第11話「やすらぎ講演会へ」
【冒頭:地域交流ホール・舞台袖】
観客席には大学生、主婦、経済紙の記者までいる。 誠、マイクを持った手が微かに震えている。
春香:「大丈夫です、皆さん、楽しみにしてますよ」
誠:「僕より、あの人たちの方が緊張してなさそうです……」
舞台袖では、山根がストレッチをしながら口上を練習していた。 トミはド派手なスカーフ、小倉はメガネを2枚重ね、中西は棒グラフ付きの杖を持っている。
名倉:「いってらっしゃい。“スパイス”は、最後に効く」
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【プレゼンシーン:やすらぎファンド代表団】
中西:「我々が経験したのは、“お金”じゃなく、“選択肢”だった」
トミ:「もうね、老後とか言ってられないの。今が楽しくないと、未来なんて待てないわよ」
山根:「失敗してもいい。そこにツッコミ入れてくれる仲間がいる。それがオレたちのファンドだ!」
小倉:「“安心”って、誰かにもらうもんじゃない。自分で積み上げていくものでした」
会場、拍手と笑い。
誠が最後にマイクを握る。
誠:「“投資”は怖いものでも、堅苦しいものでもない。小さく始めて、大きく学べるものだと、僕は信じています」
「そして——この人たちに出会って、人生の“意味”も、少しだけ分かった気がしています」
客席に、堀内支店長の姿。 彼は腕を組み、無言で頷いた。
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【控室:終了後】
春香:「お疲れさまでした!」
山根:「拍手、すげぇ長かったな。アンコールあるかと思ったわ」
トミ:「ステージに立つの、クセになりそう」
名倉がドアから顔を出す。 「今夜の打ち上げは、カレーリゾットな。成功の味ってやつを、噛みしめてくれ」
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【ラスト:やすらぎ荘・夜の中庭】
誠と春香、ベンチで並んで座る。
誠:「……なんか、本当に変わりましたね」
春香:「はい。でも、まだまだ行けそうですよ?」
誠:「……ですね。第二期、始まってますから」
──次回、最終話へ続く。