15: 市大会の幕が上がる
ついに幕を開けたソウォン特例市大会!
パク・チャンソプは卑劣な取引で最後の一枚「ローラン」を手に入れ, ついに十二勇士のデッキを完成させる。
開幕戦、たった一人でステージに立つチャンソプ。
対するは、勝利を信じて疑わない「チーム・アシモフ」。
しかし、そこで繰り広げられたのは試合ではなく, 一方的な「蹂躙」だった。
圧倒的な絶望を前に, スンヒョクの瞳に宿る新たな決意とは――。
「怪物」がその真価を現す, 衝撃の第15話!
市大会の幕が上がる
第1部 - 開幕
2026年9月、ソウォン特例市の市大会が市長の開会の辞とともに幕を開けた。
「ソウォン特例市の市民の皆さん、新たな飛躍の時です!」
開会式の会場は熱気に満ちており、すぐにアリーナオンライン大会が始まった。
セリンは目を輝かせながら言った。
「ついに始まるわ」
ジウンも頷いた。「スンヒョク、絶対優勝しよう」
するとスンヒョクは静かに言った。「俺たち……一番最後に出られたらいいな」
一方、会場の隅でパク・チャンソプの傍に見慣れない少年が目に留まった。
やや古びた服装、不安げな眼差し。
その少年は静かに開会の辞を見つめていた。
第2部 - 取引
「あの子……一人で来たのかしら?」
セリンが憐れみの眼差しでその少年を見つめた。
その瞬間、パク・チャンソプが静かに少年に話しかけ始めた。
何を話しているのかは聞こえなかった。
そして彼は突然少年の腕を掴むと、会場の隅へ連れて行った。
周りの人々がちらっと見たが、すぐに何事もなかったように視線を逸らした。
「そのローラン、本物だろうな?」
チャンソプの言葉に少年は頷きながら、大切そうに取り出したローランのカードを差し出した。
「兄さん、本物です。僕が一日中探してやっと手に入れたんです……」
しばらくためらっていた少年は、そっと言葉を続けた。
「あの……塾に通わなきゃいけないんですけど、お金がなくて……兄さんがローランさえくれたら約束した金額をくださるって……」
チャンソプはカードをしばらくスキャンしてから、口角を上げた。
「本物ではあるが」
彼はカードを光にかざしながらゆっくりと言った。
「状態が思ったより良くないな。角を見ろ。微妙に折れてる」
「え? でも……」
「半額。それが妥当だ」
少年の顔が青ざめた。
「でも約束は……これで塾代を……」
チャンソプは冷たく笑った。
「嫌なら他で売ってみろ。この状態でこの値段で買ってくれる人間はいないぞ」
沈黙が流れた。
少年は唇を噛んで悩んだが、結局頭を下げた。
「……わかりました」
チャンソプはポケットから封筒を取り出して渡した。約束の半分。
少年はそのお金を受け取り、涙をこらえながらその場を去った。
チャンソプは手に持ったローランのカードを見つめながら小さく微笑んだ。
「ついに……12枚全部集まったな。半額で」
第3部 - 組み合わせ抽選
一方、組み合わせ抽選の結果が発表され、開幕戦のステージに上がることになったのは他でもないパク・チャンソプだった。
「面倒だな……よりによって最初とは」
チャンソプはげんなりした表情で呟きながらステージへ向かった。
その瞬間、さっきの少年が不安そうな顔で尋ねた。
「兄さん、僕……試合見てもいいですか?」
チャンソプが振り返った。「何歳だって言ったっけ?」
「中学2年生です」
チャンソプはしばらく少年を見つめてから、黙って頷いた。
「見てろ。面白いぞ」
少年は小さく頭を下げて観客席へ向かった。
その会話を偶然聞いた周りの人が眉をひそめたが、何も言わなかった。
一方、試合時間になったが、ステージに上がるはずの相手チームはまだ姿を見せなかった。
