うたたち
雨は葉を打ち
葉は水を打って
響きがあるのか音が無くなるのか
何も言わない
聞こえない無機物は静かに
それを抱いてたんだ
無知な僕と似ているだろうか
傘は回り
流れて人を押し出す
僕の持つ傘はどんなに見えてるのか
何も見えない
分からない黒い傘の下で
一人で泣いてたんだ
落ちる滴と似ているだろうか
迷い悩んで一人歩いて
言の葉を摘むよ
嘘や歌や泣きそうになるけど
僕はただ歩くよ
どこかへ
熟れた言葉
実る夢が
泣いていた
消えた子どもが
見えた
何してるんだろ
雨は地を打ち
地は清水を通して
流れがあるのか僕らが動いてるのか
何も知らない
暗い部屋の中で
それが覗けたんだ
未知な僕と同じだろうか
傘を差して
どことなく手を伸ばして
僕の持つ言葉はどう見えてるんだ
何もやらない
やめない歩みのうちに
一人で気づいたんだ
ばかな僕と同じだろうか
右往左往あてもなく歩いて
言の葉を探す
傷や偽りになれた僕はそう
前を向けないよ
先へ
見えた言葉
腐る見栄が
枯れていた
増えた嘘が
嗤っていた
泣いてみたから
いつだって追いかけてる
雨で濡れる夜であっても
悲しくて泣けない夜だって探し続けるの
見つけるの
いつだって見つめ合ってる
僕を見る暗闇たちだって
似ているんだからきっと嘘をついてるよ
泣いてるよ
好きだった季節を待って
言の葉を見つけるまで
長い夜の間だって書き続けるよ
晴れるまで
雨は僕を打ち
僕はキーを押してみた
言の葉たちは
押したって出てこなかった
執筆の苦悩、言葉探しの悩み。
小説家なら一度は経験したと思います。




