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23:ユ・セリンの凋落

全国大会を目前に、エース・セリンは大きな決断を迫られていた。

学業、将来、そして一年間秘めてきた届かぬ想い。

「一度だけ、素直に言ってみよう」

屋上で語られた本音と、拒絶。

バトルの勝敗よりも残酷な現実を前に、彼女が選んだのは「ログアウト」という道だった。

一人は逝き、一人は去る。

遺されたカードに託された想いを背負い、スンヒョクは独り、冬の空を見上げる。

ユ・セリンの凋落、そして別れの第23話。

23:ユ・セリンの凋落


1部 — 選択の季節

全国大会が来年の1月だって?

「はい……今回は絶対休まなきゃいけないんです」

セリンが震える声で言った。

塾の講師が彼女を見つめてゆっくりと言った。

「ご両親と担任の先生とよく相談して決めなさい。でも全国大会は優勝じゃないと内申に記録されないわよ。市・道大会は3位まで書けるけど」

セリンは悩みに陥った。

『どう見てもスンヒョクが強すぎて、全国大会優勝は難しそう……』

頭の中にチャンソプの姿が何度も浮かんだ。

一年間好きだったあの人。

翌日、学校でセリンは遠くからチャンソプを見つめた。

「スンヒョク、最近セリンがちょっと変なの。うちの部活に来てもチャンソプの話ばっかりするの」

ジウンが慎重に言った。

「俺、同じクラスじゃないからよく分からない」

スンヒョクはしばらく考えてから付け加えた。

「でも本当に何かあったら、セリンが自分で動くだろ」

セリンは黙って窓の外を見つめながら、心の奥深くで何かが崩れていくのを感じた。

『一度だけ素直に言ってみよう』


2部 — 屋上

屋上の扉が開き、パク・チャンソプが歩いて出てきた。

「何? 用件だけ簡単に」

チャンソプは淡々と言った。

セリンは手に握った手紙をぎゅっと握って息を整えた。

「チャンソプ、私、一年間あんたのこと好きだった」

チャンソプは何も言わず彼女を見つめた。

セリンは手紙を差し出した。

「これ……読んでくれる?」

チャンソプは手紙を受け取ってゆっくりと開いた。

静かに読み下す彼の表情は無表情だった。

しばらく沈黙が流れた。

「……セリン」

チャンソプが口を開いた。

「正直に言うよ」

彼は手紙をそっと折りたたんでセリンに返した。

「俺、今医学部の準備に全てを注ぎ込んでる。誰かを好きになる余裕がない。それに正直に言えば……お前をそういう風に見たことがない」

セリンの目が揺れた。

「それだけ?」

「うん」

チャンソプは短く答えた。

「お前の気持ちが本気なのは分かる。でも俺はその気持ちに応えられない」

セリンは唇を噛んだ。

「……そうなんだ」

「ごめん」

その言葉は短かったが、真心が込められていた。

チャンソプはそれ以上何も言わず、静かに屋上の扉を開けて降りていった。

一人残されたセリンはしばらくその場に立っていた。

手に握った手紙が風に少し震えた。

『知ってた。本当は』

涙が一粒落ちた。


3部 — バトル

「それでも……一戦だけやって」

セリンがカードを取り出して言った。

声は震えていたが、眼差しははっきりしていた。

チャンソプは階段に足を置いて止まった。

振り返る彼の眼差しに、一瞬ためらいが走った。

「……受けよう」

二人は屋上の片隅で向かい合った。

セリンはカード5枚を繰り広げた。

チャンソプは静かにカード5枚を取り出した。3枚ではなかった。

「ちゃんとやろう」

バトルが始まった。

セリンは猛烈に攻め込んだ。積み重ねた一年がそのまま込められたような攻撃だった。

チャンソプは揺るがなかった。一手一手正確に受け止めた。

結果は変わらなかった。

セリンの最後のカードがフィールドから消滅した。

「……負けた」

セリンはカードをゆっくりと片付けながら小さく笑った。

泣き声が滲んだ、それでも笑顔だった。

チャンソプは黙って自分のカードを整理した。

「よく戦った」

彼が静かに言った。

セリンは頷いた。

もうこれ以上何の言葉も必要なかった。


4部 — ジウン

「セリン、今日打ち合わせすることになってたのになんで来ないんだろう……」

ジウンは不安そうな顔で時計を見つめた。

「ちょっと行ってくる」

階段を上っていたジウンは降りてくるチャンソプと出会った。

「チャンソプ、セリン見なかった?」

チャンソプは少し止まった。

「屋上にいる。一人にしてやって」

その口調には何かが込められていた。

ジウンは黙って頷いた。

しばらくして、静かに屋上の扉を開けた。

