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第11話:チャンソプとスンヒョク

ついに本性を現したチャンソプ。

「そのカード、俺に売れ」

スンヒョクの宝物である『ローラン』を巡る冷酷な取引、そして突きつけられたチーム解体の宣告。

信じていた仲間の裏切りに涙するスンヒョクだった가, 彼は絶望の中で新たな決意を固める。

ジウン, そして意外な協力者となるセリンと共に, チャンソプ不在の決勝戦へ。

友情が壊れ, 野望が渦巻く激動の第11話!

第11話:チャンソプとスンヒョク

第1部 - 取引拒否

その日も教室の隅、片隅の席に座ったチェ・スンヒョクは、古びたカードファイルをめくりながらため息をついていた。

「使えるカードがない……一体どうすればいいんだ……」

指先で擦り切れたカードをめくっていた瞬間、誰かが彼の前に近づいてきた。同じクラスの友人、チャンソプだった。チャンソプはスンヒョクのカードファイルをちらっと覗き込むと、その中の一枚を手に取りながら言った。

「そのカード、俺に売れ」

彼が取り上げたのは、随分前に廃版になった『黄金の騎士ローラン』だった。チャンソプは目を輝かせながら付け加えた。

「金はいくらでも出すよ。相場の三倍払ってもいい」


しかしスンヒョクは断固として首を横に振り、カードを手で隠した。

「ダメだ。このカードは一枚しかない」

チャンソプは残念そうに頭を下げると踵を返した。廊下に出ながら彼が呟いた。

「あれほど探し回っていたカードだったのに……それを俺に売らないというなら、市大会からは仕方ないな」

教室の中、スンヒョクはまだローランのカードを手に握ったまま窓の外を見つめていた。静かな教室には、風の音だけがかすかに流れていった。


第2部 - 宣告

チャンソプは静かにスンヒョクを見つめてから口を開いた。

「スンヒョク、今回の大会は正直言って、俺としては優勝しても、しなくてもどっちでもいい試合だ。先発はお前がやれ。どうせ校内大会3位チームまで市大会に進出できるし、俺たちはすでに決勝に上がってるじゃないか」

その声は穏やかだったが、言葉の端々には冷たさが滲んでいた。

「俺の言うことも聞かないお前を、チームメイトとして信頼する理由は微塵もない。市大会に出ることになったら、その時はチームを新しく組み直すつもりだ」


その瞬間、廊下の方から誰かが慌てて走ってきた。ジウンだった。彼女は息を切らしながらチャンソプに問い詰めた。

「チャンソプ、それどういうこと? チームを解体するって、どういう意味よ!」

チャンソプは彼女を見つめると短くため息をついて、落ち着いて答えた。

「ただ正直に言うよ。残りの市大会はお前ら二人でうまくやってくれ。俺はもう関わらない。もう俺には関係ないことだから」

そう言って彼は静かに教室を出ていった。残されたジウンとスンヒョクの間には奇妙な静寂が漂い、カードが一枚、スンヒョクの手からゆっくりと机の上に落ちた。


第3部 - 崩壊

「あいつ……最後まで……」

スンヒョクは頭を下げたまま静かに涙を流した。

「なんとかしてチームを守ろうとしてたのに……ひどい奴だ……」

机の上に落ちたローランのカードを手に握りしめたまま、スンヒョクは唇を噛んだ。そんな彼の隣で、ジウンは深くため息をついた。

「チャンソプの頭の中には、もう新しいチームの構想しかないわ。あんたがどれだけ努力しても、あいつはあんたのことを単なる面白いおもちゃ程度にしか思ってない。もう私たちだけでチームを作るしかない」


第4部 - 生徒会長

一方、1年生のチャンソプは新しい生徒会長に当選した。当選直後、彼は現職の生徒会長である3年生のミン・テギョムと顔を合わせた。

「お前がチャンソプか。これからよろしく頼む」

テギョムが先に手を差し伸べて挨拶した。

チャンソプはすばやく姿勢を正して丁寧に頭を下げた。

「こちらこそよろしくお願いします。先日の数学コンテストの際にご協力いただき、本当にありがとうございました、先輩。あの……先輩が通ってらっしゃるソウルD区の塾、私にも紹介していただけないでしょうか?」


