
最悪な事実への確信はまだ続く。バッファーはその真紅の雄牛の力を引き出す術を研究していた、そして紅い光の発生源の方向を考えれば、バッファーが真紅の雄牛を復活させたと見るのが妥当だろう。
僕は走った、仲間の為に、そして、僕は予感を感じていた———僕等の全ての始まりである真紅の雄牛を越えれば、きっと僕等は本当の自由を得られると・・・・・・
『グオオオオオオオオオオ!!!』
大気を揺るがす咆哮、その場の誰もがソレを見上げた。
真紅の雄牛、アレが復活したという事は、アイツは間に合わなかったか・・・・・・
「タケルッ!あそこにバッファーが!」
バッファーに4番と呼ばれていた仲間、カエデが指差す方を見ると・・・・・・
「バッファーの野郎あんな所に・・・・・・」
真紅の雄牛にバッファーは居た、その額から生える様に。
真紅の雄牛の額は高い所にある、真紅の雄牛がバカデカイから当然である。
「困ったなぁ、どうやって登ろうか・・・・・・ヨシト、なんかいいアイディアないか?」
ヨシトは23番と呼ばれていた緑髪で作業服を着ているそこそこ賢い男だ。
「登る必要はないんじゃないか?」
顎に手を当てるヨシト。
「?どういう事だ?」
「真紅の雄牛を転ばせればいいんだよ!」
「出来んのか?そんな事」
「簡単さ、都合の良い事にここは市街地だ、ツイてるぜ俺ら、硬い建物とワイヤーを使ってワイヤートラップを貼ればイチコロよぉ!」
「凄え!」
流石はヨシトだ、そうと決まれば・・・・・・
と、ワイヤートラップを作る前に真紅の雄牛がぶっ飛ばされたので、アレが起き上がる前に!と俺達は真紅の雄牛を追って街の外へ出た。




