第18話 慟哭
バッファーが言う番号に該当するサトウタケルの仲間の名前を先に出しておきます。
4番 → カエデ
16番→ ニコ
23番→ ヨシト
「「行くぞおおおおおお!」」
「4番に16番、23番まで・・・・・・、クソ忌々しいカス共が、私の邪魔をするなァーッ!」
私は一気に逆境へ立たされていた。石柱魔法を使い失敗作共の攻撃から身を守っているが、<レッドレギュレータ>、あの球体を取り返さなければいずれ魔力が尽きる。
私から球体を奪って行ったのは2番だったか、ただ震えているだけの無能がッ、クソッ!
「一刀両断ッ!」
上からの斬撃、咄嗟に避け、石柱魔法を使うが、魔力に限りがあるせいで、スピードが落ちている。
「ぐああああああ!」
石柱魔法のガードが間に合わず、左腕を切り裂かれてしまった。
「足を引っ張るどころか、腕を持ってってやったぜ!どうだクソ野郎!」
「3番・・・・・・失敗作風情が・・・・・・」
クソッ、出血が激しい、私はこんな所で終わる訳には・・・・・・
「うがああああああああああああああああ!」
生死の境界、その一瞬バッファーの魔法知識は最も凄惨な解決方を導き出していた!
「バッファーの野郎、体内の魔力を無理矢理石に変えて止血しやがった・・・・・・」
「ククク、ハァ、ハァ、私をここまで手こずらせた失敗作クソ虫共のしぶとさを少しは見習ってみたのさ・・・・・・」
私の息は荒かった、去勢を貼るが、もうじき限界が来るだろう。だから———
「最後の作戦を解き放とう」
「「何!?」」
全力で阻止しにかかる失敗作共、だが遅い!
「強者とは、常に切り札を隠し持っているものなのだよ・・・・・・」
レッドレギュレーター、解放<リリース>。
世界が紅い光に包まれた。
「タケル達、上手くやってくれよ、」
サトウはバッファービルから離れた街の中、仲間の無事を祈りながら走っていた。
「!?」
誰かとぶつかった、夢中で走っていたので気が付かなかったのだ、
「急がないと・・・・・・」
サトウは先を急ごうとするが、
「おいおい、僕にぶつかっておいて詫びの一つも無いとはどういう事だい?」
ぶつかった白い髪の女に肩を掴まれてしまった。
「?、すいません、じゃあ」
じゃあ行きます、とはならない様だ。
「邪魔する様なら、アンタを殺す」
サトウは事務的にそう言った。
「へぇ、僕相手に殺すだなんて、少年なかなか勇者だねぇ。」
白髪の女、シャーレは嗤った。
バッファーに魔法調査を依頼した張本人であり、組織の四天王、<いともたやすく砕く者(薄氷の)>の異名を持つ強者。
そんな彼女が何故バッファータウンに居るかと言うと、ダッシュに仕込んだ魔力探知器に異常な波長を感知したからだった。
「そして目の前の少年が持っているモノにも近い波長、怪しいねぇ・・・・・・」
眼を細め、舌舐めずりする。
それに見られたサトウはヘビを前にしたカエルの様な感情を持った。それは恐怖、しかし彼にとって恐怖は前進の理由に過ぎない。
「疾ッ!」
咄嗟に逃げ出す。逃げ出す。逃げ出・・・・・・
いつの間にか脚が凍り付き、身動きが取れなくなっていた。氷魔法か・・・・・・
「僕から真っ先に逃げようとするのは懸命だねぇ、そんな懸命な君に大チャンス!君の持ってるその魔道具をくれたら、命までは取らないぜ!」
ビシッ!とシャーレはサトウのポケットの辺りを指差した。
「アンタ、バッファーの手下か!?」
サトウが吠え、脚の氷にピシピシヒビが入る。
「なるほど、やっぱり"アレ"力はバッファーが持っていたか・・・・・・」
「何一人でブツブツ言ってやがる、バッファーの手先は全員殺す!」
「暴れない暴れない、足ごと氷が砕けちゃうぜ?それに僕はこの通り、バッファーの手先なんかじゃない、僕は氷の魔法少女シャーレさ!」
白い髪を揺らしキメポーズをするシャーレの姿を見て、サトウはどこか哀れなモノを見る目で見ていた。
「あっ、隙あり!コレは貰ってくよー、バッファーには渡さないから安心しな〜!」
サトウが呆気に取られているうちに、シャーレはサトウのポケットから球体を抜き取り、バッファービルの方向へ走り去って行った。
「あっ、待て!」
サトウのその言葉はあまりにも遅かった。
「俺達を助けに行かないと・・・・・・」
どうにか氷の拘束から抜けようとするが、無駄に終り、サトウは氷魔法の効果が切れる五分後まで何も出来なかった。