テギョムが笑いながら頷いた瞬間、主催側の進行役が決勝戦の組み合わせを発表した。

その結果を聞いたテギョムが言った。

「決勝は……? お前の決勝の相手は俺じゃないか。いやあ、こんな偶然があるか?」

その言葉にチャンソプは静かに振り返り、体育館の観客席に座っているスンヒョクとジウンを見つめた。そして口の端をゆっくりと上げ、冷笑を浮かべた。

だがすぐに表情を切り替え、テギョムに向かって再び頭を下げた。

「私はすでに生徒会長に当選しましたし、体も実戦経験も十分に積みました。今回の決勝戦は友人たちに譲りたいと思います」


テギョムはチャンソプの言葉を聞いて無邪気に頷いた。

「いやあ、チャンソプは人格も素晴らしいな。やっぱり選んだ甲斐があった」

しかしその光景を遠くから見守るスンヒョクとジウンの表情は重かった。

その瞳の中には、怒りも、悲しみも、虚しさも入り混じっていた。

スンヒョクは自分を責めるように呟いた。

「俺が弱いせいだ……結局またも、何も守れなかった……」

彼の手に握られたローランのカードは、いつの間にか微かに震えていた。


第5部 - 対立

結局ジウンは我慢できずにチャンソプを追いかけて詰め寄った。

「なんで嘘つくの? 私たちのこと考えてのことじゃないでしょ。スンヒョクと私にチャンスを与えるふりをして、本当はただ私たちを捨てようとしてただけじゃない」

チャンソプは眉一つ動かさず彼女を見つめてから、冷たく口を開いた。

「お前たち二人は実力は似たり寄ったりだが、俺は圧倒的に上にいる。正直に言って、お前たちとゲームするのは俺のレベルに合わない。俺のチームメイトとして一緒に行くのは難しい」


ジウンの顔が強張った。しかしチャンソプは意に介さず言葉を続けた。

「スンヒョクが少し強くなったとしても、俺の立場からしたらまだ差がある。ただ……俺たちはお互い違うレベルにいる、それだけだ。だから俺の前を塞がないで、お前たち二人でうまくやってくれ」

