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25: 全国大会(ぜんこくたいかい)、開幕(かいまく)

タイトル:第25話 ― 全国の壁、そして真の強さ


2027年5월, ついに「全国大会」の幕が上がる。

ソウル・サンアム競技場に集結した強豪たちを前に, スヒョクは期待と不安が入り混じる複雑な心境でいた。


初戦の相手は「チーム・ソウル田舎者」。キソンとジウンの圧倒的な連携、そしてスヒョクのトドメの一撃により、チーム・ペクウォン高アリーナは完璧な圧勝を飾る。しかし、勝利の歓喜の中で、スヒョクは自分の存在感が薄れていくような焦燥感に苛まれていた。


一方, 競技場の外では, 相変わらず冷酷な「皇帝」チャンソプが, 困窮する少年のカードを奪い取ろうと牙を剥いていた。

「事情話すの、見苦しいな。世の中に可哀想なやつがお前だけいるとでも思ってるのか」

チャンソプの非情な一撃が少年に向かったその時、黄金の盾が戦場を遮る。


「そこまでにしておきましょう」


立ちふさがったのは、寡黙な実力者・キソン。

力でねじ伏せる者と、力で守る者。対照的な二人の強さが激突する中、スヒョクは真の「強さ」の意味を自問する――。

# 第二十五話 全国大会ぜんこくたいかい開幕かいまく


---


## 第一部 沙浜さはま


2027年5月。


学校の廊下を歩いていると、ジウンが駆け寄ってきた。満面の笑みで、髪が揺れている。


「スヒョク、久しぶり! 元気だった?」

「ああ、元気だよ」


スヒョクも思わず口元が緩んだ。


「今週の土曜、全国大会の初戦あるの、知ってるよね?」

「うん。土曜に会おう」

「よし、決まり!」


ジウンは手を振って、軽やかに去っていった。


その夜、自室に戻ったスヒョクは一人、重い気持ちを抱えていた。


『俺の準備……本当に足りてるのか?』


そこに電話が鳴った。


「キソンさん、こんにちは」

「明日の午後三時、ソウル・サンアムに来てください」

「はい、わかりました」


---


## 第二部 チャンソプ


翌日の午後、サンアム競技場の片隅。


スヒョクはすでに到着していたキソンと並んで、静かに会場を見つめていた。


「キソンさん、スヒョク! 遅れてごめん!」

ジウンが息を切らして駆け込んできた。

「十分後に私たちの試合だよ。早く準備しよう!」


その時、競技場の出口から歩いてくる人影が目に入った。


「あれ……チャンソプ?」


ジウンも眉をひそめた。

「もう終わったの?」


チャンソプの隣には、見知らぬチームメンバーたちがいた。

チャンソプは周囲をぐるりと見渡し、鼻で笑った。


「全国大会に出てくる連中も、結局この程度か。期待するだけ無駄だな」


その瞬間、彼の視線がスヒョクとぶつかった。

チャンソプは何事もなかったように目を逸らした。


「本来三人で来るはずだったが、あんな相手に三人も要らない。来週の第三戦は俺も出ないよ」


その態度は相変わらず、冷ややかで傲岸不遜ごうがんふそんだった。


---


## 第三部 第一戦


競技場に入ると、巨大なスコアボードが目に飛び込んできた。


**「チーム・カオス 2勝」**


赤い照明がチカチカと点滅し、チーム・カオスの勢いを誇示していた。

スヒョクは歯を食いしばり、気を引き締めた。


アナウンスの声が会場に響き渡る。


「Fブロック、試合開始します。本日の対戦カードは――チーム・ペクウォン高アリーナ、チーム・ダークホース、チーム・セタミン、そしてチーム・ソウル田舎者いなかもの!」


