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「ったく、ミラーハウス行ったら急におかしくなったから、びっくりしたぜ」
後ろから金太がやってきた。その隣には、カメラを持った光博もいた。
「お前らも……生きてる?う、ウサギは?」
「ウサギ?うらみみくんのことですか?廃園になったのだからいる訳ないでしょう」
そう、光博は呆れ返ったように言う。
さっきのあれは幻覚だったのか。
「なんか夢二くん怖い。もう帰ろ。これ以上変なこと起こっても嫌だし」
と、美希が言うと光博と金太も同意して頷く。
「そうだな。帰ろうぜ」
「結局面白いネタはありませんでしたが……」
そう言って、園内を後にしようと三人は歩き出した。
夢二はもう一度高くそびえるドリームキャッスルを見上げた。
暗闇の中で、月の光を浴びる城は、今も尚どこか寂しげだ。
「本当に、見たんだよ」
と、夢二は呟く。
「え?」
と、三人は振り向いた。
「何を見たの?夢二くん」
美希は聞いた。
「すごく残酷で、懐かしくて暖かい夢を見た」
夢二はドリームキャッスルを視界から消すと、園内の出口へと向かった。
園内のどこかで、うらみみくんはいつまでも手を振っている。