第七話・階段
第七話・階段
俺が親父の弟、叔父から聞いた話だ。
まだ学校に警備会社や防犯装置がない時代、大きな行事などがあるとき、教員が宿直室に泊まって、学校を見廻りしていた。当時、小学校の教師だった叔父は運動会を翌日に控えていたこともあり、父兄が夜中に陣取りやったり、近くの町の不良が荒らしたりとかが起こらないように宿直勤務を行なっていたという前置きから話し始めた。
何回目の見廻りだかは知らないが、窓から見える月の位置と高さから深夜ってことはわかったらしく、校舎の中を照らす光は外の月と手に持っている懐中電灯だけだったと聞いた。
その見廻りもそろそろ終わりそうになろうとしたとき、素足でタイルの上歩いたときのペタペタという足音を聞いた。もしかすると生徒が隠れて学校に泊まっていたかもしれない。そう思い、足音の主を探して来た道を叔父は戻って行った。足音はまだ聞こえているが、どうやら上の階から聞こえてくる。そう判断した叔父は階段を上り一つ上の階に行くと、音の響きぐあいからどうやらまだ上の階らしいと考えた叔父は階段を上り続けると、あることに気づいた。今、上っている階段の高さが、本来ありえない高さになっていることに。じゃあ、今あるこの階段はなんなんだと疑問に思った叔父はすぐさま階段を走って降り、宿直室へ急いで戻り、朝まで一睡もできなかったらしい。その理由は、上がった先に見えた校舎の内観が見慣れてるものと全く違ったことと、階段を降りていく時に後ろから多数のナニカの舌打ちが聞こえたからだという。あの足音の主は結局なんなのかと聞いたら、子どもの姿をした得体の知れないものだろうと、叔父は答えた。