第一試合:チーム・ソウル田舎者 vs チーム・ペクウォン高アリーナ。


ジウン、キソン、スヒョクはすぐさまカードデッキを取り出した。

先攻はペクウォン高アリーナ。対するソウル田舎者チームは守備寄りのカードを展開しはじめた。


「ローマの黄金のたて、発動!」


強固な防御カード。相手の最初の攻撃を吸収し、二倍の威力で反撃する――強力なアイテムだ。


ソウル田舎者チームの三人は焦った目で顔を見合わせ、ざわめいた。


「ねえ、次どうすればいいの?」

「塾でもらった資料あるじゃん」

「え……その次が……えっと……」


ジウンが急いで叫んだ。

「スヒョク! ローマの黄金の盾は相手の攻撃を吸収して二倍で返すカードだよ! 今ローランを出したらダメ!」


しかしスヒョクはすでにローランのカードを先攻で出していた。


まずい――その瞬間、キソンが静かにカードを取り出した。


「アーサー王。攻撃開始」


アーサー王は黄金の盾の防御力を弱体化させる固有能力を持っていた。

続いてジウンがジャンヌ・ダルクのカードを連携させ、戦場を揺るがす。


「ジャンヌ・ダルク、前列突破」


そしてキソンが決定打を放った。


「アキレウス、全力突撃」


ローマの黄金の盾が炸裂し、粉々に砕け散った。

ソウル田舎者チームは守りを失い、完全な無防備状態に陥った。


キソンは攻撃カード四枚を一気に展開する。


アーサー王――正面一撃 / ジャンヌ・ダルク――神の加護 / アキレウス――連続打撃 / ヘラクレス――狂戦士突入


「全員突撃。終わらせる」


システムの音声が鳴り響いた。


**「勝利! チーム・ペクウォン高アリーナの勝ち!」**


第一試合、完璧な圧勝だった。


---


## 第四部 主役


「よし……この勢いで次の試合も押し切ろう」

ジウンが息をつきながら囁いた。


スヒョクはチャンソプの冷笑的な顔を思い浮かべ、静かに拳を握りしめた。


『今大会……俺たちが最後まで行く』


初戦の勝利でチームの雰囲気は一気に盛り上がった。

ジウンは晴れやかな顔でキソンと話しながら笑っている。


でも、その光景の中でスヒョクの表情だけが、どこか暗かった。


『市大会までは、俺が主役だったのに……全国大会の第一戦は……』


キソンとジウンの活躍が際立っていたせいで、自分の存在感が薄れたような気がしていた。


そこへキソンがスヒョクに歩み寄ってきた。


「今日の試合、良かったですよ、スヒョクさん。結局、締めたのはスヒョクさんじゃないですか」


スヒョクは少し驚いた顔で顔を上げ、やがて微笑んだ。


「ありがとうございます」


心の中でそっと繰り返した。


『それでも締めたのは俺だ……そうだ、三人で力を合わせて勝ったんだ』


少し気持ちが楽になって、スヒョクはゆっくりと息を吐いた。


---


## 第五部 コンビニの前で


昼食の時間、三人は近くの食堂へ向かった。

キソンが先に店内へ入りながら言った。


「俺、メニュー見ておきますね」


ジウンが頷く。

「私たちはコンビニ寄ってくるね」


コンビニへ向かう道すがら、ジウンがふと尋ねた。


「スヒョク、君も軍隊行くことになるのかな?」


スヒョクは短くため息をついた。


「たぶん行かないと思う。俺、喘息ぜんそく持ちだし、うつも患ってたし……昔、拒食症きょしょくしょうって診断された記録もあるから」


ジウンはぎょっとして、スヒョクの腕を軽く叩いた。


「もう、ちゃんと体大事にしてよ。一度きりの人生なんだから。体が一番だよ」


コンビニの前まで来た時、聞き覚えのある声が耳に入った。


「お前が先に売ったカードだろ。今さら返せって、どういうことだ?」


ジウンとスヒョクは声のした方に目を向けた。


チャンソプだった。


その正面には、中学生くらいの少年が立っていた。

目には涙が浮かんでいた。


---


## 第六部 キリョン


「家が苦しくて……塾代がなくて売ったんです」

少年の声が震えていた。

「そのカードがないと次の試合も戦えなくて。今日の初戦も完敗して……お願いです、返してください」


