毎週のルーティン
一昨日の出来事を物語っぽくしてみました。
数話で終わりますが、よかったらお付き合いください。
「……やっと、休みだ」
金曜日の夜。
仕事を終えて帰宅した私は、お風呂のお湯を張ってから自宅前の公園に向かった。
お湯が溜まるまでの時間、ベンチで缶コーヒーを飲む。それが毎週やっている、一週間の切り替え儀式。
五日間ずっと“仕事モード”だった頭を、少しずつ“お休みモード”に変える時間。この時間を、もう何年も繰り返している。
日が落ちて誰もいない、暗くて静かな公園。
暑かった季節も終わり、ようやく蚊に刺されない季節になってくれた。
先週は高校生っぽい集団が居座ってて座れず、仕方なく植込みのブロックに腰掛けたけど、今週は空いている。
お気に入りのベンチに腰を下ろして息を吐いたとき、端っこに何かが置かれているのに気づいた。
──分厚い、長財布。
……人生で初めて、財布を拾った。
心の中で天使と悪魔が取っ組み合いのケンカを──なんて展開にはならなかった。
だってこれは、届けるだけで“一割の報酬”が貰える善行だ。
このパンパンに膨らんだ感じ、少なく見積もっても千円は堅いはず!
私は長財布を持ち、ウキウキしながら交番へ向かった。




