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過去と出会い①
「好きになんて…ならなければ、良かった…。」
涙を流しながら、私は呟いた。
私が好きになる人は、皆…どこかへ行ってしまう。
想いを伝えられる訳もなく、永遠のさようならをさっきしたばかり。
ここは、誰も知らない私だけのお気に入りの場所。
一人になりたい時には、よくここに来る。
遠くにある滑り台を眺めながら、これからは…絶対に人を好きにならないと決めたのだった。
あの日から、3年後-。
私は、高校を卒業して働き始めた。
小さい頃から、本を読むのが好きだった私は、将来の夢である本屋さんの店員になれた。
今日も、大好きな本に囲まれて仕事が出来る…と思うと、嬉しい。
『あっ、藤原さん。ちょっといいかな?』
「はい。どうしたんですか?」
店長に呼ばれて、事務所へ向かう。
『今日から、新しい人がくるんだ。藤原さんが、その人に色々教えてくれないかな?』
「分かりました。」
あまり人に教える事をした事がないけど、頑張ろう…と思いながら、店長の後ろを歩く。
扉を開けて、事務所へ入った私は…驚く事になるなど知らなかった。