セリンは欄干に寄りかかって空を見つめていた。

涙の跡が残っていたが、泣いてはいなかった。

「セリン」

「……うん」

ジウンは何も言わず隣に立った。

二人はしばらくそうやって空を見つめた。

「振られた」

セリンが先に口を開いた。

「分かってる」

ジウンが短く答えた。

「恥ずかしい?」

「ううん」

ジウンは首を横に振った。

「勇敢だった。私はそんなことできない」

セリンはくすっと笑った。

「何が勇敢なの。ただのバカでしょ」

「バカと勇敢なのって紙一重よ」

セリンはしばらく黙ってから、静かに言った。

「私、全国大会……出られないかも」

ジウンは予想していたようにゆっくりと頷いた。

「そう。休みなさい」


5部 — ミン・テギョム

廊下を歩いていたミン・テギョムは見覚えのある顔に足を止めた。

セリンだった。目が真っ赤に腫れていた。

「セリン」

セリンは顔を上げてから、目を逸らした。

「大丈夫」

「大丈夫に見えないけど」

テギョムは黙って自販機から温かい飲み物を一つ買って差し出した。

セリンはしばらく見つめてから受け取った。

「……ありがとう」

テギョムは隣の壁に寄りかかって言った。

「聞いてもいい?」

「……チャンソプに告白した。振られた」

テギョムは何も言わなかった。

ただ隣に立っていた。

セリンはそれがかえってありがたかった。

「先輩、なんで何も言わないんですか?」

「何て言えばいい?」

「そうですよね」

二人は少し笑った。

温かい飲み物から湯気が立ち上った。


6部 — ログアウト

「私、もう……やめる」

セリンは静かにスマートウォッチを外した。

手首に巻かれていた、アリーナオンライン参加者の象徴だったその時計はテーブルの上に淡々と置かれた。

カードホルダーからゆっくりとカード10枚を取り出して、半分に分けてスンヒョクとジウンに差し出した。

「これは……あなたたちが持って」

スンヒョクは黙って彼女を見つめてから、頷いた。

「ありがとう。お前の分まで頑張るよ」

ジウンはカードを受け取ってセリンの手を一度ぎゅっと握った。

何も言わなかった。

その日の夜、セリンのアカウントはアリーナオンラインから静かにログアウトした。

記録は停止され、画面に表示された最後の文章はただ一つだった。

【ユ・セリンさんがログアウトしました】


7部 — 債務

スンヒョクは黙って窓の外を見つめて考え込んだ。

あの日、俺は心の中にもう一つの借りを積んだ。

ソヘに続いてセリンまで——

一人は死に、一人は棄権した。

そして俺とジウンに、二人の夢が引き継がれた。

美しかったが残酷で、また胸が切なくなるほど懐かしい2026年の冬。

その季節はそうやって静かに、終わりへと向かっていた。


8部 — 決戦へ向けて

ジウンと一緒に下校するスンヒョクはためらいながら口を開いた。

「確かなんだよな? セリンが辞めるの」

「うん。今日でログアウトした」

しばらく沈黙が流れた。

スンヒョクがそっと尋ねた。

「ジウン、聞きたいことあるんだけど……お前どこに住んでるの?」

「私? プンリムアパート。あんたは?」

「トゥギョンアパート」

ジウンは頷いて周りを見回した。

「私たち全国大会出ること、誰にも言わないで。変に噂になったらろくなことないから」

スンヒョクは一言付け加えた。

「今どき誰がそんなの気にするんだよ。10年以上住んでても隣の顔も知らないのに」

「それもそうね。じゃあね」

ジウンと別れた後、スンヒョクは空を見上げて心の中で呟いた。

『ついに決戦だ。今度こそ……俺より強いチームメイトを見つけなきゃ』

足取りが少し速くなった。

冬の空は澄んで、冷たかった。

第23話をお読みいただき、ありがとうございます!

今回はバトルの熱さよりも、一인의 少女の「卒業」を描く切ない回となりました。

ずっと強気だったセリンが、恋に破れ、そして夢を仲間に託して去っていく姿には、執筆しながら私自身も胸が締め付けられる思いでした。

ソヘの遺志、そしてセリンの想い。スンヒョクの肩にかかる「負債」は、あまりにも重く、そして尊いものです。

エース不在という最大のピンチに陥ったチーム・ペクウォン。

果たしてスンヒョクは、全国の舞台を共に戦う「最強の仲間」を見つけることができるのでしょうか?

物語はいよいよ、クライマックスの全国大会編へと突입합니다!

続きが気になる方は、ぜひ評価やブクマで応援よろしくお願いします!

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