幸せを実感しないで!
4月、桜咲き誇り舞い散る季節
ここに一組の身も心も桜色なカップルが腕を組みゆっくりと艶やかな満開の桜並木の中を歩いていた
「日本の四季ってそれぞれの良さがあって本当に素晴らしいね。僕はね、ウルムビリ、この日本の四季を思うと世界中の人達に対してなんだか誇らしい気持ちになってくるんだ。ビバ!美しき日本!ていう感じかな」
「うふっ・・本当ね、私達日本人に生まれて本当に良かったわねアラマイヨ」
アラマイヨはウルムビリを抱きかかえると、この桜並木の中を舞い散る桜の葉と同化しながらクルクルクルクル見つめ合い、微笑み合い何回も何回も旋回し続けるのであった
「アハハハハハッ!アハハハハハッ!素晴らしい!なんて素敵なんだ!美しき日本に乾杯!僕たち二人に乾杯!大好きだウルムビリ!何だか僕、生まれて来て本当に良かったと今、心の底から幸せを実感しているよウルムビリ!!」
「!!!ノォォォォォオオオオオオオオォォォォッーーーーーーーーーーッッッ!!!!約束したじゃない!あの時約束したじゃなぁぁああああーーーーいっっ!!それだけはやめてよアラマイヨ!もう絶対幸せを実感しないって私に約束したじゃないあのときぃぃぃいいいいい!!!あの日!3年前!名古屋城の金のシャチホコに二人またがり私達二人の幼い頃のぶさいくな写真を見せ合いながらシャチホコの上で笑い転げてたとき、丁度私の成人式のときの写真をみてあなたが死ぬほど爆笑し過ぎてシャチホコから落ちそうになってシャチホコの尻尾にしがみつき泣き叫びながらも爆笑しながらあなたは幸せを実感したからそのあと、名古屋城が・・いや名古屋市内が、いや、愛知県全体がどんな事態になったかはあなたは分かってるはずでしょぉぉおおおおおっっっ!!!だから私に堅く堅く堅ぁぁあああくくっっ!!北海度の長万部で「オ・・オシャマンベて」とか半笑いだったからあなたは私から正座させられ何回も何回も竹刀で私から殴り続けられながら堅く誓ってくれたじゃなぁぁあああああああいいいいっっ!!!」
「ご・・ごめんよ・・ウルムビリ・・そ・・そうだね・・や・・約束してた・・よね・・で・・でも・・ぼ・・僕・・僕・・もう・・我慢出来ないよ・・だ・・だって・・だってもう体が・・体がぁああああっっ!!・・・ぉ・・ぉぉ・・ぉごぉおおおっっっっっっ・・・」
「アラマイヨのバカバカッ!!あれだけ私に約束してくれたのに!!・・・しかたないわ・・もうちょっとだけ待って!もうちょっとだけ我慢してアラマイヨぉおおおっっ!!私、今から速攻で出来るだけ頑丈な建物の中に避難するからぁあああああっっっ!!!」
「そ・・そうしてくれぇぇえええええっっっウルムビリぃぃいいいっっっ!!・・・は・・早く・・早く逃げろぉぉぉぉおおおおおおおおおおっっっっ!!!!!!!」
「好きよアラマイヨぉおおおっっ!!愛してるぅううううっっアラマイヨぉぉおおお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!・・うわぁぁあああぁぁ〜〜〜〜〜んんっっっ!!!!」
「ぼ・・僕もさウルムビリ・・い・・いけない!・・今の・・ウルムビリの言葉で・・なおさら・・なおさら幸せを実感したじゃねぇかぁぁぁあああああああああああっっっっっ!!!!!!」
アラマイヨは幸せだった・・あれほどまでに堅く堅く心の奥底に封印していた【幸せの実感】のはずだったのについ、不覚にもあの、世にも恐ろしい幸せを実感してしまったのだ。桜の葉が次第に舞い散り始めた・・それはあたかも今から始まる嵐の前の序曲のようでもあった・・幸せを実感したアラマイヨはやがて徐々に旋回しだした・・そう、アラマイヨは自身が幸せを実感すると必然的に条件反射として反時計回りに旋回し出すのであった・・回転数が上がりその原型を留めぬほど高速化するとアラマイヨは巨大な竜巻と化し半径1キロ四方を圧倒的破壊力で薙ぎ倒して行きながらおおよそ50キロあまり扇動したおし、その全域をほぼ壊滅状態に陥らせてしまうのであった
みなさん、アラマイヨを見かけたらくれぐれも彼に幸せを実感させないで下さい・・
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