28: 監視者(かんしゃ)たち
第28話をお読みいただきありがとうございます!
無事に予選を突破したスヒョクですが、彼の「異常な成長」はすでに世界的な大物たちの知るところとなっていました。
平穏な休息の夜に忍び寄る不穏な影……。
カードゲームの枠を超え、物語のスケールが一気に広がる新展開をお楽しみください。
第二十八話 監視者たち
第一部 不審な振動
三十二強の組み合わせ表が発表されたその夜。
チェ・スヒョクは控え室の椅子に背をもたせかけ、目を閉じていた。
すでに二勝。次の試合で負けたとしても、三十二強進出は確定していた。
今日くらいは、ゆっくり休んでもいいはずだった。
その時、スマートウォッチが振動した。
『Cl.oid?』
見たことのない名前だった。
「誰だ···?」
スヒョクは画面を見つめながら、ゆっくりと手を伸ばした。
その瞬間、どこか見覚えのある、しかし背筋の凍るような気配が背中を走った。
彼は外に出た。
廊下はがらんとしていた。
「誰ですか?」
返事はなかった。
暗闇の中で、カシャ——カメラのシャッター音だけが鳴り響いた。
スヒョクはゆっくりと踵を返した。
第二部 クロイド
その夜、闇の垂れ込めた部屋の中。
ドアが開き、パク・チャンソプが静かに入ってきた。
「お呼びでしょうか、クロイド様」
クロイドは黙って一枚の写真を差し出した。
チャンソプは写真の中の人物を確認し、頷いた。
「チェ・スヒョクで間違いないか?」
「はい、確かです」
クロイドは写真を見下ろしながら低く呟いた。
「九百九十九位から七十三位とは··· あいつ、一体何者だ」
彼はデータグラフを見つめながら続けた。
「今のようなHP成長速度では、あいつはすぐにお前を追い抜く」
チャンソプの眼差しが固まった。
「明日の三十二強戦で、あいつが使うカードを全部分析して報告するように」
「はい、クロイド様」
クロイドは再び写真を睨みながら独り言を漏らした。
「医大進学も、全国大会優勝も··· 邪魔されることになったか」
チャンソプはしばらくその場に立ち尽くしていた。
数日前の記憶が蘇った。
クロイドとの模擬戦。
そこでチャンソプは、一度も主導権を握れないまま崩れ落ちた。
『圧倒的な敗北だった』
あの日の衝撃は、去年の日本代表チームとの交流戦以来、初めてのことだった。
『この世界には、まだ俺より強いやつが山ほどいる···』
チャンソプは奥歯を噛みしめ、電話を見下ろした。
表では冷笑を浮かべて余裕ぶっていても、その内側では確かに何かが蠢いていた。
第三部 カール・フォン・ハインツ
同じ時刻、ソウル江南の静かなカフェ。
柔らかな照明の下、金髪の男がマスクを深く被ったまま窓際の席に座っていた。
シュタインズのCEO、カール・フォン・ハインツ。
世界三大IT企業の一つを率いる人物であり、公式日程はすでに一週間前に終了していた。
隣に座ったアリス・ベルナーが、遠慮がちに身を傾けた。
「ハインツ、なんでメディアまで欺いて韓国にこんなに長く滞在してるの?」
ハインツはコーヒーカップを置きながら、ゆっくりと答えた。
「面白いやつが一人いてね」
その視線は、遠くどこかへ向いていた。
「たった二ヶ月も経たない間に全国ランキング九百九十九位から七十三位、そして今日は七十二位まで上がったやつがいる。悪魔の才能だよ··· 実に面白い観察対象だ」
アリスが首をかしげた。
「そいつの何がそんなに特別なの?」
ハインツはタブレットを取り出し、スヒョクの試合映像を再生した。
短いクリップの中で、電光石火の判断と予測不可能なプレーが続いた。
「詰め込み式の塾教育に染まった型にはまった選手たちの中で、まったく違う戦い方をするやつを見つけた。市大会予選から全国大会二次戦まで見返したんだが··· 試合ごとに実力の上昇曲線が、異常なほど急勾配なんだ」
彼は映像を止めながら付け加えた。
「俺の予想が当たれば、あいつはそう遠くないうちに韓国代表まで上り詰める。その前に俺たちが接触しなければならない」
アリスはやや不安そうな表情で彼を見た。
「でもハインツ、そいつが私たちの提案に興味を持つかな?」
ハインツは片方の口角を上げた。
「それはあいつが、どれだけ大きな舞台を求めているかによる」
彼はコーヒーカップを手に取りながら続けた。
「俺たちはただ、もっといい舞台を提示するだけだ。強制じゃなく、選択肢を与えるだけのことだよ」
アリスはしばらく沈黙してから尋ねた。
「その選択肢を、そいつは受け入れると思う?」
ハインツは映像の中のスヒョクの眼差しを見つめながら、静かに言った。
「··· まだわからない。だからこそ、面白い」
第四部 それぞれの夜
その夜、チャンソプは一人部屋に座り、クロイドとの模擬戦を思い返していた。
【パク・チャンソプ VS チェ・スヒョク】
データグラフの上で、二本の線が急速に近づいていた。
『まだ俺のHPの方が高い。でも、あの成長速度では···』
チャンソプは画面を消した。
暗闇の中で、奥歯を噛みしめた。
うんざりだという気持ちと、それでも負けたくないという気持ちが同時に押し寄せた。
『問題は十六強だ。あいつと直接ぶつからなければならないとは』
その眼差しがさらに鋭くなった。
一方、同じ時刻、スヒョクの部屋。
スヒョクはノートパソコンの画面に三十二強の組み合わせ表を映したまま、腕を組んでいた。
スマートウォッチをちらりと見た。
『Cl.oid。一体誰だ···』
名前も顔もわからない誰かが、自分を見張っているという感覚。
彼はウィンドウを閉じ、組み合わせ表へ視線を移した。
三十二強の相手はチーム・ソンド。
そして十六強で勝てば——
『パク・チャンソプ』
スヒョクは静かに目を閉じ、また開けた。
『何があろうと、今は目の前の試合に集中しよう』
ノートパソコンを閉じる瞬間、その眼差しが再び、強く引き締まった。
ついに謎の存在「Cl.oid」と、世界的なIT企業のCEO「ハインツ」が登場しました。
ランキング999位から72位。この「悪魔의 才能」を巡って、大人たちの思惑が交錯し始めます。
そして、着実に近づく宿敵・チャンソプとの16強戦。
スヒョクを監視する者たちの正体とは一体……?




