表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/31

22: のんびりとした冬のある日

地域予選を終え、訪れた束の間の休息。

しかし、全国大会を前にセリンの心は複雑に揺れていた。

「もう、あんたには勝てないわ……」

エースの座を譲った彼女の葛藤と, 迫りくる現実的な進로의 고민(しんろのごみん)。

そんな彼女に対し, スンヒョクは彼なりの不器用な「再契約」を申し出る。

雪の降る空の下、差し出された封筒と、少年への新たな眼差し。

「全国大会、一緒に行こう」

三人の絆がより深く結ばれる、冬の日の物語。

のんびりとした冬のある日


1部 — コートの上の亀裂

ローランの最後の球がコートを切り裂いて叩きつけられた。ドン!

また一度、スンヒョクの勝利だった。

相手はセリン。前学期までチーム内のエースとして君臨していた彼女だったが、今は違った。

「もうあんたが強すぎてどうしようもないわ……」

セリンは苦笑いを浮かべて言った。謙遜しているふりだが、眼差しには複雑な感情が見え隠れしていた。

「来年初めに全国大会があるんだ。お前、出る?」

スンヒョクが慎重に尋ねた。

「今回もキャプテンやってくれる?」

しばらく沈黙していたセリンは困った表情で顔を背けた。

「……実力はあんたの方がずっと上なのに、私が必ずキャプテンやらなきゃいけないの?」

言葉の端に滲むのは、プライドと遠回しな不満だった。

「まだ俺たちのチームにはお前が必要なんだ」

スンヒョクが淡々と言った。

「日程管理、対立調整、全部お前が担当してきたじゃないか」

その瞬間、ジウンが目を輝かせて駆けてきた。

「みんな! 雪だるま作ろう〜!」

スンヒョクは笑い、セリンは軽く首を横に振った。

そして少し立ち止まった。

数日前、担任の先生の言葉が思い出された。

『2年生からは内申が本当に大事よ。カードゲームによそ見してたら成績があっという間に落ちるかもしれないわ』

今、彼女の冬も選択の季節を迎えていた。


2部 — ソヘのカード

「どうせ全国大会で入賞したら国家代表選抜のチャンスももらえるじゃん」

スンヒョクは手に握ったカードをちらっと見た。

「俺、一度くらい国家代表になってみたいんだ。だから……俺がゲームだけに集中できるように、お前はキャプテンとして残ってほしい」

彼はそっとカード一枚を見せた。

「特にこのカード12枚、ソヘがくれたやつなんだ。あの子のためにも……必ず優勝して見せる」

セリンはそのカードをじっと見つめた。

しばらく沈黙が流れた。

「カードゲームもう一回やる?」

「いや」

スンヒョクは目もくれなかった。

「もう練習相手が必要なんじゃなくて、チームを率いてくれる人が必要なんだ。それがお前だ」

セリンの眼差しが揺れた。

褒め言葉なのか重荷なのか、分からなかった。

「えい!」

ジウンが投げた雪玉がセリンの肩に命中した。

「へへ、当たった〜!」

セリンがスンヒョクを睨んだ。

「ねえ、チェ・スンヒョク。チーム運営は私に全部押し付けて、あんたはバトルだけするつもり?」

スンヒョクはしばらく口を開けて閉じた。

「……俺、対人恐怖症があるんだ。人が多いところに行くと本当に頭が真っ白になる。それ知ってるのになんで自分ばっかりそっちに押すんだよ」

セリンは言葉を失った。

「だからお前が必要なんだ。お前が前に立ってくれる時、俺は後ろでちゃんと戦える」


3部 — 雪玉と胸の間

「じゃああんたは永遠に後ろにいるつもり?」

セリンの声が少し上がった。

「イベントも、記者会見も、対立調整も全部私? それって公平?」

「公平だよ」

スンヒョクは冷たく言わなかった。ただ淡々としていた。

「スポットライトも、称賛も全部お前が持って行ったじゃん。俺は後ろで勝った」

「それが今、慰めのつもり?」

「違う。事実を言ってるんだ」

二人の間にぎこちない沈黙が流れた。

「えい、パン!」

ジウンがまた雪玉を力いっぱい投げた。

