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第12話:決勝戦

ついに迎えた運命の決勝戦。

しかし、そこにあるはずの「絆」は無慈悲に引き裂かれる。

「あいつらは弱者だ」――冷徹な言葉を残し、独り戦場を去るチャンソプ。

絶望的な状況の中、スンヒョクはボロボロになりながらも伝説のカード『ローラン』と共に最後の賭けに出る。

敗北の苦しみ、溢れる涙、そして頬を打つ衝撃。

「準優勝」という結果の先に、少年が見た景色とは?

校内大会編、堂々の完結!

第12話:決勝戦

第1部 - 開始前

まもなく決勝戦が始まった。

観客席から歓声が上がる中、スンヒョクは静かに手札を見つめた。

「ローラン……リチャード2世……でもローラン以外は大したことないな」

唇を噛んだスンヒョクは、ゆっくりと息を吸い込んだ。


その頃、チャンソプは体育館の最上段の席で、余裕たっぷりにコーヒーをすすりながら試合を眺めていた。

『どうせ今回の戦いは、勝っても負けてもどっちでもいい。大事なのはこれからだ』

無関心な彼の表情は、すでにこの場に心がない人のように淡々としていた。


競技場の入口付近、生徒会長テギョムの隣から、何か鈍い足音が聞こえてきた。

太った体格にだらしないチェックシャツを着た、どこか工学部の学生のような生徒が近づいてきた。

「やあ、僕はペク・スンモっていうんだ。よろしく、スンヒョク!」

その挨拶にスンヒョクはぎこちなく頷き、その隣でセリンは眉をひそめて首を横に振った。

「あの人とスンヒョクはタイプが違いすぎる……」

彼女はささやくように呟いて不満を漏らした。


第2部 - 試合開始

試合が始まると、競技場はすぐに熱気で満たされた。

先手を打ったのはペク・スンモだった。彼の指先からきらめきながら召喚されたのは《ハンマーのアルヌ》、続いて《炎のカエル》、《重装剣士ヒルダ》まで。三枚のカードを連続で展開し、一気に攻撃態勢を整えた。

