第16話 加速していく戦い
息を切らしながら言った。
「俺の、勝ちだ!」
身体中傷だらけになりながらも立ち、そして後ろには随分と遅く到着したダッシュが居た。
「え、今どんな状況?」
おい、
「遅せーよダッシュ、ギリギリだったぞ。」
「おうすまん、それでフロウ、今どうなってる?」
「見りゃわかんだろ、さっきまでギリギリのバトルをしてたが、お前が来て二体一、ほぼ勝ちって感じだ、俺はもう限界だからトドメを刺してこい」
「?お前こそよく見ろよ」
「?」
ダッシュとの会話が余りにも噛み合わず、不思議に思って辺りを見渡すと、十数人ほどの黒フード達が居た。
「しまった、通路で戦っていた黒フード達に援軍が来る可能性を失念していたッ!」
「どうやら形勢逆転の様ですね、頼りになる仲間達に感謝です」
ボーラットは黒フード達の方を見て笑った。
「流石っスよボーラットさん、聖剣持ち相手に抑え込むなんて!」
「あっ、いや、違———(そいつ来たばっか・・・・・・)」
ボーラットの言葉を待つ前にムラタが叫ぶ。
「ボーラットさんが頑張ってくれたんだ、俺達も行くぞ、シズク、サトウ!」
シズクと呼ばれた黒フードは鎖鎌を中段に構えた、サトウと呼ばれた奴は・・・・・・
「あれ?サトウの奴どこ行った?」
「・・・・・ッ居ないわね、ムラタこのまま行ける?」
「しょうがねぇ、俺は聖剣持ちを、シズクはウザい長髪の方を頼む」
「ウザい長髪って俺かぁ!?」
落ち込むウザい長髪、もといフロウ。
「っていうか結構ピンチじゃねーか!フロウを守りながら連携の取れそうな十数人を相手するのは無謀過ぎる、」
ダッシュはフロウの方を見た。
「ああ、逃げるぞダッシュ!制御装置を破壊したならアリスのほうの三つ巴も戦局が変わってる筈だ、合流すれば突破口が開けるッ!」
そうと決まれば俺達の行動は早い、フロウが煙幕を張り、俺が一撃入れている間にフロウが逃げ、煙が切れる前に俺も後を追う。
「なんとか逃げ切ったな、」
「ダッシュお前、逃げる時いつも一撃入れるのなんなんだよ、ちょっとヒヤッとしたぞ。」
「いやなんか、逃げるのは全然構わないんだが、一撃も入れられないのはなんか嫌なんだよ。」
俺達は黒フード達を撒いた後、そのままアリスと別れた部屋に向かっていた。
このバッファー社は黒フード達にとっても敵地、だからあまり深追いはされなかった。
ドゴォオオオオン!
ギュイイイイイイイイイ! パリーン!
ドッカッーン!
目的地に近付けば近付くほどこんな音が大きくなっていくので、早速帰りたくなって来た・・・・・・
「ダッシュ、殿は俺に任せろ 」
「いや、二人なのに殿とかねーよ、逃げ足の速いお前が先に行ってくれ」
「いやいや、ここはダッシュの出番だろう、なんせ聖剣を抜いた勇者———」
フロウが言葉を続ける前に言う。
「勇者の話は辞めろ、そして聖剣は抜けただけで俺はそんな勇者とかじゃない。」
深刻な表情でそう言うと、フロウは
「そう言えばお前ちょっと前に勇者に酷い目に合わされたんだっけな、辛い事思い出させちまったな、すまん。」
「うっ、うう・・・・・・」
「俺が先に行ってやるから、調子戻せって」
「ホントか?」
「いきなり元気になったな・・・・・・」
そんなやり取りの後、フロウを前にして進んでいると、開けた景色が目に入って来た。
ん?開けた景色?
おかしいぞ、確かここは建物の中の筈・・・・・・
「「崩れとるうううううう!」」
辺りを見渡すと、アリスと昨晩のジジイが戦っていた。
丸腰のジジイが、アリスの連続切りを防具も、武器もない状態で凌いでる。
アリスもアリスだ、それだけの技量を持つ相手に反撃の隙を与えてない。
凄いバトルだ・・・・・・つまり。
「つまり俺達は手の出しようが無い。」
俺の考えてる事をフロウが代弁してくれた。
「ならどうすれば・・・・・・」そんな俺の言葉を遮ってフロウは言った。
「俺達は保険だ。」
真っ直ぐと戦況を見て、言った。
「俺達がここに居るだけで、もしアリスが負けた時でも三人で生き延びれる可能性が生まれる、だからここは待ちだ、保険を掛けつつ確実にメリットを狙う。」
異論は無かった。
———激闘は続いていた。
次回からサトウパートが始まります。
しかし、まだストックが出来ていないので気長にお待ちください。
1週間程…




