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夜明け前
北風がフェンスを跳んだ
灰色の色の無い世界
何も動かない音なき空間
時々思い出したように野良猫が駆けて
泣き出しそうな空の下の
派手に塗られた街並みは
動と静の均衡を守り続ける
アスファルトの隙間に咲く
名も知らぬ雑草の花
鉛から雨がぽつり
またぽつりと泣き出した
太陽は目を覚まして
マスク越しに光を伝えた
灰の向こうの茜色
それが遠く感じた
儚げに思えた
月より寂しい黒の空
誰もいない交差点は
無骨な機械がただ水たまりに映る
動くものとただ雨に打たれるもの
無情に見える雲の下で幾つもの感情は渦巻く
朝が来て人は目を覚まし
鉛雲を見て何かを思う
春雨と
花を染めゆく灰色の
空の中こそ情を感じぬ