スンヒョクの横の頬にぶつかって白く弾けた。

「スンヒョク、雪合戦しよう〜!」

スンヒョクは雪のついた頬を手で拭いながらにやりと笑った。

「おい、いきなり」

セリンもその様子に笑いが漏れそうになったが、ぐっと堪えた。

「ねえ……」

セリンの声はいつもより低く静かだった。

「私、受験も気にしなきゃいけないの。両親が1月の一ヶ月は塾を休ませてくれるって言ったけど……それってカードゲームのためじゃないじゃん」

スンヒョクはその言葉の重みを感じたのか、今度はすぐに反論しなかった。

「……全国大会が1月なんだ」

「知ってる」

「それで?」

セリンは答えの代わりに空を見上げた。


4部 — 50万ウォン

「俺たちのチーム、今やっと三人なんだ」

スンヒョクが低く言った。

「お前が抜けたら、正直、大会出る意味がない」

「それで私にどうしろって」

「出てくれ。キャプテンとして」

セリンはため息をついた。

「あんた本当に図々しい」

「分かってる」

「図々しいの分かってるのに何でそうなの」

「……分からない。でもお願いしてるんだ」

セリンはスンヒョクを見つめた。スンヒョクは視線を逸らさなかった。

しばらくして、スンヒョクがポケットから何かを取り出した。

封筒だった。

「これ」

「何?」

「3位の賞金。50万ウォン。お前が持ってけ」

セリンの目が大きくなった。

「いきなり何で……」

「キャプテンお疲れ様代だよ。再契約費用って言ってもいい」

スンヒョクは無愛想に言ったが、耳が少し赤くなっていた。

セリンは封筒を見つめてから、結局笑いが溢れた。

「クソ、マジで面白いわあんた」

「受け取らない?」

「……受け取るわ」

スンヒョクは短く頷いた。

「全国大会、一緒に行こう」

「分かった。死ぬ気で勝ちなさい」


5部 — ジウンの目

スンヒョクが家に向かう後ろ姿をジウンは静かに見つめた。

『いつの間にか……本当に大きくなったな』

黙って自分の役割をこなし、セリンが爆発する直前に賞金の封筒一つで雰囲気をひっくり返すそのタイミング。

不器用だけど、真心が込められたやり方で。

『ああいうのが配慮なんだ』

ジウンはセリンの横にそっと立った。

「セリン」

「うん」

「あんた全国大会出るんでしょ?」

「うん。出るわよ、こうなった以上」

「よかった」

二人は並んで遠ざかるスンヒョクの後ろ姿を見つめた。

雪がまた降り始めた。

セリンが封筒を軽く揺らしながら言った。

「ねえ、この50万ウォンで私たち三人何食べる?」

ジウンが目を輝かせた。

「焼肉!」

「おい、スンヒョクのお金なのに」

「スンヒョクも一緒に食べるじゃん。あの子、焼肉好き?」

「知らない」

「聞いてみよう!」

セリンは呆れ笑いを浮かべながらも、いつの間にか足取りが軽くなっていた。

ジウンは走りながら叫んだ。

「スンヒョク〜! 焼肉食べてく〜?」

遠ざかっていたスンヒョクが立ち止まった。

しばらく間を置いてから、ゆっくりと振り返った。

「……どこで」

ジウンがセリンを振り返って満面の笑みを浮かべた。

『本当……かっこよすぎるじゃん』

胸が少しドキドキした。

昔はただ無愛想なカードファイターだったのに、最近は自分ばっかり男として見てしまう。

どんどん。

第22話をお読みいただき、ありがとうございます!

今回は激しいバトルの合間の、少し切なくも温かい日常を描きました。

スンヒョクはただ強くなっただけでなく, 自分の弱さを認め, 仲間を思いやれるリーダーへと成長しつつあります(お金で解決しようとするのは彼らしいですが笑)。

そして、そんな彼を近くで見守るジウンの心境の変化にもご注目ください!

いよいよ物語は冬を越え、全国の強豪が待ち受ける本選へと向かいます。

これからの展開も楽しみ!と思っていただけたら, ぜひ【評価】や【ブックマーク】で応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