チャンソプは鼻で笑った。


「お前が先に売ったんだろ。それが何で俺のせいになるんだ?」


少年は唇を噛んで、俯いた。


ジウンはぎゅっと拳を握りしめた。


その時、いつの間にかキソンがコンビニの脇に立っていた。

食堂でメニューを見ていたが、二人がなかなか来ないので出てきたらしい。


チャンソプは少年を見下ろし、言った。


「これ以上続けるなら、次は警察署で会うことになるぞ」


そのまま無関心に背を向けようとした瞬間――


少年が堪えきれずにチャンソプの袖を掴んだ。


「お兄さん……このカードは俺の全てなんです。親が病気で……俺が全国大会に出るところを絶対見たいって言ってて……」


チャンソプは袖を冷たく払いのけた。


「事情話すの、見苦しいな。世の中に可哀想なやつがお前だけいるとでも思ってるのか」


彼はカード帳を取り出した。


「ヘラクレス」


赤い気配が立ち昇り、カードが発動しはじめた。


「やめて!!」


ジウンが叫びながら飛び出した。


――*チャン!*


その瞬間、黄金の光の盾が現れ、ジウンと少年を包み込んだ。


キソンだった。彼は静かにチャンソプの前に立ち、言った。


「そこまでにしておきましょう」


短い一言だったが、その中には退かないという意志が込められていた。


チャンソプはキソンを見つめた。

キソンは視線を逸らさなかった。


しばしの静寂。


チャンソプはふっと笑い、カードを引っ込めた。


「チェ・スヒョク。いいチームメンバーを持ったな」


そして嘲笑いながら競技場を後にした。


---


## 第七部 ローランとジャンヌ・ダルク


キソンは少年に歩み寄り、カードを二枚取り出して手渡した。


「これ、ローランとジャンヌ・ダルク。お前が持ってけ」


少年は両手を震わせながらカードを受け取った。


「お兄さん……これじゃ試合で……」


「俺、カード多いから」

キソンは短く笑った。

「次の試合、頑張れよ」


少年は俯いたまま何も言えなかった。

涙が一粒、落ちた。


ジウンは少年の背中をそっと抱きしめた。

何も言わなくていい場面だった。


スヒョクはその光景を見つめながら、静かに思った。


『このチームには、本当の「強さ」が何かを知っている人間がいる』


---


## 第八部 第二戦へ


食堂に戻る道中、三人はしばらく無言だった。


ジウンが先に口を開いた。


「キソンさん、カード渡してくれてありがとう」


キソンは手を振った。


「大したことじゃないですよ」


「大したことだよ」

ジウンは真剣な顔で言った。


キソンは照れくさそうに顔を背けた。


スヒョクは食堂の椅子に座りながら、静かに言った。


「第二戦、集中しよう。まだ大会は終わってない」


二人が頷いた。


窓の外に競技場のスコアボードが見えた。

照明が瞬き、次の対戦表が浮かび上がってくる。


スヒョクはその光を見つめながら、心の中で繰り返した。


『俺たちが、最後まで行く』

読者の皆様、第25話をお読みいただきありがとうございます!


ついに全国大会編に突入しました。市大会とは比べものにならないスケールと緊張感を感じていただけていれば嬉しいです。


今回の見どころは何と言っても、キソンの「漢気おとこぎ」です。圧倒的な実力を見せつけながらも, 決して傲慢にならず, 弱者のために自らの貴重なカード(ローランとジャンヌ・ダルク)を惜しみなく差し出す姿は, チャンソプとの対比として描きました。


また, 主人公スヒョクの心の揺れにも注目してください。仲間が強すぎるゆえに感じる「自分は本当に必要なのか?」という悩みは, 成長するチームにおいて誰もが一度は通る道かもしれません。彼がこの焦燥感をどう乗り越え, 全国大会で自分だけの武器を見つけるのか、今後の展開にご期待ください。


面白いと思っていただけたら、ぜひブックマークや評価をお願いします。執筆の大きな励みになります!

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