観客席ではざわめきが広がり、進行スタッフも戸惑いを隠せなかった。
その時だった。ステージの裏から一人の少女が息を切らして駆け上がってきた。
「すみません……! スジョン高校2年のチョ・ソヨンです。チームメイトがちょっと遅れて……」
慌てたように話す彼女は、髪に汗がにじむほど全力疾走してきたようだった。
その瞬間、遅れて上がってきた別の学生が彼女のマイクをひったくって言った。
「おい、なんでお前が喋るんだ? キャプテンは俺だぞ」
彼はソヨンを横に押しのけてステージ中央に出た。
「遅れてすみません」
体格はやや大きく、顔は少し腫れぼったく、どこか大人びた雰囲気の体つきだった。
「イ・ジュンヒョクと言います。僕も2年生で、ソヨンと同い年です。子供扱いしないでください」
その口調は意外にも断固としていて、はっきりとした気迫があった。
会場の雰囲気が微妙に沈んだ。
チャンソプは興味深そうに彼らを見つめた。
第4部 - 応援
遠く観客席の一角で、スンヒョクとジウンはステージを見つめながらチャンソプの試合を見守っていた。
その時、ジウンが両手を合わせて少し体を傾けながら静かに叫んだ。
「ソヨン姉さん、私よ! 絶対勝ってください!」
その口調は驚くほど優しく、ソヨンへの心からの応援が滲んでいた。
その様子を見たスンヒョクが顔を向けて尋ねた。
「知り合いなの?」
「うん、少し前に仲良くなったの。同じ授業を受けるようになって」
ジウンは少し笑いながら答えた。
その時、ステージの方へ一人の男の子が走ってきた。
息を切らしながら自己紹介した。
「チョン・ジェホと言います」
彼はジウンに近づいて耳打ちで静かに言った。
「今日は応援よろしくお願いします」
ジウンは小さく笑い、スンヒョクは黙って彼らを見つめた。
試合開始まで残された時間はもうわずかだった。
第5部 - 開幕戦開始
「今回の試合は3対3の勝負です。ただし、1人が2人、3人と戦っても構いません」
アナウンサーの説明とともに電光掲示板に映るチーム名。
チーム・アシモフ VS チーム・カオス
しかしチーム・カオス側、ステージ中央にはたった一人。
パク・チャンソプだけが一人立っていた。
「誰が最初だ?」
その冷淡な視線が相手陣営を睨んだ。
すぐにジェホが前に出た。
「僕が最初です」
固い眼差しで叫んだ彼は決意を込めて陣取った。
「試合開始!」
ホイッスルの音と同時に、チャンソプは一気に12枚のカードを繰り広げた。
その手さばきは淀みなく精密だった。
ホログラムの戦場でシャルルマーニュの十二勇士が一斉に姿を現した。
瞬く間にジェホの守備陣形が崩れ、彼は慌てて防御に追われた。
しかし1分も経たないうちに強力なコンボ攻撃でジェホのHPが底をついた。
「うっ……くっ!」
彼のホログラムキャラクターが崩れてゲームフィールドに倒れ、観客席には驚きが広がった。
「57秒でKO!」
アナウンサーの叫びが競技場を満たし、観客席はざわめき始めた。
「あいつ何だ?」
「一人であんなに……?」
人々の戸惑った眼差しの中で、チャンソプはゆったりと肩を回した。
「まだ、誰かいないか? つまらなくて……」
彼は口元に嘲笑を浮かべながら手招きした。
「残りの二人、一緒にかかってこい」
言葉と同時に観客席に向かって指差すように指を伸ばした。
第6部 - 圧倒
その挑発に耐えられなかったように、ジュンヒョクがステージに上がった。
「行け、アストルフォ!」
彼は躊躇なくカードの束から一枚を取り出した。
燦然たる光とともに、虚空にピンク色の槍が舞った。
「正面突破だ!」
ジュンヒョクは続けて6枚のカードの中からアストルフォを取り出してチャンソプに向かって突進させた。
「突破!」
しかしチャンソプはゆっくりと一枚を取り出して掲げた。