「うわ、何? 開始早々全部突っ込むの?」

セリンが驚いて叫び、ミン・テギョムも負けじと《暗殺者マロン》と《騎兵隊長ブルーノ》を戦場に投げ込んだ。

しかし二人とも序盤の勢いに乗って、防御カードを使わなかった。しっかりセットアップしたように見えるが、実は隙だらけだった。

「あれは無謀だ……五枚中三枚を序盤に攻撃型で使ったら、手札回復まで時間がかかるのに……」

スンヒョクは眉をひそめて呟いた。


ジウンがターンを取った。しかし彼女の手札には使えるカードがなかった。

《古代の兵士》《沼地の司祭》《意識のない幽霊》……

「最悪……スンヒョク、スンヒョク……そのローランだけでも出してみて」

ジウンは必死な眼差しで彼を見つめた。

スンヒョクは沈黙してから、静かに手を上げた。

そして戦場に静かにカード一枚を置いた。

《シャルルマーニュの十二勇士 – ローラン》


瞬間、競技場全体がざわめいた。

一角でチャンソプが腕を組んで目を細めた。

しかしペク・スンモは全く動じなかった。

むしろ彼の口角がゆっくりと上がった。

「そのローラン……もう全部分析済みだよ」

スンモはすぐにカードを出す。

《儀式破壊者 – エイロル》

ローランの特殊能力「広域反撃」が発動する前に、エイロルのスキルが発動した。

「指定対象のパッシブ能力無効化」

「……!」

スンヒョクの目が大きく揺れた。


第3部 - 崩れる戦線

次の打者はテギョムだった。彼のマロンが素早くジウンの《沼地の司祭》を除去し、ブルーノが直撃で攻撃に入る。

「ジウン、防御は!?」

スンヒョクが叫んだが、ジウンは両手を握りしめたまま首を横に振った。

「ない……カードがない……」

《意識のない幽霊》は防御力が低く、そのまま破壊されてジウンのフィールドが瞬く間に空になった。

「ジウン、脱落」

審判の声が体育館に響き渡った。

ジウンは力なく後ろに下がり、戦場には今やスンヒョク一人だけが残された。

「これからが本番だね」

スンモがゆっくりと眼鏡を押し上げながら笑った。

そしてまた別のカードを手に取った。

「見せてあげるよ。分析の極みがどういうものか」


第4部 - チャンソプの沈黙

ジウンは戦況が傾くと顔を向けてチャンソプを見つめた。彼女は目で強く合図した。

『今よ。出なきゃ。このまま負けるつもり?』

しかしチャンソプは相変わらず余裕の笑みで二人の戦いを眺めているだけだった。制服のジャケットに手を突っ込んだまま、椅子に半分腰掛けていた。

「弱者だ」

彼は心の中で呟いた。

「あいつらは……弱者だ」

ジウンはもう我慢できずに叫んだ。

「ねえ、パク・チャンソプ! 今チェ・スンヒョク一人で戦ってるのよ! 聞こえないの!?」

ようやくチャンソプが視線を移した。その目は冷たく冷めていた。

そして彼が口を開いた。

「それで、どうしろって?」


瞬間、体育館全体が静まり返った。

チャンソプはその言葉だけを残してゆっくりと立ち上がった。

全校生徒が見守る前で、そのまま競技場を出ていってしまった。

「え、チャンソプ、どこ行くの? まだ試合中だよ!」

何人かの先生たちが慌てて彼を呼んだ。

しかしチャンソプは振り返りもしなかった。

審判団には「棄権します。体調が優れなくて。ちょっとめまいがして……」と言いながら。

その顔には何の熱気もなかった。

誰が見ても元気そうで、恐ろしいほど平静だった。


第5部 - 一人残された戦場

「……はあ」

スンヒョクは歯を食いしばってカードの山を見つめた。

今残っているのはたった一枚、《ローラン》だった。

「よし。全部賭けよう」

彼は手に持っていた残りの四枚のカードをローランに注ぎ込んだ。

「暴走開始」

カードの上に炎のようなオーラが立ち上り、ローランが赤い鎧に変貌した。

暴走状態のローランは剣を二度振るうやいなや、ミン・テギョムの《騎兵隊長ブルーノ》と《暗殺者マロン》を一気に粉砕した。

「よし、一人は片付けた……!」


しかしペク・スンモはすでに準備を終えていた。

彼の手にはAI型カード《コグマインド Σ》が目覚めつつあった。

「君のローランがどんな風に動くか、もう学習済みだよ」

スンモは静かに呟いた。

《コグマインド Σ》はローランの動きを予測して反撃した。同時にテギョムの隠しカード、《時間逆行 – ルベグ》が発動してローランのバフを全て解除した。

「はあああああっ!!」

暴走したローランが最後の力を振り絞って攻撃するが、すぐにテギョムの防御カードに阻まれて弾き飛ばされる。

続けてペク・スンモがトドメのカード《電磁破砕》を使用、ローランのHPを一気に削除してしまった。

スンヒョクのフィールドが空になった。

カードが全て粉々に砕けて飛び散った。

「プレイヤー・チェ・スンヒョク、脱落」


第6部 - 平手打ち

静寂の中で審判の声が響いた。

そして観客席では、まだ背中を向けて去っていくチャンソプのシルエットが遠ざかっていた。

スンヒョクは虚しく競技場を見つめてから、がっくりと頭を下げた。

風の音だけが聞こえた。空になったフィールドの上には散らばったカード、自分の足元には壊れていないスマートウォッチが光っていた。

「……はあ」

彼は何かに取り憑かれたようにスマートウォッチを手に取った。

そしてそのまま地面に叩きつけようとした。

