第7話「炎上する投資クラブ」
【冒頭:ネットニュースとコメント欄】
『“投資を学ぶ高齢者”やすらぎ荘ファンド、話題に』
記事の下にはコメントが並ぶ。
〈面白い試みだと思う〉 〈老人に投資とか正気かよ〉 〈金が余ってるなら寄付でもしろ〉 〈カレーとかふざけすぎ〉
誠、スマホで記事を見て、深くため息をつく。
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【やすらぎ荘・ロビー】
山根がスマホ片手に怒っている。 「なんだこれは!ワシらが何したって言うんだ!」
中西:「ネットの声は風みたいなもんだ。向かい風にも、立てばいい」
トミ:「風ってのはね、弱い木を倒すけど、根のある木にはただの揺れさ」
小倉は黙って資料を閉じたまま、なにも言わない。
空気が、沈んでいく。
***
【しらぎく信用金庫・屋上】
誠がひとり、風の中に立っている。
スマホを見つめたまま、言葉が出ない。
背後から足音。
名倉:「見てたよ、ネット」
誠:「……どうせ、炎上です」
名倉:「火がついたら、カレーでも煮込めばいい」
誠:「燃えて終わりの方が楽なんです。期待されるより、ずっと」
名倉:「でも、お前、“やすらぎ”って名前、つけたじゃん。静けさに賭けたんだろ?」
誠、目を伏せたまま、うなずく。
***
【やすらぎ荘・中庭】
老人たちが集まり、議論している。
中西:「ワシらがやってきたことは、おかしかったか?」
山根:「笑われたっていい。儲かんなくたっていい。なんか、前より生きてる気がしてるんだよ!」
小倉が静かに言う。 「……私は、もうちょっとだけ、信じてみたいです。自分を」
トミが立ち上がる。
「よし。じゃあ、もう一発、やってやろうじゃないの!」
「次の作戦名は……“反撃のポートフォリオ”!」
一同、笑う。
***
【ラスト:誠の決意】
誠、机に向かって資料を広げている。
ふとペンを止め、顔を上げて呟く。
「……俺、この人たち、守りたいんだな」
手元の紙には、新たな銘柄案と、“やすらぎファンド Ver.2”の文字。
──次回へ続く。