第3話:ソヘとの対決
# 第3話:ソヘとの対決
## 第1部 - 観察者の視線
2026年4月24日金曜日、午後5時10分。
教室の後方、パク・チャンソプの視線が一人の少女に固定されていた。揺るぎない瞳、まるでチェス盤を見下ろすような冷徹な観察。
「チョン・ソヘ...」
チャンソプは低い声で彼女の名前を繰り返した。
「1年生の平均的な成績。目立った活動はないが...誠実で穏やかな性格。基礎がしっかりしている」
彼の頭の中では、すでに生徒会の人員構成が描かれていた。もし彼女が準決勝まで進出すれば、ゲームの実力だけでなく、集中力と判断力まで証明されたことになる。
「生徒会の実務パートに適任だな」
そのとき、視界の片隅に不自然に立っている少年が入ってきた。チェ・スンヒョクだった。
左手で右手を握りしめ、硬直したまま舞台の近くをうろついている姿。汗で濡れた手のひら。緊張しきった眼差し。
「緊張しすぎだ。あの状態では実力を発揮するのは難しいな」
チャンソプは小さく首を振り、再び腕組みをした。競技場は次第に緊張感で満ちていった。
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## 第2部 - 試合の始まり
「最初の攻撃、始めるね」
ソヘは小さく息を吸い込んでからスマートウォッチを作動させた。彼女のユニットがホログラムの上に現れた。
スンヒョクはびくっとしたが、すぐに唾を飲み込んでウォッチを作動させた。昨夜遅くまで悩んで組み立てた作戦を思い出した。
「よし、まずはこの順番で...」
しかしソヘは驚くほど冷静だった。攻撃は鋭く判断は速く、感情が入らない。まるで教科書を完璧に習得した人のように安定したプレイ。
一方、スンヒョクの頭の中は次第に混乱してきた。
「待って、こういう時はサポートカードで...いや、それは後半だったか?」
昨日練習した戦略と実戦が違った。ドヒョンが説明したメカニズムが複雑に絡んで浮かんだが、順番が混乱した。
結局、昨日立てた作戦の代わりに基本的なカード機能だけを活用して試合を続けた。
「落ち着け。流れを読もう」
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## 第3部 - 変数
ソヘはいつもと変わらず静かで端正な表情で試合に臨んだ。最初のカードは敏捷な攻撃ユニット。一片の迷いもなく先攻を仕掛けた。
「え...えっ?」
予想よりもはるかに速いスピード。スンヒョクは慌てて急いで最初のカードを召喚したが、ソヘのユニットはすでに側面に食い込んでいた。
「左側から...回避突入?」
たどたどしく2番目のユニットを呼び出した。防御型カードだったが、召喚されるやいなや強力な一撃を受けて半分のHPが飛んだ。
観戦席から感嘆の声が漏れた。
ソヘは続けて2枚目のカードを召喚した。適材適所にサポートユニットを配置しながら、戦場を支配し始めた。
スンヒョクは追加スロットまで動員して防御に追われた。カード4枚をすべて使っても逆転の兆しすら見えなかった。
「このままじゃ負ける...」
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そのときだった。
ソヘの手つきが少しずつ遅くなり始めた。
最初は気づかなかった。しかしすぐに彼女の額に汗が浮かんでいるのが見えた。息が荒くなり、操作も少しずつ乱れ始めた。
ソヘは唇をぎゅっと結んだまま呼吸を整えながら試合を続けた。
「大丈夫...あともう少し...」
小さくつぶやく声が聞こえた。しかしカードの切り替え速度は目に見えて遅くなり、さっきまで正確だった命令が拙くなり始めた。
ユニットの移動がずれ、フィールドの中心が崩れた。
そのときだった。
スンヒョクは最後に残ったカードでソヘの隙だらけになった中央防衛線を奇襲した。
「これが...通るか...」
必死の攻撃。ソヘのユニット一つが退場した。戦場は一瞬で均衡を失った。
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## 第4部 - 試合中断
ソヘは結局最後の防御カードの展開に失敗した。
スンヒョクが反撃を続けようとした瞬間—
「ちょっと待って...待ってくれる?」
震える声。
ソヘは片手でお腹を抱えるようにしながらゆっくりと体を屈めた。顔が真っ青になっていた。
観客席がざわついた。
担任の先生が急いで近づいた。
「大丈夫?何があったの?」
「大丈夫です...ちょっと...」
しかし彼女の唇は真っ白になっており、額と首筋には冷や汗が流れていた。
「とりあえず保健室に行こう。試合は中断するから」
担任の言葉にソヘは首を振った。
「いいえ...私が棄権します」
「棄権?」
「はい。もう...無理だと思います」
ソヘは静かにウォッチから手を離した。
**「棄権します」**
静寂。
スンヒョクは唇をぎゅっと結んだ。喜びよりも先に訪れたのは混乱だった。
「こんな風に上がっていいのか...」
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## 第5部 - 廊下で
競技場の外の廊下。
チャンソプがベンチに座って靴紐を直していた。スンヒョクが通り過ぎると、顔を上げた。
