ほぼリアル
うっすら色の空はずっと黙っていて
白い雲のかけらを飛ばした
3階の古びたオフィス内
年代物のFAXの気の抜けた通信音が鳴る
窓の外から入ってくる音なんて
車のタイヤの滑る音
電車の車輪が線路を刻む音
鳥の集団が騒ぐ音
そのくらいの少なさ
ふとした時間の透き間にはまると
一瞬なにも聴こえなくなり
静寂につつまれる
気付くとまたすすんでいる時間
同じように鳴らされる効果音
私は一人でベーグルをかじっている
反応が遅いパソコンに文字を打ちながら
とろんとろんとしてしまう
私もこの風景画の中にはめ込まれたピース
このまま時間が止まってしまったらいいのに
とても平和かもしれない
救われるかもしれない
ゆるやかな昼下がりのオフィス
鳴り響いた電話の音にびくっとして夢から覚める