「盾」
落ち着いてカードが繰り広げられると、眩い金色の六角形のエネルギーが彼の前を覆った。
アストルフォの槍がその盾にぶつかったが、ガン! と響いて弾き飛ばされた。
「そんな……」
ジュンヒョクはすぐに二枚、三枚の攻撃カードを次々と差し出してアストルフォの動きを強化したが——
チャンソプはびくともしなかった。
どんな攻撃も盾の表面に触れた瞬間に消え、彼のつま先一つ揺らがなかった。
観客席には息を呑む沈黙が流れた。
チャンソプの口角がゆっくりと上がった。
「面白くなってきたな」
彼は手首を一度払ってから、瞬く間に三枚のカードを放った。
「ローラン」
青き騎士の剣が金色の閃光とともに叩きつけられた。
「オリヴィエ」
巨大な騎士が咆哮しながら登場した。
「そして……」
彼は最後のカードを掲げて低く笑った。
「お前は聞いたことないだろう。これは市大会だけで解禁されたレアカードだ」
その瞬間、カードから闇の気配が流れ出た。
姿を見定められない黒い影——
その存在は不気味な音を立ててジュンヒョクに襲いかかった。
「うっ……うわああ!」
ジュンヒョクは防御カードを数枚急いで取り出したが、ローランの剣、オリヴィエの突進、そして未知の怪物が瞬く間に彼を押し込んだ。
HPが底をつくと、彼はゲームフィールドに膝をついてすすり泣いた。
「もう……もうやめてください……僕……僕できません……」
観客席に嘆息が流れ、その瞬間誰かが叫んだ。
「ジュンヒョク!」
第7部 - 最後の希望
ステージ上、後方から駆けつけたのはソヨンだった。
彼女は躊躇せず一枚のカードを取り出した。
「ヒールカード! バリア起動!」
チャンソプの攻撃が一斉に弾かれ、ジュンヒョクの周りには透明なバリアが生まれた。
彼はやっと意識を取り戻して立ち上がった。
チャンソプは眉を一つ上げた。
「何だ、囮だったのか?」
彼は鼻で笑った。
「どうせ二人で戦おうが、一人で戦おうが結果は変わらない」
彼は静かに一枚の黒いカードを取り出した。
カードの表面には何の名前も書かれていなかった。
しかしステージ上の空気が変わった。
「スペシャルカード、解禁」
チャンソプの眼差しが冷たく冷めた。
それと同時に、黒い影がステージを覆った。
全ての観客が息を呑み、ローランとオリヴィエが再び強化されて暴走するように突進した。
「防いで、防がなきゃ!」
ソヨンが二枚の防御カードを取り出したが、スペシャルカードの威力の前では何の役にも立たなかった。
強化された攻撃はバリアを粉々にし、彼らは為す術もなく弾き飛ばされた。
「あ……ああっ!」
ソヨンとジュンヒョクが同時にゲームフィールドから吹き飛ばされた。
ステージには再び、たった一人だけが残った。
パク・チャンソプ。
彼はゆっくりと手に持っていたカードを整理しながら言った。
「次」
観客席は静寂に包まれた。
その日、人々は知ることになった。
この市大会には怪物が一人参加しているという事実を。
第8部 - 残酷な勝利
ソヨンは壊れたカードの間から最後の二枚を握った。
「まだ……終わってない!」
しかしチャンソプは笑いながら手を差し出した。
「解禁状態では……プレイヤーも直接攻撃できるんだ」
黒い気配が彼の指先から伸びてソヨンのゲームキャラクターに直撃した。
「くっ……!」
ソヨンはそのままゲームフィールドから弾き飛ばされて倒れた。
観客席には息を潜めた嘆息だけが漂った。
チャンソプは倒れた参加者たちをしばらく見つめた。
「姉さん……」
その瞬間、ジウンが急いで駆け出してソヨンを支えた。
「ソヨン、大丈夫?」
ジウンの優しい声に周囲は静まり返り、チャンソプはそんな様子をじっと凝視した。