「準決勝進出おめでとう」
心からの祝福だったが、どこか淡々としていた。
スンヒョクはしばらく立ち止まった。
「...ありがとう」
「最初の試合は相手が初心者で、2回目は相手の体調が悪かった。運が良かったな」
チャンソプの言葉は皮肉でも激励でもなかった。ただ事実を述べただけだった。
スンヒョクは何も言わなかった。言葉がなかった。それが事実だったから。
「次の試合は違うだろう。準備をしっかりな」
チャンソプはそう言って立ち上がり、教室に向かった。
スンヒョクはその場に一人残り、窓の外を見た。彼の表情には確固たる決意が浮かんでいた。
「次は...運じゃなくて自分の実力で」
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## 第6部 - 病院まで
「ソヘ!」
スンヒョクの声にソヘが顔を上げた。驚いた眼差し、しかしすぐに微笑みで隠した。
「大丈夫、病院に行ってくるだけだから」
「一緒に行こうか?」
ソヘはしばらくためらってから、小さな水筒をぎゅっと握りしめて言った。
「じゃあ...バスに乗って病院まで一緒に来てくれる?今日、両親が出張で...」
スンヒョクはもう迷わなかった。静かにうなずいて彼女と一緒にバス停へ歩いた。
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「すごく痛い?」
バスを待ちながら慎重に尋ねると、ソヘは軽く笑った。
「大丈夫。時々こうなるの」
しかし彼女の青白い唇がすべてを物語っていた。
バスが到着し、二人は並んで座った。窓の外を流れる街の風景を見ながら、スンヒョクは静かにつぶやいた。
「...準決勝で誰と戦っても、今度こそ本当に実力で勝たなきゃ」
ソヘはしばらく目を閉じて、ぼんやりと笑ってみせた。
「そうだね...そうしなきゃかっこ悪いもんね」
バスはゆっくりと病院に向かっていた。二人の間の沈黙は気まずくなかった。
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## 第7部 - 小さな病院
小さな病院の救急室。
遅い金曜日の夜なのに蛍光灯は消えていなかった。看護師の忙しい足音が静かな緊張感を作っていた。
ソヘは受付で診察券を受け取り、壁にもたれて座っていた。手に持った水筒が微かに震えていた。
「チョン・ソヘさん、診察室にどうぞ」
彼女はゆっくりと席から立ち上がった。スンヒョクも一緒に立ち上がろうとしたが—
「大丈夫。少し待ってて」
ソヘは首を振って一人で診察室に入った。
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診察室は静かだった。
「腹痛は最近どう?」
彼女は唇をぎゅっと噛んでから、慎重に口を開いた。
「時々すごく痛いんです。動いたり緊張したりするともっとひどくなって...」
医師はうなずいて聴診器を取り出した。慎重に彼女の腹部を押した。
「ここ、痛い?」
ソヘは体をびくっとさせて顔をしかめた。
「はい...特に右下腹部が...」
医師の表情が硬くなった。
「炎症がまた上がってきたみたいだね。無理したりストレスを受けたりすると、もっと悪化する可能性がある。今日は絶対に休まないと。明日、消化器内科に行って精密検査を受けて」
ソヘはしばらく頭を下げてから小さく言った。
「...私、クローン病なんです。だから今日もちゃんとできませんでした」
診察室の外で待っていたスンヒョクの心臓がどきっと落ちた。
「...そうだったのか」
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## 第8部 - 夜の空気の中で
病院の外に出た。
冷たい夜の空気が肺の奥深くまで染み込んだ。ソヘは頭を下げたままため息をついた。
「...ごめん。迷惑かけちゃって」
「ううん。大丈夫だよ」
スンヒョクは静かに言った。
彼女の震える声、青白い顔。すべてが心に深く刻まれた。
「最初の試合は相手がルールを教えてくれて勝って、今回はソヘが具合悪くて勝った」
スンヒョクは手首にはめたスマートウォッチを見つめて唇をぎゅっと押した。
「自分の実力で勝ったんじゃなかった」
しかし彼は自責しなかった。代わりに、次のことを考えた。
「次の試合は...必ず自分の力で勝つ」
その決意は暗い夜の空気の中でより固く刻み込まれた。
二人は静かにバス停へ戻った。
ソヘが先に口を開いた。
「スンヒョク、ありがとう。一人だったら怖かったと思う」
「当たり前じゃん」
スンヒョクは短く答えたが、その眼差しは真剣だった。
バスが到着した。ソヘはバスに乗りながら振り返った。
「準決勝、頑張ってね」
「うん。ゆっくり休んで」
バスのドアが閉まり、ゆっくりと遠ざかっていった。スンヒョクはその場に立ってバスが見えなくなるまで見つめた。
そしてゆっくりと家に向かう足取りを進めた。
夜空には星がきらきらと輝いていた。
スンヒョクは拳をぎゅっと握りしめた。
「次は...絶対に運じゃない」
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**[第3話 終わり]**




