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第3話:奈々said

 

私は息苦しさから解放され、ゆっくり眠っていると、やがて美味しそうな匂いにつられて目を覚ました。

「あ、目ぇ覚ましました?」

「…………」

目の前で本を読みながらもたれていた壁から背中を離し、本を置き微笑んできた。

男の人は、私よりは年が上だと思うけど、詳しくはわからない。

「あ、これご飯……食べながらでいいから聞いてくれないかな?」

私はご飯を勧められて、急に襲ってきた空腹に、我慢できずに箸に手をかけた。

「俺は笹本って言います。奈々ちゃんがぶつかりかけた車を運転していたんだ……」

笹本さんは申し訳なさそうに私を見ながら話した。

私はと言えば、ご飯を食べながら笹本さんを見たあと、思い出したように笹本さんに問いかけた。

「……あの時、車から降りてきた金髪の男の人は……?」

「その人は雄輔さん。俺らの上司なんだ」

私はふぅんと返事をして、食べ終わった茶碗を丁寧に置いた。

それを見て笹本さんはにっこり笑っていた。

「雄輔さんなら、今は外出してるけど、すぐ帰ってくるよ。もう少し待っててみる?」

「はい……」

はっきりしたのは、ここが金髪の男の子、雄輔っていう人の家で、今目の前で私の食べ終わった食器を持ち上げたのは、車を運転していた笹本って人。

それくらいだった。



(今……何時かな?)

きっとお母さんも帰らないからって心配してるなぁ……。

そして私は部屋を見回していると、部屋の少し入り口寄りに、開けっ放しの私の鞄を見た。

「あ、……鞄」

ベッドから起き上がり、まだ重たい足を引きずるように鞄の元へ向かった。

鞄の中から携帯をあさって取りだし、急いで電源を入れる。

携帯が起動したとき、待ち受け画面にはメール3件と着信5件が表示された。

メールは郁、孝太郎、椎名の順で受信されていた。

皆《大丈夫!?》《今どこ?》と同じような文で送られていた。

「皆……」

友達っていいな……と改めて感じながら、着信は誰かを確認した。

郁と孝太郎から1回ずつ。

あとの3回はお母さんからだった。

よほど心配してくれてたみたい。



私はお母さんに

《今日は郁ん家に泊まるね》

とメールを送り、すぐ口実を現実らしくするために郁に理由をつけてメールを送った。

案の定郁は苛々しているようなメールを返してきたが、とりあえず理解してくれたようで安心した。

「お帰りなさいませ」

入り口の向こうでそんな声が聞こえ、私はなんとなく怖くなってベッドに身を隠した。

携帯を鞄に戻し、近くなる足音に心臓は動くスピードを上げる。

「……もう目ぇ覚めたって?笹本」

「えぇ。さっきも飯を全部たいらげて、元気そう……あれ?寝たのかな?」

「…………」

私はとっさに寝たふりをした。

「笹本……俺の飯がすぐ出来るように準備させとけ」

「わかりました」

笹本さんは一人部屋を出たらしく、扉が閉まる音と共に部屋が静かになった。

私はどうしたらいいかわからず、とにかく布団にくるまっていた。

「はぁ」

ため息をつく声が聞こえ、心臓がピークになった。

「……お前寝てねぇんだろ?くるまってないで出てこい」

私はバレていた恥ずかしさに、布団から顔だけ出した。

そこに立っていたのは、仁王立ちでいかにも怖そうな顔をした金髪の男の人……雄輔さんだった。

「奈々っていったか?あんた」

「……どうして知ってるんですか?」

「生徒証を見たんだよ」

だから鞄が開いていたのかと一人納得しながら雄輔さんを見る。

「私をどうするんですか?」

「あぁ?どうもしねぇよ……俺だって仕事が忙しいんだ」

「…………」

よく見ればあの時のスーツに身を包み、助けに出てきた時のラフな感じと違い前髪をオールバックにして固めている。

仕事かどうかはわかりにくいが、明らかにラフではなかった。

雄輔さんは煙草をくわえて、ライターで火をつけようとし、一緒止まって私を見た。

 


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