その瞬間、

「やめて」

ジウンが駆け寄って彼の手首を掴んだ。

「やめてって言ってるでしょ!」


次の瞬間、

「パァン——!」

ジウンの手が彼の頬を強く打った。

競技場が息を呑んだ。

一瞬の静寂。

ジウンは目に涙を溜めたまま、歯を強く噛みしめて言った。

「あんたは最善を尽くしたわ。本当に。なのになんでいつもバカみたいに一人で全部背負おうとするの?」

スンヒョクはその言葉に答えられないまま、ただ彼女の手を見つめた。

ジウンは彼の手からスマートウォッチをゆっくりと取り上げて、再び彼の手首に着けてあげた。


第7部 - 表彰式

観客席ではミン・テギョムが静かに拍手を始めた。

その隣でペク・スンモも黙って立ち上がった。

「それでもよくやったよ」

スンモが小さく言った。

テギョムも微笑んで頷いた。

「準優勝も素晴らしいことだよ。本当にかっこよかった、スンヒョク」

スンヒョクはしばらくぼんやりしてから、無理に笑顔を作って彼らに近づき手を差し出した。

三人はその手を握り、短い握手を交わした。


スンヒョクは再び頭を下げて地面に散らばったカードを一枚一枚拾った。

ローラン、リチャード2世、壊れたバフカードまで。

彼は慎重にデッキボックスにそれらを戻した。

やがて表彰式が始まった。

「準優勝、3年生チェ・スンヒョク – チェ・ジウンチーム!」

体育館には大きな拍手の音が響き渡った。

校長が壇上に上がってマイクを握った。

「今日の決勝戦、多くの感動を与えてくれました。そういえば、パク・チャンソプ君が最近胃炎があるそうですね。試合開始前に今日は出られないかもしれないと伝えてきていました。誤解しないでくださいね」

そして彼は微笑んでスンヒョクを見つめた。

「スンヒョク君、お疲れ様でした。そう、今日は君が一番『主人公』らしかったよ」

拍手は再び大きくなり、スンヒョクは少し頭を下げながら、口元に小さく笑みを浮かべた。


第8部 - 嘘

実はチャンソプは病気どころか、前日の夜も塾を終えた後に体育館に寄って汗を流すほど元気だった。

いや、元気というより健康そのもので、筋肉の張りはむしろ絶好調だった。

彼はただ、助けたくなかっただけだった。

「あいつらは弱者だ」

彼が決勝開始前、観客席で静かに呟いた言葉。

その一言が今もなおスンヒョクの頭の中を離れずに巡っていた。

準優勝という名前の裏に隠れた苦々しさ。

しかし今日だけはそれを表に出さないことにした。

ジウンも笑っているし、友達も拍手を送ってくれているから。

今日は、いい日だ。


一方、教師たちの間では見当違いな美談が広がっていた。

「うちのチャンソプを見てください。どれだけ出たかったでしょう、決勝戦なのに。それでもできない友達に配慮してわざと欠場したんですよ」

チャンソプは廊下の端でその言葉を聞いていた。

相変わらず笑っていた。

しかしその微笑みは静かな嘲笑だった。

彼にとって今日の試合は、ただのおもちゃに過ぎなかった。


第9部 - それぞれの道

競技場の明かりが消え、全員が帰宅の準備をする時間。

チャンソプはまっすぐ「D区医大入試特別クラス」へ向かった。

今日の試合さえ終われば、すぐに冬期講習に入らなければならなかった。

その頃、グラウンドの端に残ったスンヒョクとセリン。

二人は汗で濡れたカードデッキを並べて整理していた。

「それで……」

セリンが口を開いた。

「市大会出るんでしょ?」

「うん」スンヒョクが頷いた。

「2学期の10月。今度は正式な大会。16チーム。学校じゃなくて、プレイヤー自由参加制だって。それで全国大会では都市の名前を背負って代表として出るんだって」

セリンは彼の顔をじっと見てから、指で彼の額をつついた。

「キャプテンは私がやる。あんたはただ黙ってて」

「いいよ」

スンヒョクは短く笑った。

「じゃあ9月にまた連絡するわ」

セリンが言った。

「それまで元気でね」


カードボックスをバッグに入れたスンヒョクは、赤く染まった空を見上げた。

もうすぐ夏休みだ。

今日はとにかく、終わった。

まあこれくらいでよくやったほうだろう。

ゆっくりと笑いながら、彼は歩き出した。

グラウンドを去る少年の後ろ姿に、夕暮れの風がそっと吹き抜けていった。


【第12話 終わり】

第12話をお読みいただき、ありがとうございます!

ついに校内大会編が幕を閉じました。

圧倒的な実力差、そして仲間の離脱という「現実」の厳しさを描いた回となりました。

チャンソプの冷徹さは際立っていますが、それを周囲が勝手に「美談」に書き換えてしまう皮肉……。

スンヒョクにとって、この準優勝はただの敗北ではなく、本当の意味で「自分の足で立つ」ための第一歩になったのではないでしょうか。

そしてジウンの渾身のビンタ! 彼女なりの、スンヒョクへの精一杯の励ましでしたね。


物語は夏休みを挟んで、10月の「市大会編」へと進みます。

新チーム、新カード、そしてさらなる強敵たち。

ここまでスンヒョクの成長を見守ってくださり、本当にありがとうございました。

「市大会編も読みたい!」と思ってくださった方は、ぜひ【ブックマーク】や【評価】で応援していただけると嬉しいです!

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