彼は冷笑を浮かべて呟いた。
「たかがこの程度で倒れるなんて、芝居か?」
言葉を残して何も言わずステージを去った。
彼の後ろ姿が観客の間に長い余韻を残した。
第9部 - 試合後
チャンソプがステージから静かに退場すると、試合終了が宣言された。
すぐにジェホとソヨンは堪えきれない涙で顔を覆って号泣した。
「この大会に参加するためにキョンジュからここまで来たのに……」
ジェホの声は震え、ソヨンも涙を止められなかった。
その時、ジウンとセリンが近づいてそっと彼らを慰めた。
「大丈夫、姉さんが悪かったんじゃないわ」
「元気出してください、またチャンスはありますから」
スンヒョクも静かに近づいて言った。
「あいつがチートだからです。皆さんのせいじゃないですよ」
スンヒョクの瞳が鋭く光った。
「あいつ、やっぱり強い……」
ステージの裏へ消えていくチャンソプの後ろ姿がぼんやりと見えた。
その冷徹な足取りと揺るぎない態度にスンヒョクの胸の中に妙な緊張感が染み込んだ。
一方、ステージ上のソヨンはゲームシステムの衝撃でよろめきながらやっと体を起こした。
隣に立っているジェホとジュンヒョクも疲れた様子で互いを支え合った。
三人は辛い状況の中でも互いを励まし、まだ終わっていない希望を誓った。
スンヒョクの眼差しは彼らに向かってさらに固くなった。
「次は必ず……」
その誓いが静かにステージを満たした。
第10部 - 打ち上げ
セリンはチャンソプがステージから姿を消す後ろ姿を見て眉をひそめた。
「あいつ、何? ひどすぎるんじゃない?」
緊張と怒りが入り混じった表情だった。
数時間が過ぎ、静かな打ち上げの席で皆が集まった。
「初めて出場した大会でこれくらいなら悪くないんじゃない」とセリンが残念がりを慰めた。
「そうね、次はもっと強くなるわ」
ジウンが微笑んだ。
スンヒョクは静かに決意した。
「俺たちもいつかはあいつと会うことになる。今日の開幕戦は絶対忘れない」
皆がその誓いを共にして、徐々に暗くなる夜を後にした。
ジウンはソヨンを見つめながら名残惜しそうに微笑んだ。
「今日初めて会ったのに、こんなに早く敗退してキョンジュに帰ることになっちゃったね……姉さん、次の大会では絶対また会おう」
互いを励まし合いながら二人は静かに慰めを交わした。
スンヒョクはそんな様子を遠くから見守りながら言った。
「チャンソプは多分全国1位でしょう」
ソヨンが顔を上げて尋ねた。
「あなた、キャプテン?」
スンヒョクは首を横に振って答えた。
「いいえ、セリンがキャプテンです」
スンヒョクの眼差しにはチャンソプへの不快感が滲んでいた。
すぐにソヨンに挨拶を送った。
「さようなら」
そして静かにその場を去った。
ジウンもソヨンに小さく「姉さん、バイバイ」と挨拶してから、振り返りもせずステージを去った。
そうして今日の痛みと希望を後にして、それぞれの道へ向かって歩き出した。
スンヒョクの頭の中にはただ一つ、「次こそは必ず……」という決意が深く刻まれていた。
【第15話 終わり】
第15話をお読みいただき、ありがとうございます!
今回はチャンソプの「格の違い」をこれでもかというほど描いてみました。
中学生相手に非情な値切り交渉をする商売人としての顔、そして3対1を物ともせず粉砕するプレイヤーとしての顔。
特に市大会解禁の「スペシャルカード」の登場は、スンヒョクたちにとっても大きな脅威となったはずです。
敗れ去ったソヨンたちの涙を見て, スンヒョクの心にはチャンソプへの怒りと、打倒への執念が燃え上がります。
果たして、この「怪物」を止める術はあるのか?
これからの展開が気になる方は、ぜひ【評価】や【ブックマーク】で応援よろしくお願いします!