ジウンは唇を噛んで黙って踵を返し、チャンソプは無関心に図書館へ向かった。

図書館の前で本を探していた彼は、ぼそりと呟いた。

「はあ……はあ……自分で言っておいてなんだが、一発殴りたくなるな、本当に」


第6部 - 決意

その時、廊下の一角から誰かがそっと近づいてきた。

落選した副会長候補のセリンだった。

彼女はためらいながらスンヒョクとジウンのいる場所へ近づいた。

「スンヒョク……大丈夫? 大丈夫よね?」

その瞬間、じっと座っていたスンヒョクが口を開いた。その声は普段と違い、静かだが芯のあるものだった。

「今回の大会が終わったら、俺たち三人、それぞれ別のチームに入ろう」


思いがけない言葉にジウンが驚いて彼を見た。

「なんで? 協力した方がよくない? それでも私たち……一緒にやってきたじゃない」

スンヒョクは首を横に振って言った。

「協力なんて何が協力だよ。結局みんな各自生き残るしかないんだ。現実は冷たいもんだろ」

しばらく沈黙が流れた後、スンヒョクは静かに言葉を付け加えた。

「……でもお前は、望むなら俺たちのチームに残っていい。ただし条件が一つある。新しいチームメンバーは、必ず強いやつを連れてこないといけない」

ジウンは黙ってスンヒョクを見つめた。

その瞳はもう揺れていなかった。

まるで、どこかへ旅立つ準備を終えた人のように。


第7部 - 決勝の名簿

決勝戦のメンバー表が掲示されると、ジウンとスンヒョクは一緒に掲示板の前に立った。

名簿の上部には太字でこう書かれていた。

決勝戦代表チーム

ミン・テギョム

ペク・スンモ

(控え)ユ・セリン

ジウンが先に呟いた。

「ユ・セリン? ちょっと待って……セリンは16強で敗退したじゃない?」


スンヒョクも首を傾げてから、すぐに険しい顔で生徒会長ミン・テギョムを探しに行った。

「会長、このメンバー表……どういうことですか? 選手登録は三人まで出来るじゃないですか。なのになぜ二人しか登録されてないんです?」

テギョムは職員室の前で急いで問題集を片付けていた手を止めた。

「あ、ごめん。俺最近センター試験の準備で本当にてんてこまいでさ。選手登録が三人まで出来ること……すっかり忘れてたわ」

思いがけずあっけらかんとした返答にスンヒョクは言葉を失った。テギョムは肩をすくめて笑いさえした。

「あ、それ? 控えにセリンを入れたのはただ……入れてくれって頼まれたから入れてやっただけだよ。大した意味はない。どうせ出番もないしな」


スンヒョクはその瞬間、かつてセリンが自分をわざと挑発していた記憶がよぎった。いつも後ろで静かに微笑みながら、何かを計算するような目つき。

『ダメだ。市大会の控えには絶対ダメだ』

心の中でそう思った。

まもなくチャンソプがチームを去れば、チームの次のリーダーは事実上自分になる可能性が高かった。

それだけに、誰を傍に置き、誰を遠ざけるべきか、彼はどんどん慎重になっていた。


第8部 - 計算

スンヒョクはまた頭の中で複雑な算盤を弾き始めた。

『どうする? どうするのが一番いいんだ? チャンソプが抜けて、セリンはああいう状況で……』

しばらく悩んだ末、彼はとうとうがっくりと頭を下げた。

「あー、もうわかんない。今日一日だけは何も考えるのをやめよう」

考えることを諦めた瞬間、彼は少しだけ穏やかな表情になった。


一方、チャンソプは静かに自分のカードファイルをめくっていた。

「もうシャルルマーニュの十二勇士の中の十一枚を集めた……残るのはたった一枚、ローランだけだ」

その声には、言葉にしがたい達成感と狂気が入り混じっていた。

「これから市大会、全国大会までずっと——この流れ、逃すわけにはいかない」


第9部 - 新しいチーム

その頃、体育館の裏手の廊下では、セリンがいつも通りジウンとスンヒョクの周りをうろついていた。

「ねえ、スンヒョク」

慣れた口調でスンヒョクを呼びながら、軽く腕をつついた。

「やばいじゃん。市大会からは誰を勧誘しなきゃいけないの?」

スンヒョクが無関心に彼女を見ると、セリンは自分を指差した。

「私しかいないでしょ」


しばらく考え込んだスンヒョクはついに頷いた。

「いいよ。ただしチームのキャプテンはお前がやれ。俺は……自信がない」

するとセリンは呆れたように笑いながら叫んだ。

「当たり前でしょ。誰があんたをキャプテンにするって言った? あんたは静かに後ろにいなさい。指揮は私がやるんだから」

スンヒョクはその言葉にも黙って頷いた。

「そうだな……市大会からは一緒にやろう」


そしてまた独り言を呟いた。

「それにしてもどうしよう? 決勝でチャンソプが抜けたら……いや、どうせ負けても本戦出場は確定してるし」

そうして彼は現実的な妥協の中で、また頭の中の算盤を閉じた。


第10部 - 決勝戦、開幕

そして、ちょうどその時——

体育館のスピーカーから、決勝戦の開始を告げる放送が響き渡った。

「決勝戦参加選手は全員、競技場へご入場ください」

スンヒョクとジウンは互いを見つめた。

「行こう」

「うん」

二人は一緒に競技場へ向かった。

チャンソプのいない、初めての試合。

彼らだけの戦いが、始まろうとしていた。


【第11話 終わり】

第11話をお読みいただき, ありがとうございます!

今回はチャンソプの「冷徹さ」と、それによってどん底に突き落とされたスンヒョクの「再起」を描きました。

チャンソプがなぜあそこまで『ローラン』に執着するのか, そして彼が隠し持つ狂気とは何なのか……物語のダークな側面が少しずつ見えてきました。

一方で, セリンという強烈な(?)新メンバーを迎え, スンヒョクたちのチームも新たな局面を迎えます。

チャンソプ抜きで挑む決勝戦, 果たしてスンヒョクは自分たちの力だけで勝利を掴めるのか?

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